青信号で進まない車に「プーッ!」は違反!? ついやりがちな「催促クラクション」は反則金の可能性も!意外と知らない“ホーン”を鳴らしていい条件とは
交差点で青信号に変わっても進まない前のクルマに対し、「信号が変わったよ」と促すために軽く「プーッ!」とクラクションを鳴らす行為。実は、道路交通法に違反し反則金が科される可能性があります。意外と知らないクラクションを鳴らしていい条件や正しい使い方について解説します。
「催促」や「サンキュー」クラクションも実は違反!?
クルマを運転していると、交差点での信号待ちで、赤から青に変わったにもかかわらず前のクルマがなかなか発進しないという場面に遭遇することは決して珍しくありません。
前のドライバーが何かに気を取られているのか、ただ進行可能になったことに気付いていないのかはわかりませんが、後ろで待っている身としては少し焦りを感じてしまうこともあるでしょう。
そんな時、「信号が変わりましたよ」と気づかせるために、軽くクラクションを鳴らして発進を促す行為。これはいわゆる「催促クラクション」と呼ばれるものですが、日常の運転で何気なくやってしまっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はこの催促クラクション、道路交通法に照らし合わせると立派な違反行為に該当してしまうのです。では、クルマのクラクションとは一体いつ、どのような状況で鳴らすのが正しいのでしょうか。

そもそも、クルマのハンドル中央などに備え付けられているクラクションは、法律上「警音器」という正式名称を持っています。
その名の通り、周囲に自分の存在を知らせたり、危険を警告したりするための器具であり、決して他車との気軽なコミュニケーションツールとして設けられているわけではありません。そのため、道路交通法ではクラクションを「鳴らさなければならない場面」と「鳴らしてはいけない場面」が非常に明確に規定されています。
まず、絶対にクラクションを「鳴らさなければならない場面」について見ていきます。
道路交通法第52条第1項では、左右の見通しがきかない交差点や、見通しのきかない道路の曲がり角、あるいは見通しのきかない上り坂の頂上などで、道路標識等によって指定された場所を通行しようとする際には、クラクションを鳴らすことが義務付けられています。
また、山間部などの曲がりくねった道路において、道路標識等により指定された区間内の見通しのきかない交差点や曲がり角、上り坂の頂上を通行する際にも同様の義務があります。こうした場所には「警笛鳴らせ」という道路標識や、規制区域内を示す矢印と組み合わせた「警笛区間」の標識が設置されていることがあります。
見通しの悪い急なカーブや坂の頂上で対向車同士が衝突する危険性を下げるため、しっかりとクラクションを鳴らして自分の存在を対向車に知らせる必要があるのです。
もし、このような法律で定められた場所でクラクションを鳴らさなかった場合は、「警音器吹鳴義務違反」に問われます。普通車の場合は違反点数1点に加え、6000円の反則金が科せられることがあります。
これに対して、クラクションを「鳴らしてはいけない場面」はどのように定められているのでしょうか。
道路交通法第54条の2では、「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない」と記載されています。つまり、先述した標識で指定されているような特定の場所以外では、原則としてクラクションを鳴らすことは禁止されているのです。
しかし、この条文には重要な続きがあります。「ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」という例外規定です。
この例外規定を踏まえて、最初の「催促クラクション」について考えてみます。
青信号になっても前のクルマが進まないという状況は、たしかに後続車にとっては進行を妨げられるものではありますが、それ自体が即座に交通事故などの「危険」を引き起こす状況とは言えません。
危険を防止するためという理由には当てはまらないため、クラクションを鳴らしてはいけない場面で鳴らしたことになります。もしこれを行ってしまうと「警音器使用制限違反」となり、違反点数こそありませんが、3000円の反則金が科せられる場合があります。
同じような理由で、日常的に行われがちな「サンキュークラクション」も厳密には違反に該当します。混雑している道路や高速道路などで車線変更をする際に入れてもらったり、道を譲ってもらったりしたお礼として「プッ」と短くクラクションを鳴らす行為ですが、これも危険を防止するための使用ではないため、法律上は警音器使用制限違反となってしまいます。
それでは、例外として認められる「危険を防止するためやむを得ないとき」とは、具体的にどのようなシーンなのでしょうか。
たとえば、自分が走行している際に前方のクルマがこちらの存在に気付かず急な進路変更をしてきて、このままでは衝突してしまうおそれがあるという状況では、危険を知らせるためにクラクションを鳴らすことが正当化される可能性があります。
また、街中で前のクルマが急ブレーキを踏んだ際、自車が追突しそうになるだけでなく、後続のクルマにも自分のクルマに衝突する危険を知らせて玉突き事故を防ぐ目的で鳴らすことも、違反にはならないと考えられます。
一方で、判断が難しい微妙なシーンもあります。それは、無理やり前に割り込まれるなど、交通ルールを無視した悪質なクルマに遭遇した場合です。
たとえ相手の運転が危険で悪かったとしても、すでに割り込まれた後に「抗議」の意味合いでクラクションを鳴らす行為や、走行スピードが遅いクルマに対する「威嚇」として鳴らす行為は、危険を回避するためのやむを得ない措置とはみなされない可能性が高くなります。
最終的な判断は裁判等で個別に下されることになるため一概には言えませんが、「危険を防止するため」という基本理念から外れた感情的な使用は違反に該当してしまうと考えるべきでしょう。
※ ※ ※
実際のところ、街中で催促クラクションやサンキュークラクションを鳴らしたからといって、即座に警察に取り締まられるケースはめったにないと思われます。
しかし、不必要なクラクションは合流などで道を譲ってもらえなくなる原因になったり、使い方によっては近年社会問題化している「あおり運転」などの重大なトラブルを誘発する原因になったりすることも考えられます。
クラクションはあくまで自分の存在や危険を知らせ、事故を未然に防ぐための緊急用ツールです。その本来の役割と、必要でない場面では不用意に鳴らしてはいけないという規定をしっかりと頭に入れ、むやみに鳴らすことのないよう安全運転を心がけましょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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