高速道路の「集中工事」なぜ必要? 工事は局所的でも長期間・区間を昼夜連続で車線規制する理由
車線規制区間はむしろ長くしたほうがいい!?
――実際には工事は一部しか行われていなくても、長い区間で昼夜連続の車線規制などが実施されることがありますが、なぜ必要な箇所のみの規制としないのでしょうか?
短い区間で工事個所が近接する場合には、それぞれの工事規制が断続することにより車線変更などが増加し、無理な追い越しや合流にともなう追突、接触なども発生することから、安全のため連続して規制を実施しています。車線規制が開放されるとスピードが上がることが多く、さらにその先に車線規制があると、再度の合流でスピードが急激に落ちるため、むしろ事故や渋滞の原因となるのです。
――「集中工事」のほか、テレビCMなどで「リニューアル工事」のお知らせも聞きますが、どう違うのでしょうか?
「リニューアル工事」は、道路構造物を安全にご利用いただき、高速道路ネットワーク機能を長期にわたり健全に保つために、最新の技術などで再施工・補強する工事です。橋の床版(しょうばん。舗装が載る道路の床板に当たる箇所)取り替えや、トンネルの覆工を補強するなど、集中工事期間だけでは対応しきれない大規模な更新・修繕を数か月かけて行います。工事期間を短縮し規制を最小限にするよう、工法や部材の選定などを工夫しています。
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30年にわたり実施されている集中工事ですが、そのあり方も変わってきているようです。
「渋滞が最小限となるよう、規制方法や規制時間の見直しを行っています。今年度の東名集中工事では、特に激しい渋滞が予測された横浜町田IC~海老名JCT間や圏央道では夜間工事のみの実施とし、その結果、必要な工事量を実施するために工事期間を昨年の2週間から3週間に延長しました」(NEXCO中日本)
このように年によっても工事内容や実施期間が異なってくることもあり、NEXCO中日本では工事専用ウェブサイトで集中工事期間中における所要時間情報の提供を充実させているといいます。2018年度からは主要な一般道など、周辺道路についても所要時間情報を提供しているとのこと。今後も関係機関と協議・調整のうえ、工事内容、実施時期、区間などを選定していくとしています。
なお、2018年11月15日(木)から29日(木)にかけては、中央道の高井戸IC~調布IC間でも集中工事が行われます。期間中は最大で5~10kmの渋滞が予測されており、並行する国道20号や、東名・圏央道への迂回が呼び掛けられています。
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