売れ行き半減のトヨタ「プリウス」今どうなっている? 改良モデル発売で注文増加!? “あえてプリウス”を選ぶ人が減った事情とは
発売から約3年で売れ行きが大きく落ち込んでいるトヨタ「プリウス」。2026年7月の一部改良を経て、現在の販売現場はどのような状況なのでしょうか。
売れ行き半減の「プリウス」現在の状況は?
5代目のトヨタ「プリウス」(現行モデル)が発売されたのは2023年ですが、最近は売れ行きが落ちています。2023年には1か月平均で8262台を登録していたものの、2024年は6957台に減少(16%マイナス)。
さらに2025年の1か月平均は5310台(2023年比で36%減)、2026年上半期(1月~6月)は4491台となり、2023年に比べると46%のマイナスを記録しています。
発売後に売れ行きが下がるのは当然ですが、約3年で半減する減り方は急激です。背景には、現在は大半のトヨタ車にハイブリッドが設定され、あえてハイブリッド専用車のプリウスを選ぶ必要性が薄れたことなどが影響しています。
現行プリウスのボディスタイルは5ドアクーペ風に大きく刷新され、発売当初はカッコいい外観がユーザーの購買意欲を刺激して好調に売れました。しかし、最近はその注目度や目新しさが薄れ、売れ行きの減少を招いている事情もあります。

プリウスに限らず、外観の個性が注目されて好調に売れた車種は、その後の下落幅も大きくなりがちです。
逆に軽自動車のダイハツ「タント」や、コンパクトカーの日産「ノート」といった実用重視の車種は、発売直後に売れ行きが急増しない代わりに、時間が経過しても淡々と売れ続ける傾向があります。
ちなみに現行プリウスが2023年に発売された際、トヨタが公表した月販基準台数は4300台でした。そう考えると、2026年上半期(1月~6月)の1か月平均4491台という売れ行きは、発売時点から半減したとはいえ、トヨタの想定範囲内に収まっています。
改めて直近の登録台数を見てみましょう。2026年上半期の1か月平均は前述の4491台で、7月は3871台、8月は2666台。1か月当たりの登録台数はさらに減っています。
ただし7月と8月は、年間を通じてクルマを売りにくい時期です。特に8月はお盆休みが入って販売会社の稼働日数も減るため、3000台を下回っても不思議はありません。
前年比で見ると、2026年1月~6月は35%減ったのに対し、7月のマイナス幅は5%、8月は8%。1月~6月に比べて、7月・8月は対前年比の減少傾向が弱まっています。
この背景には、2026年7月1日に行われたプリウスの一部改良も影響しています。改良内容は、ハイビーム時でも対向車などの眩惑を抑えるアダプティブハイビームの「Z」への標準装着や、車速感応型オートパワードアロックの全車標準化、新しいボディカラーの設定などです。
これらは小規模な改良で売れ行きを大幅に増やせる内容ではありませんが、2026年9月上旬にトヨタの販売店へ話を聞くと、次のように述べていました。
「2026年7月に実施された改良前は受注停止もありましたが、今は再開して納期も比較的短いです。プリウスハイブリッドは約4か月ですね。そのため以前は注文を控えていたお客様も今は注文を入れており、受注台数が安定的に増えています。今後は納車も進んで登録台数もさらに増加すると思います」
それでは、プリウスの販売に不安要素はないのでしょうか。
「ハイブリッドの受注は順調ですが、PHEV(プラグインハイブリッド)は受注台数があらかじめ決めてあった台数に達し、受注を停止しました。ほかの販売会社については分かりませんが、状況は似ていると思います」
従来型プリウスからの乗り替え状況はどうでしょうか。
「以前は従来型プリウスから新しいプリウスへ乗り替えるお客様が多かったです。しかし、今は大半のトヨタ車にハイブリッドが用意されています。従来型プリウスからSUVの『カローラクロス』、ワゴンの『カローラツーリング』、ミニバンの『シエンタ』などに乗り替えるお客様も多いです。トヨタのハイブリッドが増えたことで、プリウスの需要が分散しています」
プリウスの国内登録台数を振り返ると、2009年発売の3代目は、2010年から2015年にかけて1か月平均2万台以上を安定して登録しました。特に2010年と2012年は1か月平均が約2万6000台に達し、2026年上半期の国内販売1位だったホンダ「N-BOX」の約1万7000台を大幅に上回る規模です。
この時代に比べると、今のプリウスの売れ行きは約15%にとどまりますが、ユーザーはさまざまなトヨタ車でハイブリッドを選べるようになりました。
3代目プリウスは幅広いユーザーをターゲットにした低燃費車でしたが、今はハイブリッドの需要を多くのトヨタ車が支えており、プリウスは5ドアクーペへと発展しました。プリウスは主力車種から個性派へと変わったのです。
トヨタが公表した月販基準台数の4300台も、そこを踏まえた数字なのでしょう。言い換えるとプリウスの販売減少は、商品力の低下がもたらした結果ではなく、役割が変わったことによる影響なのです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。




























