いつ使う? ほぼ押すことのないクルマの「スイッチ」 マークは一緒でも名称はバラバラの理由

各社で名称がバラバラな理由とは

 さらに、最近よく見かけるスイッチは、「プリクラッシュセーフティーシステム」。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などに関するスイッチで、クルマがぶつかりそうな絵柄が特徴です。

 スバル・アイサイトの『ぶつからないクルマ』というキャッチコピーが有名ですが、各自動車メーカーにも同様の機能を備えたシステムが存在します。作動方法や環境は各社により異なりますが、基本的には進路上の車両を前方のセンサーやカメラで検出し、システムが衝突の可能性が高いと判断したときに、警報やブレーキ力制御によりドライバーの衝突回避操作を補助するものです。

 この機能のOFFスイッチは、たとえば地下駐車場に下る際、急で狭いスロープの壁にシステムが反応してクルマを停止させてしまい、そこから動けなくなってしまった場合などが考えられます。

 現在、世界的に衝突被害軽減ブレーキを全車に搭載する方向でさまざまな議論が行われ、2017年秋からは日本が主導とした国際会議を実施。今後、国際的なルールが制定される見通しです。

マツダ「アテンザ」のスイッチパネル

 紹介したスイッチはどれも、メーカーや車種、機能により細かく名称が違います。ユーザーにとってわかりづらく、正しい理解を妨げる要因ですが、なぜ名称がバラバラなのでしょうか。

 国内自動車メーカーの広報に尋ねると、「名称がバラバラな理由には、法整備されたタイミングや各社の機能内容があり、商標登録上の問題も多いです。また、2016年12月に国土交通省は、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全自動車(ASV)装置について、共通定義や名称を統一するという通達を出しています。ユーザーからすれば名称ぐらいは統一してほしいと思いますが、現時点ではなかなか難しい問題でもあります」と話します。

 今回、紹介したスイッチはどれも「先進安全技術」に関するものです。右ハンドルの場合、ハンドルとドアの間部分に設置されていることが多く、見逃しがちな部分にあります。

 しかし、自分のクルマに付いているスイッチは、意味のないものはなく、どれも正しく理解することで、快適に安全な運転をすることができます。そのためにも、改めてスイッチを確認してみるのも良いかもしれません。
 
【了】

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