なぜ「仮ナンバー」を返さない? 大阪・堺市で“200枚以上”の未回収が発覚! 悪用すれば「逮捕」も… 全国で相次ぐずさんな管理の実態

大阪府堺市は、車検切れなどのクルマが公道を走るための「仮ナンバー」について、貸し出していた合計211枚が未回収となっていたことを明らかにしました。堺市の仮ナンバーが「他県で使い回されていた」との情報もあり、適切な管理の徹底が求められています。

仮ナンバーが返却されないと、犯罪に悪用されるおそれも

 未登録のクルマが新規検査・登録を受けたり、車検切れのクルマが車検を受けたりするなどの目的で公道を走行する場合は、自治体が貸し出す「仮ナンバー」をクルマに取り付けなければなりません。

赤い斜線の入った「仮ナンバー/臨時運行許可番号標」(画像はイメージ)
赤い斜線の入った「仮ナンバー/臨時運行許可番号標」(画像はイメージ)

 仮ナンバーとは赤い斜線の入ったナンバープレートで、正式には「臨時運行許可番号標」といいます。一定の条件のもと、車検や登録を受けていない車両の公道走行を可能にするものです。

 なお、同様のものとして赤い枠線の入ったナンバープレート「回送運行許可番号標」もありますが、こちらは販売店や整備工場、メーカーなどが車検や登録のないクルマを回送するためのものであり、運輸支局・自動車検査登録事務所から許可を受けて利用するもので異なります。

 個人や法人が仮ナンバーを利用する際は、運行期間(必要最小の日数)や運行経路(出発地から到着地までの合理的な最短経路)、対象となる自動車を届出した上で借りる必要があり、仮ナンバーの臨時運行ができる期間は5日を上限としています。

 基本的に自治体は仮ナンバーが返却されなかった場合、電話や文書で返却するよう督促するほか、回収できないときには不正利用を防ぐために臨時運行許可の失効手続きをおこないます。

 また利用者が仮ナンバーを返却しないままでいると、道路運送車両法の規定により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

仮ナンバー211枚が未回収だと発表した大阪府堺市の市役所(画像はイメージ、ko-bayashi/PIXTA)

 この仮ナンバーに関して大阪府堺市は2026年7月2日、不適切な事務処理を続けた結果、堺市の中区役所が過去に貸し出した合計211枚の仮ナンバーが未回収の状態であることを明らかにしました。

 堺市によると、1992年度から2007年度までに中区役所が個人や法人から申請を受けて貸与した仮ナンバーのうち72件が所在不明となっていたほか、2008年度から2022年度までに貸与した仮ナンバーのうち139件について、本来実施すべき返納の督促が適切におこなわれていませんでした。

 さらに上記にあるように、回収できない仮ナンバーについては不正利用を防止するため臨時運行許可を失効させる「失効公告」をおこなうのが原則ですが、この失効公告の手続きができていないケースも5件ありました。

 加えて、上記の事案を踏まえて堺市内のすべての区役所を調査したところ、仮ナンバーの失効公告をできていなかったケースが10件(西区役所7件、南区役所3件)あり、これらの10件については、2026年6月22日に失効公告を実施したということです。

 このような仮ナンバーの大量の未回収が発生した原因について、中区役所は「2022年度以前は、貸与した仮ナンバーを回収しなかった場合の不正使用のリスクなど本業務の重要性を十分に認識しておらず、また本業務の管理を担当職員に任せ、組織的な確認を怠っていたため、適切な事務処理ができていなかった」と説明しています。

 なお2023年度からは担当課長が交代し、過去の不適切な事務処理について認識していたものの、新たに発生する督促などの事務処理を優先したことで、2022年度以前の仮ナンバーの貸与状況や事務処理状況を確認する調査が後回しになっていたということです。

 今回の事案に関しては、2024年12月に「堺市の仮ナンバーが他県で使い回されている」との情報が寄せられたことにより、2026年4月に実態調査が始まりました。

 仮ナンバーが不正利用された場合、安全基準を満たさない車検切れのクルマが公道を走行したり、利用者が自動車登録をせずに使用することでクルマに課される税負担を免れたりすることが想定されます。

 また盗難車に仮ナンバーを付けて走行し、警察の追跡から逃れようとするといった犯罪に利用されるおそれもあります。堺市では今後、適切な再発防止対策を講じるほか、関係職員の処分についても検討するということです。

※ ※ ※

 実は、今回のような仮ナンバーの未回収事案は他の都道府県でも発生しています。

 2024年8月に国土交通省が公表した「臨時運行許可事務取扱いに関する調査」によると、未返納となっている仮ナンバーの件数は近畿地方を除く全国で4491件、そのうち最も多かったのは関東地方の2044件、次いで中部地方の1207件となっており、この2地方のみで全体の約75%を占めました。

 そして近畿地方を除く全9地方の仮ナンバーの保有数は7万7544組で、そのうちの6%弱が未返納のため活用できなかった実態も浮き彫りとなりました。

 仮ナンバーの不正利用は様々な犯罪に悪用されるおそれがあるほか、正当な目的で仮ナンバーを借りたい人が利用できなくなる可能性もあります。

 今後は各自治体が仮ナンバーの管理を徹底するとともに、未返却を防止するための対策についてさらなる検討が求められそうです。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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