トヨタ紡織が「快適な空間」を提案!? 月のリズムで農業も? 水素自転車で街を駆ける! ウーブンシティでのカケザンとは
トヨタとウーブン・バイ・トヨタは、開発拠点「Inventor Garage」の稼働に合わせてイベント「Kakezan 2026」を開催しました。本記事では、インテリアスペースクリエイターとして出展したトヨタ紡織の車室空間技術や、農業、水素活用に関する独自の実証内容について解説します。
トヨタ紡織が提案する車室空間・農業・水素自転車!? ウーブンシティ新拠点で技術を公開
静岡県裾野市で建設が進むToyota Woven Cityに、新たな開発拠点となる「Inventor Garage」が開設されました。
これを機に、インベンター同士の共創を促すイベント「Kakezan 2026」が開催されています。
会場ではモビリティ領域にとどまらない多様な技術が展示されており、今回はこのイベントに出展したトヨタ紡織の取り組みを現地取材の様子とともに紹介します。
2025年9月に実証が開始されたToyota Woven CityのPhase 1エリアに加え、新たな開発拠点「Inventor Garage」がまもなく稼働を開始します。東富士工場の建屋をリノベーションしたこの施設は、インベンターの発明を加速させる開発拠点として活用されます。
この開設に伴い、トヨタとウーブン・バイ・トヨタが開発する技術を公開し、インベンター同士の更なる繋がりを生むためのイベント「Kakezan 2026」が開催されました。会場内は複数のエリアに分かれており、開発中の技術や各インベンターによる実証が展示形式で案内されています。
Woven City Inventorsの実証状況が展示されるエリアにおいて、トヨタグループのトヨタ紡織がブースを展開しました。
同社はインテリアスペースクリエイターとしてモビリティの空間全体を企画し、利用者に安全と環境、そして快適を追求した車室空間を提供することを掲げています。
今回の展示では、本業である車内空間の提案に加え、農業やエネルギーといった多角的なアプローチも公開されていました。

■将来の移動空間の提案
自動車の内装部品やシートを手がける知見を活かし、将来の移動空間を見据えた技術開発が進められています。
トヨタ紡織担当者は「自動運転化が進む将来の車室内空間を、より安全で快適なものにしていきたいと考えています」と説明します。
展示資料には、面発光アニメーションを用いたイルミネーションや、リラックスを促すシート構造が示されていました。
また、これらの空間の快適性を評価するため、画像認識AIを用いて呼吸や心拍などの生体情報をセンシングする技術も導入しています。
内装とシートを組み合わせたテスト環境をWoven City内に用意し、住民に体験してもらうことで、空間が人に与える作用をデータとして蓄積していく計画です。
■月のリズムで農業支援
モビリティ以外の事業領域として、食料生産を安定させるための技術実証も行われています。
「月のリズム」と呼ばれるこの取り組みについて、トヨタ紡織担当者は次のように述べています。
「人工的な植物工場などに月の満ち欠けといった自然のリズムを持ち込み、照明や給餌のタイミングを変えることで生産性を上げる技術です」
パネルの解説によれば、この手法によりレタスで12パーセント、すっぽんで25パーセント、うなぎで24パーセントの生産性向上が確認されています。
現在は、この生産プロセスによる付加価値を消費者にどのように伝えていくかという課題に対し、他社との連携を通じた新しいブランド価値の創出を模索しています。
■水素を身近にする技術
水素エネルギーの普及に向けた「ハイドロジェンパワーシステム(HyPS)」の展示も行われました。
燃料電池関連の部品製造で培った技術を応用し、小型の水素電源ユニットを構築しています。
トヨタ紡織担当者は「水素由来の電源ユニットを開発しており、今回は自転車に搭載して実証を進めています」と解説しました。
システムには1メガパスカル未満の低圧水素吸蔵合金タンクが採用されており、専門知識がなくても取り扱いが可能です。
水冷式熱マネジメントシステムによって温度を安定させ、現在はWoven City内で電動アシスト自転車としての走行データを収集しています。将来的には自律走行ロボットや小型モビリティ、災害時の非常用電源などへの活用が提案されています。

※ ※ ※
トヨタ紡織の展示からは、車室空間の快適性向上という中核事業の進化に加えて、自然周期を利用した食料生産や、安全性の高い小型水素システムの開発といった、幅広い領域への展開を見据えていることが確認できました。
Inventor Garageという開発拠点において、他のインベンターとの連携が進むことで、これらの技術が社会実装に向けてどのように形を変えていくのか、今後の動向が注目されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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