乗員守る「エアバッグ」は知っている しかし補助装置との認識なく展開時に大けがをすることも

現在では一部の車種を除き、運転席及び助手席のエアバッグは全車種に標準装備されています。しかし、エアバッグという言葉は知っていても、衝突時の安全装置としての認識しかないことがあります。じつは、エアバッグが原因で怪我をしてしまうケースがあるのです。

クルマに興味なくてもエアバッグは知っている

 衝突事故が起きた際、瞬時に展開しドライバーの命を守るのがエアバッグです。現在では一部の車種を除き、運転席及び助手席のエアバッグはほぼ全車種に標準装備されています。私たちがクルマを安心して運転するための重要な装備であり、誰もが知っている装置のうちのひとつです。しかし、実際にエアバッグが展開する程の事故に遭遇したことがある人は、そう多くはないかもしれません。

新車ではほぼ100%の装着率となっているエアバッグ

 クルマに興味がある人もない人も、「エアバッグ」という言葉は知っている人は多いと思いますが、衝突時の安全装置としての認識しかないことがあります。エアバッグはどのように展開し、ドライバーにどのような影響を与えるのでしょうか。

エアバッグは瞬きよりも早く開く!

 エアバッグが日本車に普及し始めたのは1990年代で、過去には日産がクルマではなくエアバッグをメインにPRするCMを放送していたこともあり、エアバッグは知名度を上げていきました。

 エアバッグは、コンクリートの壁のような強固な構造物などに時速20km/hから30km/h程度以上の速度で正面衝突した場合、その衝撃で展開し、乗員がハンドルやダッシュボードに頭や体を直接打ち付けるのを防ぐ役割をしています。

 エアバッグを構成する部品は主に「センサー、コントロールユニット、インフレーター(ガス発生装置)、エアバッグ本体」の4つです。

 事故の衝撃を感知するとセンサーが反応し、コントロールユニットがエアバッグを展開する必要の有無を判断します。

 エアバッグを展開する必要があると判断された場合は、インフレーターに点火をします。点火されたインフレーターはガスを発生し、エアバッグが時速100km/hから300km/hの速度で一気に膨らみます。その間はおよそ0.03秒といわれています。その後、エアバッグの後部にある「ベントホール」と呼ばれる穴からガスを放出し収縮します。

 現在、国内で使用されているエアバッグは、「SRSエアバッグ」と呼ばれています。SRSとは“Supplemental Restraint System”の略称で、「補助拘束装置」という意味があります。

 エアバッグ単体で効果を発揮するイメージを持っている人も少なくはないかと思われますが、あくまでシートベルトのはたらきを補助する装置であり、エアバッグはシートベルトを装着していることを前提としてとした上で、初めて効果を発揮することができます。

 シートベルトを装着していない状態でエアバッグが展開すると、エアバッグによるけがや、最悪の場合、命を落としてしまう恐れもあります。

エアバッグにより怪我をする可能性もある?

 急な衝突事故に対応するため瞬時に展開し、私たちの命を事故から守ってくれるエアバッグですが、勢いよく展開することが、時にけがの原因にもなってしまうことがあるようです。

 エアバッグは、ダミー人形を使用した衝突実験で見るイメージが強いですが、スローモーション撮影のため、ふわっと広がり、頭や体をやさしく包み込んでいるように見えてしまいます。しかし、実際は新幹線並みのスピードで展開し、高速で移動してくる体を支える事が出来るほど丈夫なナイロン繊維でできており、決して柔らかくありません。

 例えば、速度域が低い時に起きた衝突事故で、エアバッグが展開したことにより、腕の骨を折ってしまったり、擦過傷や火傷してしまう可能性もあります。

 また、ハンドルの位置に対して座高が低い場合、エアバッグが展開した際に顔面に当たり、弾みで頸椎を損傷してしまうといったケースもあるといいます。こういった事例が、独立行政法人国民生活センターによせられているようです。

そこも膨らむ!? 様々なエアバッグの展開を画像で見る(11枚)

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