タイヤの交換時期、溝の深さだけで判断して大丈夫? 意外に知らない製造時からの経過年数

長年履き古したタイヤを見て「スリップサインが出ていないからまだ平気」と思っていませんか? 溝があってもタイヤが劣化、交換しないと大きな事故の原因になってしまうかもしれません。

スリップサインとは何か

 長年履き続けたタイヤ、「でも、スリップサインが出ていないからまだ平気!」と思っていませんか。よく見るとタイヤにひび割れが出来ていたり、金属片が刺さっていたり、早く交換しないと大きな事故の原因になってしまうかもしれません。

三角の印でスリップサインの場所を表示

 スリップサインとは、タイヤのサイド部の4ヶ所(90度間隔)に表示されている矢印や三角形の印などで示され、印の延長線上の溝の間にある高さ1.6mmのふくらみのことを指します。

 このスリップサインが1カ所でもタイヤの表面に出てきてしまうと、残り溝が1.6mm以下である事を表し、このままでは車検に通らなくなってしまいます。

 そもそもタイヤの溝は、雨水などを排水してタイヤを路面に接地させるために設けられています。タイヤの残り溝が新品タイヤの半分程度になったのを境に、濡れた路面でのブレーキ性能(グリップ力)は徐々に落ちていきます。

 溝が減ってしまったタイヤで雨の中を走行しているとスリップしやすくなるだけでなく、高速走行時には、タイヤの排水性能が追いつかず、ハンドルやブレーキが効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」を引き起こしやすくなります。

溝があっても5年で点検、10年たったら交換

 タイヤはスリップサインが出てなければ大丈夫なのでしょうか? タイヤの交換時期は、スリップサインだけを見ればいいと言うものではありません。ブリヂストンに実際のタイヤの寿命についてうかがいました。

──見るのはスリップサインだけではダメですか

 タイヤの溝という話では1.6mmで交換というのは法令で決まっています。しかし、日本自動車タイヤ協会では、ご使用になられてから5年以上経過したタイヤは、タイヤ販売店等で点検を受けていただくことを推奨しております。また、製造時から10年以上経過したタイヤは交換をしていただくように呼びかけています。

──5年以上使用したタイヤにはどのようなことが起こるのですか

 タイヤはゴムだけではなく、スチールなどを組み合わせて作っている物です。有機物と無機物を密着させている所もありますので、経年劣化は起こりえます。また、見た目でわかる部分ですと表面に薄い亀裂、タイヤの膨らみが確認できることもあります。

──タイヤが膨らむとはいったいどういう状況ですか

 タイヤはゴムやスチール、有機繊維などでできています。有機繊維とは、タイヤの空気圧を保持する役割を果たしておりまして、何らかの原因で切れてしまい、空気を支えられなくなってタイヤが部分的に膨らんでしまいます。タイヤとしては骨折状態であることになります。

──走っているクルマを見ていて、危ないなと思ったことはありませんか

 超扁平タイヤなど、横から見るとパンクしているかどうか状況が分からないタイヤがあります。目視で大丈夫に見えても、釘などが刺さって空気圧が下がっている状態ということもあり得ます。そのまま走り続けると、バーストまではいかなくとも、タイヤが壊れてしまい二次的被害が想定されます。なかなか難しいかもしれませんが、運行する前にタイヤの点検をぜひお願いしたいと思っております。

※ ※ ※

 タイヤとは、車と路面とをつなぐ唯一の接点であり、車を支えるだけでなく、走る、曲がる、止まるという重要な役割を果たすパーツです。最近では、ガソリンスタンドなど無料で点検を実施している場所もあるので、万一に備えて、日常点検をするように心がけるのが良さそうです。

【了】

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