閉め忘れや手も汚れない「キャップレス給油口」 しかし給油時には注意が必要との声も
日産「セレナ」に採用されたことで注目を集めた「キャップレス給油口」。便利で環境にやさしいとされる一方で、給油時には注意が必要との声も。キャップレス給油のメリットや給油方法をまとめました。
ホンダ「レジェンド」や日産「セレナ」で採用された「キャップレス給油口」
『キャップレス給油口』をご存知でしょうか。2015年に発売されたホンダ「レジェンド」や、2016年にモデルチェンジした日産「セレナ」に採用されている、ネジ式のタンクキャップを外さなくても給油ノズルを差し込むだけで給油できる給油口で、セルフ給油スタンドを利用するドライバーの手間を省くことができるものです。
仕組みとしては、給油ノズルを差し込むと内側のふたが内部に倒れ、ノズルを抜くと自動的に密閉されるものです。構造的にセルフ給油時などでキャップの閉め忘れや、キャップの紛失(置き忘れ)などのトラブルも回避でき、フューエルリッド(給油口のフタ)を開けるとすぐに給油できるので、手も汚れません。
「セレナ」のWebカタログサイトにも、簡単に給油ができて手が汚れないことから「ママもたくさん運転するセレナに、日産車で初めて採用しました」と書かれています。
ドライバーにとってはいいことずくめですから、セルフ給油が主流の海外では日本より先に普及が進んでいます。
なお、ホンダでは「ダイレクトフューエルシステム」と呼び、日産は「キャップレス給油口」と呼んでいますが、ここでは「キャップレス給油口」で統一いたします。
キャップレス給油口は環境にも配慮されている
給油時や、ガソリンスタンドの近くを通ったときに、独特の臭いが気になった方も多いと思います。あの臭いは給油作業などの際に揮発したガソリンが大気中に蒸散されているためで、気化したガソリンは「ガソリンベーパー(蒸気)」と呼ばれ、人体に有害性がある「揮発性有機化合物(以下VOC)」であり、とくにヨーロッパでは以前から環境問題として広く認識されていました。
日本でも改正大気汚染法によって2006年よりVOC排出規制が実施されています。国内で排出されるVOCの約10%がガソリンスタンドで発生しているともいわれていて、ガソリンベーパーは独特の臭いと人体への有害性だけでなく、他の化学物質と結合して光化学スモッグを引き起こすことや、引火して火災の原因になる可能性もあります。
そのようなことを極力減らすためにもキャップレス給油口は有効です。一般的な燃料キャップ式の場合、給油時に給油口と給油ノズルに隙間ができていることから、ガソリンが揮発して大気中に蒸散してしまいますが、給油口内にフタがあるキャップレス給油口は、ガソリンベーパーが大気中に蒸散するのは微少になることから、大気汚染を減らすことにも役立つのです。