トヨタの「新型“V8”スーパーカー」がスゴい! ながーーい「ノーズ」&全高1.2m以下「めちゃ低」ルーフで超カッコいい! ほぼ「レーシングカー」な和製“フラッグシップ”スポーツ「GR GT」の正体とは
トヨタGAZOO Racingが発表した次世代GRスポーツの方向性を示す「GR GT」。その完成度は極めて高く、名車の誉れ高いトヨタ「2000GT」やレクサス「LFA」に連なる、新たなフラッグシップ像を強く意識させる仕上がりでした。
すべては「空力」と「操縦性能」のために
トヨタGAZOO Racingが2025年12月に発表した次世代スポーツカー「GR GT」は、将来の量産スポーツモデルおよびレース活動を見据え、その思想と技術的方向性を示すために開発した次世代フラッグシップスポーツとして開発中のプロトタイプモデルです。
パワートレインや車体構成、空力まで含めて実走行を前提に作り込まれている点が、このモデルの最大の特徴といえます。
フロントエンジン/リアトランスアクスル(8段AT)を組み合わせた後輪駆動レイアウトを採用。搭載するエンジンは4リッター V型8気筒ツインターボエンジンで、トランスアクスル内には1モーター式ハイブリッドを内蔵します。
システム最高出力は478kW(650ps)以上、最大トルクは850Nm以上とされ、数値面から見てもフラッグシップスポーツにふさわしい性能が与えられています。
サスペンションは前後ともローマウント化されたダブルウィッシュボーン式を採用し、低いフード高を実現。その構成からは、スーパー耐久やGTレースといったモータースポーツ展開を強く意識していることがうかがえます。
最大の特徴といえるのが、ロングノーズ・ショートデッキを基調とした、極端に低いボディプロポーションです。
全高は1195mmと、かつてのレクサスLFA(全高1220mm)をも下回り、「ここまでやるのか」と驚かされるほど徹底した低重心化が図られています。
エンジンフードやフロントノーズも極めて低く抑えられ、キャビンを後方に寄せたシルエットは、視覚的にも強烈なインパクトがあります。

トヨタによると、GR GTでは「低重心」「軽量高剛性」「空力性能」という3つの基本性能を徹底的に磨き上げることをテーマにしたとのこと。
全高を抑えることで重心位置を下げると同時に、空気抵抗に直結する前面投影面積を最小化したといいます。
ドライバーのヒップポイントも限界まで下げられ、それに合わせてメータークラスターや空調ユニットを小型化するなど、コクピット全体が低全高前提で設計されています。
低重心化による最大のメリットは、旋回時のロール量を抑えられる点にあります。
これによって高速コーナリング時の安定性が飛躍的に高まるほか、サスペンション設定を路面追従性やトラクション確保といった別の目的に振り分ける余地が生まれます。
レーシングカーでは常識とされる考え方ですが、それを市販前提のプロトタイプモデルでここまで明確に具現化している点に、GR GTの超硬派な姿勢が表れています。
空力性能の追求も徹底されています。
フロントスプリッターや大型リアディフューザー、ボディ側面のエアアウトレットなど、空気の流れを制御する造形が随所に盛り込まれました。
フロント周りは、ダウンフォースの確保と冷却効率の両立を狙い、非常に複雑な形状となっています。
低いフロントノーズに収めるため、ラジエーターやインタークーラーも小型化されています。
キャビンも、低く抑えられたルーフラインに合わせてガラスエリアを最小限とし、ドライバーと助手席の間隔も詰めることで空間を圧縮しています。
乗降性や快適性をあえて優先せず、空気抵抗の低減と正確なマシンコントロールを重視する。
その割り切りこそが、GR GTのキャラクターを端的に示しています。
※ ※ ※
一見すると「低すぎる」「尖りすぎている」と感じるGR GTのデザインですが、そのすべては操縦安定性と空力性能を徹底的に突き詰めた結果です。
モータースポーツ直結の思想を、ここまで迷いなく形にした点こそがGR GTの本質といえるでしょう。
今後、このプロトタイプモデルがどのような形で具現化されるのか、注目が集まります。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど











































