国道だけど「酷道」と呼ばれる道、実際どんな道? 危険と隣り合わせの道路はなぜ存在
日本には、国道のイメージとはかけ離れた通行の厳しい道路が存在し「酷道」などと呼ばれることもあります。実際にはどのような道路で、それらはなぜ誕生したのでしょうか。
狭くて見通しも悪い通行が難しい道路
「国道」といえば、地域の基幹をなす幅の広い幹線道路というイメージがあるかもしれません。実際、道路法第5条でも、「高速自動車国道と併せて全国的な幹線道路網を構成」するものとされています。
しかし、そのようなイメージとはかけ離れた状態の国道もあり、国道をもじって「酷道」と呼ばれることもあります。そうした道を好んで走る人もいますが、実際どのような道なのでしょうか。その特徴をいくつか挙げてみましょう。
・道幅が狭く、大型車どうしのすれ違いが困難な区間
・曲がりくねっていて見通しが悪く、山林で昼間も薄暗い。崖が迫る地形ながらガードレールがない区間も
・路面状態が悪く、舗装の荒れや落石、落ち葉などの堆積が見られる。橋がなく道路上を横断する小さな川や沢を通る「洗い越し」の区間も
・未舗装区間や自動車交通不能区間
「酷道」という言葉に定義があるわけではなく、人によっても捉え方は異なりますし、実際に酷い状態であるのは、その路線のごく一部というのが大半です。
では一般国道のなかで「酷道」が日本にどれほどあるのかという、数値的な目安を便宜的に挙げるとすれば、道路を新設・改築する際の技術的基準となる道路構造令に基づかない未改良区間かつ幅員3.5m以下の区間が約828km、そのなかで「幅員、曲線半径、勾配その他道路状況により、最大積載量4トンの貨物自動車が通行できない」自動車交通不能区間が約144km、および未舗装区間が約320kmあり(いずれも2016年4月現在)、これらを「酷道」の候補と見ることができるかもしれません。
また、なかには国道291号の群馬・新潟県境区間(清水峠)のように実質的には登山道、あるいは獣道となっているような区間もあります。当然ながら車両は通れませんが、国土地理院の地形図で幅員1.5m未満の道路として点線で記載されることから「点線国道」とも呼ばれています。反対に、狭い住宅街の路地やアーケード商店街が国道に指定されているケースもあり、これらも「酷道」に含められることもあります。