スバル“新型”「ステーションワゴンSUV」発表! 「穴開きボンネット消滅」で“オトナな乗り味”に大変貌!? ターボ車とは違う新たな「ストロング」ハイブリッドモデルの走りは?
スバルは「レヴォーグ レイバック」に、新たに「e-BOXER(ストロングハイブリッド)」を搭載したモデルを発表しました。その実力を、自動車研究家の山本シンヤ氏がレポートします。
ワンランク上の「大人な乗り味」!? 走りの質はどうなのか
では、肝心な走りはどうだったのか。今回の試乗場所は長野県の「白馬八方尾根スキー場」、うさぎ平に向かう取り付け道路で、道幅が狭い上に路面に凹が多いタイトコーナーが続く急勾配。ニューモデルの初試乗としては厳しい走行環境でしたが、個人的にはむしろレイバックS:HEVの“良さ”が引き立ったと思います。
パワートレインは基本的にはクロストレック/フォレスターと同じ印象ですが、1.8リッターターボはもちろん、2.4リッターターボと比べても走りの余裕があります。
まず走り出しの瞬間からモーターアシスト効果で「もたつき」は皆無で、スッとクルマが進むのが嬉しい。そこからアクセルをグッと踏み込むとリニアでフラットな加速が気持ちいいです。
例えばトヨタの「THS II」はシステムの特性上、エンジン回転数と速度がリンクしない「ラバーバンドフォール」が欠点の1つですが、スバルのS:HEVはアクセルをベタ踏みしない限りは、ターボ車のCVTの「リニアトロニック」よりもドライバビリティは良いと感じました。
ちなみにドライブモード選択の「SIドライブ」で「S」を選ぶとより素早い応答とアシストにダイレクト感すら感じたほどでした。
欲を言えば、バッテリー満タンの時に、駆動モーターに加えて発電用モーターも加速時に駆動モーターとして利用するトヨタの「デュアルモータードライブシステム」のスバル版があったら、ターボとは違うスバルの新たなスポーツの提案もできるかなと思います。

さらに驚いたのは静粛性の高さで、通常モデルに対して確実にエンジン音やロードノイズが抑えられているのです。
エンジニアに聞くと「S:HEV用の遮音・吸音は特にやっていない」と言いますが、エンジン音はモーターアシストでエンジン回転を必要以上に上げなくてよくなった事、ロードノイズはリアにバッテリーを搭載した事で音の伝達経路が変わったことが要因だと筆者は分析しています。
フットワークは一言で言うと、レヴォーグの良さにアウトバックに片足を踏み入れたかのような動的質感がプラスされた、「大人の乗り味」に仕上がっています。
一番驚いたのは「フラット感」と、入力をいなすサスペンションの「しなやかさ」で、通常モデルと比べると「あれ、舗装が綺麗になった?」と思ってしまうくらいの差。とにかくクルマのバネ上が、レヴォーグと思えないほど落ち着きがあるのです。
それでいながら、レヴォーグの一体感あるハンドリングはそのままに、いい意味で「薄皮1~2枚」入ったような心地よい“穏やかさ”と“間”がプラスされた落ち着いたスポーティさが備えられています。
ノーズの入りはターボ車ほど機敏ではないものの非常に軽快で、約100kgの重量増を感じさせない身軽さ。旋回時はむしろターボ車よりも良く、4つのタイヤをより上手に活用したコーナリング姿勢となり、結果として「より自然」、「より楽に」に曲がれるハンドリングだと思いました。
これはHEV化による低重心に加え、マイナス20mmのローダウン、さらには重量バランスの変更も効いているはずです。
チューニングの方向性を聞くと、コイルスプリングは通常モデルと同じ。重くなったボディに対して相対的に「バネ下」が軽くなり、サスペンションが素直に動きやすい環境を構築しながら、重量増を受け止めるためにダンパー減衰力をアップ。
さらに車高を20mm下げたことによる縮み側のクッション性の確保のために、ダンパーのケース長やバンプストッパーの長さを変更と言った綿密なチューニングによって、「しなやか」だけど「落ちついた」走りを実現できたそうです。
ただ、ここまで行くと、もっと欲が出てしまいます。例えば、レヴォーグの「STIスポーツ」に採用の「電子制御連続可変ダンパー」を活用したらより乗り味の幅は広がりそうですし、「レオーネ」やレガシィ時代の「エアサスペンション」を活用したら、そもそもレヴォーグとレイバックが両立できるなと思ったり。
そろそろ結論にいきましょう。レイバックS:HEVはいい意味で通常モデルとは違うキャラクターに仕上がっています。通常モデルの軽快なフットワークに対して、電動化とマイナス20mmの専用サスペンションによって「0.5クラス上のクルマ」に仕上がっています。
それでいながら、424万6000円(消費税込)からという戦略的な価格設定なので、現在、スバルで最もコスパがいいクルマと言っていいかもしれません。
そして、筆者が声を大にしていいたいのは、クロスオーバーとしての実力を持ちながらもステーションワゴンの機動性を備えた、スバルの「スポーツ」と「アドベンチャー」のど真ん中に位置するクルマだと言うことです。
人によっては「中途半端」、「どっちつかず」と言う声もあるかもしれませんが、そもそもスバルの乗用AWDは「ジープの悪路走破性」と「乗用車の快適性」の掛け合わせであり、アウトバックを含め“何か”と“何か”を掛け合わせたクロスオーバーこそがスバルの原点なので、その組み合わせが増えただけの話です。
個人的にはユーザーの見方・使い方次第でクロスオーバーにもスポーツワゴンにもなれる万能なリリーフであり、ズバリ「クロスツアラー」と呼んでほしい1台です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。























































































