まもなく発売の日産「“新型”エルグランド」に乗った印象は? 静粛性も走りも想像以上!? 16年ぶり全面刷新で磨かれた“高級ミニバン”の実力とは
16年ぶりのフルモデルチェンジで大きな注目を集める日産の新型「エルグランド」。今回は、そのプロトタイプに試乗する機会を得ました。高級ミニバンというジャンルを築いたパイオニアは、その存在感を取り戻すことができるのでしょうか。自動車ジャーナリストの西川昇吾氏が、その実力をチェックしました。
“高級ミニバン”らしい快適性と走りを実現
16年ぶりにフルモデルチェンジが行われ、2026年夏に登場予定の日産4代目「エルグランド」。今回は、専用設計の1.5リッター発電専用エンジンや「5-in-1」ユニットを採用した第3世代「e-POWER」搭載のプロトタイプ(試作車両)に試乗し、高級ミニバンとしての実力をチェックしました。
走り始めて最初に感じた好印象は静粛性の高さです。メカニカルノイズはもちろん、ロードノイズや風切り音などあらゆるノイズが抑えられています。2列目はもちろん、運転席と3列目の会話もストレスなくすることが可能となっていて、室内での静粛性はミニバントップの実力があると感じました。
e-POWERは第3世代となり、静粛性が向上しパワーユニットからのサウンドがかなり抑えられていること、エンジン音とロードノイズを打ち消す新世代のアクティブノイズコントロールが採用されていること、そしてフロントガラスと2列目までのサイドウインドウに新採用の遮音ガラスが採用されていることが、この高い静粛性を実現させています。

乗り心地は走行モードでキャラ変できるのが嬉しいと感じました。バランスとしてはベーシックな「STANDARD」が最もよく、突き上げ感が少なめで振動は程よい収束を見せてくれます。
「SPORT」となると若干突き上げ感が出てきて路面のジョイント部分を走行するときが気になりますが、揺さぶられる感触が少なく人によっては「こちらの方が、乗り心地が良い」と思うかもしれません。
「COMFORT」はソフトライドな傾向で、クローズドコースとなった今回のシチュエーションでは、少し落ち着きがないと感じられました。街中では合いそうな雰囲気がするので、走行する速度域に合わせて走行モードを変えるとより良いかもしれません。この辺りは公道試乗で確かめたい点です。
乗り心地と静粛性を含めたコンフォート性能の全体的な話をすれば、「高級ミニバン」を名乗るにふさわしい仕上がりとなっています。乗り味やドライブフィールのキャラクターの違いもありますが、コンフォート性能はこのセグメントの王者とも言えるトヨタ「アルファード」に負けないものを持っていると確信できました。
そしてミニバンは2列目、3列目も大切! ということでコチラも試乗を敢行。2列目は先にもお伝えしたように静粛性の高さを中心に、高いコンフォート性能を享受できるスペースとなっていました。何より驚いたのがシート各部の調整が細かくできることです。これならばあらゆるVIPも満足することができるでしょう。

しかし、より驚いたのが3列目でした。正直あまり期待していなかったのですが座ってみてビックリ。なんと「3列目」という概念が崩されるほど、想像以上に広々としていたのです。
大人数で移動するときに3列目だと「ハズレだな」と思ってしまいますが、この広さならばそんな落胆をすることなく、一緒に移動するみんなの幸福度が高そうです。もちろんシートの作りもしっかりとしていて、長時間でも疲れにくいであろうと思わせるものでした。
コンフォート性能、2・3列目の快適性など好印象なポイントが多かった今回の試乗。しかしながら最も驚いたのがドライバーズカーとしての楽しさです。ロール感が少なく、フラットライドな印象で高速コーナーを安定した姿勢で曲がっていきます。
ステアリング操作に対して、大柄なミニバンとは思えないほどキレイかつ素直に曲がってくれて、ミニバントップの「オンザレール」なコーナリング性能を見せてくれました。

しっかりとステアリングインフォメーションもあり、想像していた以上にドライバーズカーとしての楽しみがあったのが、今回の試乗で感じた「最大の意外性」でした。高速コーナーが続く高速道路で、もっともドライバーが疲労を感じることなく運転できるミニバンであると筆者は思います。
現状、まだそのようなグレードや仕様が用意される予定はないそうですが、この高速道路を快適かつドライバーに対してストレスフリーに移動できそうな感覚は「ハイウェイスター」という言葉がピッタリだなと思いました。
ぜひ特別仕様車などで「ハイウェイスター」のエンブレムを冠した新型エルグランドを用意してほしい! そんな欲求を引き出すほど、運転していて楽しいと思えるミニバンに仕上がっていました。
強いて不満な点を挙げるとすればシートです。快適性は不満がないのですが、フロントシートはペースを上げていくと、ホールド性に不満をやや感じてしまいます。
滑りやすいレザーとなっているのも影響していそうですが、もしハイウェイスターが今後登場するならば、センター部分だけでもスウェード基調のものにしてほしいなと思いました。
2・3列目も快適なコンフォート性能とドライバーズカーとしての完成度の高さ、相反する性能を高い領域で実現している新型エルグランドは、プロトタイプながら高い完成度を感じさせるものとなっていました。
Writer: 西川昇吾
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。













































