何が違う?「トラックレーン」 一般道路では右、高速道路では左の理由とは

高速道路にも一般道にもある「トラックレーン」。大型貨物等が走るべき車線を示した青い標識があります。一見すると高速道路も一般道も似た標識ですが、よく見ると全く違うところがあります。

高速道路では、トラックが走るべき車線は最も路肩寄りの第一車線

 高速道路にも一般道にもある通称「トラックレーン」。トラックレーンが設置されている車線があるエリアには大型貨物等が走るべき車線を示した青い標識があります。一見すると高速道路も一般道も似た標識ですが、よく見ると全く違うところがあります。

高速道路では「特定の種類の車両の通行区分」の場所では大型貨物等は左から一番目の車両通行帯を通行しないといけない

 それは、トラックが走るべき車線の位置。高速では左車線、一般道では右車線にトラックが表示されています。これはどういう意味なのでしょうか。

 高速道路や自動車専用道路を走っていると見かけるトラックの絵が描かれた青い規制標識は、正式名称を「特定の種類の車両の通行区分」といいます。この表示がある場所では、交通法第20条第2項によって、特定の車両(大型貨物自動車、特定中型貨物自動車、大型特殊自動車)は左から一番目の車両通行帯を通行しなくてはなりません。「大型貨物等は高速道路における最高速度が80km/hに決められているから」というのが理由です。

 また、大型貨物等においては、2003年より90km/hで作動する速度リミッターの装着が義務付けられているため、(古くてリミッター装着が不能なものは除く)、物理的に90km/h以上のスピードは出せない状況なのです。そこで、最高速度が100km/h(新東名の一部などは110km/h)の乗用車や大型バスとすみ分けを行い、安全に走行できるよう配慮した結果、最も左側の車線をトラックレーンとして定めるようになったのです(トラック専用ではないので、他の車もこのレーンを走るのはもちろん可能)。

一般道路では逆に最も中央寄りの車線がトラックレーンに

 さて、高速道路が最も左の第一車線を走るよう規制される一方で、一般道では最も右の車線を走るよう指示されている標識を見かけることがあります。とくに、大都市の市街地や民家の多い場所を走る道路、交通量が多い幹線道路などでよく見かけます。高速では左、一般道では右に設置されるトラックレーンですが、実はそれぞれ規制の目的が違うのです。

 一般道で、大型貨物が中央分離帯側の最も右を走るよう規制されるのは、沿道の環境に対して騒音や振動、排気ガス等によるダメージを減らす目的があります。歩道や民家や店舗など人が暮らす沿道から離れて走ってもらうことによって、できるだけ静かでよい環境を守るということなのです。常時、右車線を走るようなエリアもありますし、夜間に限って通行規制をかけているところもあります。

大型貨物等の都心部の通行禁止エリア等を画像でチェック(5枚)

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