なぜ続く? ホンダ復活車ラッシュ シビック、CR-V、インサイト…次々と国内導入する理由
新型インサイトは発売前から「厳しい」との声も?
そして最初から「厳しいのでは?」と言われているのが、アメリカでシビックの高級版と位置づけられているハイブリッド専用車の新型インサイトです。アメリカでは案外安くて日本円計算だと270万円スタートとなっており、トヨタのプリウスと同等の価格で販売されています。日本でもこのくらいの価格設定なら売れる可能性もあり得ます。
ただ最近のホンダの車両価格設定を見ると、日本の方がアメリカより20%程度高い。例えばシビックの場合、アメリカだと225万円スタート。日本は265万円から。CR-Vも280万円スタートのアメリカに対し、日本仕様だと323万円。新型インサイトは320万円程度になると予想できます。
前出のセールスマンは、「新型インサイトは、なぜシビックハイブリッドではなく、『インサイト』なのかと、ネットニュースなどを見たお客様からも質問されます。日本でインサイトは、安価なハイブリッドカーとして2代目が登場しており、上級ハイブリッドカーというイメージがついてないので、お客様の反応が気になります」といいます。
他のメーカーを見ると、海外でも売る同じ車種なら日本の価格の方が安いか、高くても同等。ホンダだけは日本で生産しているのに、アメリカより高い設定がされています。もちろん、まったく同じ仕様ではなく日本向けに変更されている部分はあります。しかし、自動車だって「商品」。価格と内容が釣り合わなければユーザーだって魅力を感じません。アメリカ向けに開発したホンダ車は日本だと割高になっています。
ちなみにホンダは、アメリカ向け車の国内導入攻勢をかける前に東南アジア向けの『グレイス』(フィットの4ドアセダンモデル)と、中国向けに開発した背の低いミニバン『ジェイド』を日本に投入し大失敗しています。現在、日本市場で売れているホンダ車は、軽自動車のN-BOXと手頃な価格で買えるフィット、ヴェゼル、フリード。ホンダは国内戦略の大幅見直しが必要な時かもしれません。
【了】
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。