車両接近に「ドキッ」 以前のHVやEVの機械的な音は変化? 車両接近通報装置の義務化から半年

車両接近通報装置がついていない車はどうやって?

 保安基準に関わらず近年は輸入車、国産車問わずほとんどのEV、HVには「車両接近通報装置」がつけられています。(装置がついていない車も存在します。義務化以降,不装着車にわざわざ取り付ける必要はありません。)所有するデロリアンを自作で「EV化」し、公道を走れるようナンバーを取得した広島県在住の会社員、藤井智康さんに聞いてみました。

デロリアンを自作で「EV化」したため、車両接近通報装置はなく、歩行者へはガルウィングドアを開けて直接声掛けしているという広島県在住の藤井さん

――街中を走っていて、接近に気づかない歩行者がいた場合はどうしていますか?

 私のデロリアンは自作でEVにしているので、当然、車両接近通報装置などはついていません。細い道などで、前を行く歩行者が気付いてくれない場合は、ガルウィングドアをガバッと開けて、「すみません!」と直接声掛けをします。それで困ることはありませんね。

※ ※ ※

 なるほど。クラクションを鳴らすほどではないような場合は、やはり直接声をかけさせてもらうのが最も効果的かもしれませんね。それにしても、「すみません!」と言われて振り返ったらガルウィングドアが開いたデロリアン…歩行者の方は驚くでしょうね。

日産自動車が将来の車両接近通報音として検討している「カント」とは?

 日産が2017年の東京モーターショーで発表した車両接近通報音「カント」(ラテン語で「歌う」という意味)は、将来の日産製電動車に順次採用される見込みです。各国の規制に合わせて、低速走行時に加速、減速、後退それぞれの状態に合わせて作動するといいます。どんな音なのでしょうか。

「カントは車両接近通報音のコンセプトとして発表しました。市街地走行における日産らしさを聴覚で感じられるように工夫し、歩行者だけでなく、道路周辺の住民、車の乗員にも自然で聞きやすいものになるよう配慮されています。各国の法規要件と照らし合わせた上で、将来生産する電動車に、順次採用していく予定です。なお、日産リーフは初代発売時から発進時で30km/hまで、減速時で25km/h以下になると車両通報接近音が鳴る仕組みで、音は現行のリーフも他のe-POWER車(ノート、セレナ)もすべて同じ音になっています」(日産自動車広報部)

 現在の車両接近通報音は、それが車の接近音だと気づかない歩行者(特に高齢者)も少なくないようです。また、取材を進める中でオーナー自身も(遮音性の高い車の場合は特に)自分の車で通報音が鳴っていることに気づいていないというケースもありました。今後はますます、低速時はほぼ無音の車が増えていくでしょうから、車と歩行者の双方が分かりやすい「車両接近通報音」が定着していくと良いですね。

【了】

車両接近通報音を出す新型HVやEV、デロリアンEVなどを写真でチェック(16枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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