ボンネットがぽっこりデザインのクルマ、なぜ増えた? 古いと薄く、新しいと分厚い理由とは

保護基準導入前と導入後で、ボンネット周りのデザインはどれくらい変わった?

 歩行者頭部保護基準の対象車種は「乗車定員10人未満の乗用車」「乗用車から派生した車両総重量2.5トン以下の貨物車」となっており、歩行者の頭部を模した測定機器(頭部インパクタ)をボンネット上の数箇所にぶつけて、頭部インパクタがどの程度の衝撃を受けるかを測定し、その結果をもとに合否判定を行なっています。

 結果は自動車アセスメントの公式WEBページで公開されています。ちなみに例であげている画像は2013年の歩行者頭部保護性能評価試験で、トップクラスのレベル5を獲得しているマツダ「アテンザ」のデータです。

マツダ「アテンザ」の歩行者頭部保護性能評価結果

 歩行者頭部保護基準を適用してデザインされたクルマと、それ以前のクルマとでは、見た目の印象にどれくらい違いがあるでしょうか? 顕著な例として保護基準導入前の8代目(1995年発売)、9代目「カローラ」(2000年発売)と、導入後の10代目(2006年発売)、11代目「カローラ」(2012年発売)で比べてみましょう。9→10代目に変わった際、フロント部分の「厚み」が全く違っていることがよくわかります。

デザイン重視のクルマではどのような対策をしている?

 セダンやコンパクトカーであれば、エンジンフードとエンジンブロックの間に空間を確保する形で対応することはできても、ノーズの高さや長さなどのデザインが「カッコよさ」を左右するスポーツカー等では「厚くすればよい」というわけにはいきません。そこで、デザイン重視の車には「ポップアップリフター」「アクティブボンネット」「ポップアップエンジンフード」等の機構が採用されてきました。

 メーカーによって細かい部分では異なりますが「歩行者との衝突、衝撃を感知した瞬間にボンネットが持ち上がって、エンジンブロックとの間に空間を作って衝撃を緩和させる」という目的を持っています。

衝突直前にボンネットを持ち上げ歩行者の頭部保護をする「アクティブボンネット」のしくみ

 この機構を国産車では日産「GT-R」(2007年発売)が初搭載し、マツダ「ロードスター」では2012年7月発売の3代目(NC系後期型)から「アクティブボンネット」が全車標準装備されています。この機構のおかげで、歩行者頭部保護基準をクリアしながら、ボンネットの位置が低くスタイリッシュなデザインとすることが可能となりました。

【了】

ボンネットの厚みの変化を歴代カローラの画像でチェック(8枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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