大型スクーターブームを紐解く 新たな流行再燃の予感!
カワサキは、ウルトラCでビックスクーター市場に参入
じつはカワサキも蚊帳の外ではありませんでした。カワサキは、『スカイウェイブ250 タイプS』をスズキから車両を供給され、カワサキブランドで2002年1月より発売しました。
ショートスモークスクリーンやバーハンドル、ハイマウントストップランプを内蔵したグラブバー一体式リヤスポイラーなど、ストリートカスタムのテイストを随所に盛り込みながらも、大型のシートや大容量のトランクスペースといったスクーターならではのユーティリティも充実しています。カワサキのビグスク、いま乗っていたら注目度高いかもしれません。
水冷4スト単気筒エンジンにワイドレシオのVマチック無段変速機構を組み合わせ、モーターサイクルの開放感とスクーターの快適性を両立した新しい走行フィールを目指した変わり種も登場していました。2004年6月にデビューしたホンダ『PS250』です。スクーターの外装を取り外し、フレームを剥き出しにしたスタイルは斬新でしたが、ヒットには至りませんでした。跳ね上げるとバックレストになるリアシートなどアイデア満載でした。
その後も2005年にヤマハ『マグザム』、2008年にスズキ『ジェンマ』といった個性派モデルたちが続々と登場してきましたが、ビグスクブームは少しずつ陰りを見せはじめていきます。街乗り中心のユーザーたちに打撃を与えたのは、二輪車への駐禁取締り強化もあったかもしれませんし、かつてのビッグスクーターのスタイルがもう飽きられてしまったのかもしれません。
しかしまた『XMAX』や新型『FORZA』が、新しいスタイルで人気を呼んでいます。高速道路にも乗れるし、便利で手軽でスポーティと、もともと魅力あふれるカテゴリであることは知れ渡っているだけに、「おっ!」と注目されるモデルが登場すれば、再び人気ジャンルとなるポテンシャルは充分に秘めているのは言うまでもありません。
しばらくはまたヤマハvsホンダの争いとなりそうですが、もしかしたらスズキもスカイウェイブを新しくしてくるのかもしれませんので、目が離せません!!
【了】
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。