大型スクーターブームを紐解く 新たな流行再燃の予感!

ヤマハはオジサン臭い乗り物からの脱却を測る

ヤマハ マジェスティ250(1995年)

“オジサン臭い”乗り物だった250ccスクーターに新風を巻き起こしたのが、ヤマハ『マジェスティ』です。1995年8月にデビューすると、年間計画販売台数4000台を上回る5000台をわずか4ヶ月で販売。1996年の軽二輪(126から250cc)クラスでは1万台近くを売り、トップセールスとなったから驚きます。

 足まわりは前後12インチで、ボディも大柄。迫力のあるスタイルやシート下の大容量トランクも好評でした。

ホンダ フォーサイト(1997年)

 こうなると他メーカーも放ってはおきません。1997年6月にホンダは『フォーサイト』を新発売。謳い文句は「スポーツ感覚溢れるスタイリッシュスクーター」としましたが、まだまだ若者向けとは言い難いデザインです。

 クラス最大容量(40L)の前後に長いシート下の大型トランクには、A3サイズのアタッシェケースをはじめ、いままで二輪車には収納不可能であった傘やバットなど900mmまでの長尺の収納が可能となり、ビジネスユースだけでなくスポーツやレジャーにいたるまで幅広い用途において優れた使い勝手を実現し、ゆとりあるライフスタイルを演出しようと、ホンダは取り組んだのでした。

スズキ スカイウェイブ タイプI/II(1998年)

 1998年3月にはスズキも『スカイウェイブ タイプI/II』を発売し、いよいよ混戦となってきます。水冷4バルブエンジンはクラストップの23馬力を誇り、足まわりは前後13インチ。ビッグスクーターには珍しいモノショック式のリアサスペンションを備えました。IIはリアシートにバックレストがあり、タンデムがより快適な仕様です。

ホンダ フォルツァ(2000年)

 「ビグスクブーム」と呼んでいいのはこの頃からではないでしょうか。マイナーチェンジを繰り返し精悍になっていくマジェスティに対抗し、ホンダが『フォルツァS』で対抗したのです。

 『フォーサイト』に残っていたオジサン臭さはもうどこにもありません。躍動感とスポーティさに満ちあふれ、快適で余裕のある走行が楽しめる空力特性に優れたボディ形状となっています。フロントは大径13インチで、左右独立型のデュアルヘッドライトもスポーツバイクのよう。軽二輪スクータークラス初のタコメーター装備も話題を呼びました。8月にはアイドルストップシステムと前後輪連動ABS付きの『フォルツァ S』もラインナップに加えています。

ヤマハ TMAX(2001年)

 マジェスティが好調のヤマハは、500ccもの排気量を持つ並列2気筒エンジンを積むオートマチックスポーツを2001年8月に登場させ、これがまた欧州を中心に大ヒットとなります。新開発CVTエンジンによる胸のすく加速感、スポーツバイク感覚で人車一体感を楽しめるハンドリング、長距離タンデムランに対応できる居住性や利便性などが人気の秘訣で、ビッグバイクにもオートマ人気が押し寄せたのでした。

ホンダ シルバーウイング(2001年)

 巨体を悠々と走らせる600ccクラスのスクーターをホンダは2001年4月に発売しました。DOHC2気筒エンジンを積む『シルバーウイング』です。フロントに大径14インチ、リヤに13インチのホイールをセットし、フラッグシップモデルにふさわしい高級感と居住性を両立。防風効果に優れたボディフォルムやウインドスクリーンなどで、タンデムでも快適なクルージングが味わえました。また、同年11月には、バリエーションモデルとして400版もラインナップしています。

スズキ スカイウェイブ650/LX(2002年)

 大排気量なら任せろと、スズキは650ccエンジンを搭載した『スカイウェイブ650/LX』を2002年1月にデビューさせます。クラス初の電子制御CVTミッションは、有段式にマニュアル変速操作も可能としました。LXは上級グレードで、電動格納ミラーやABSを搭載します。これでヤマハ、ホンダ、スズキが250ccクラスに続いてオーバー400クラスでもスクーターで市場を奪い合うことになったのです。

ヤマハ マジェスティC(2002年)

 マジェスティは1999年にフルモデルチェンジし、これもまたヒット。人気を確固たるものにしていきます。ホンダはフォルツァで、スズキはスカイウェイブで対抗してきますが、2002年6月には『マジェスティC』をリリース。ショートスクリーン、パイプハンドル、5連ホワイトメーター、メッキミラーなど、ストリートで人気のカスタムパーツたちをそのまま新車に盛り込んだスタイルで人気を博しました。

 2002年に合計2万台を超える出荷台数を記録したマジェスティですが、軽二輪・国内メーカーでは14年ぶりの快挙だったのです。なかでも『マジェスティC』の人気は突出して、若年層からの人気により同シリーズ中50%弱の販売比率を占めました。

 さらにヤマハは2004年2月に『マジェスティ400』も欧州向けに発売しています。このときヨーロッパの126cc以上スクーター市場は年間24万台規模で推移。特に需要の中心であるイタリアにおいて、マジェスティ(250cc)は初代モデル投入以降高い人気を保っており、日本だけでなく欧州でもビッグスクーターは人気だったと言えるのです。

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