夏は特にETCカードの抜き忘れに注意! 猛暑でトラブルが多発する理由とは

クルマのエンジンを停めると「ETCカードが残っています」というETCカード抜き忘れの警告音声。なぜこんなに大きな音量になっているのでしょうか? ETCカードを抜き忘れることはそれほど大変なことなのでしょうか。

ETCカードは毎回抜く? 入れっぱなし?

 車を停めてエンジンを切った直後、静かな車内に響き渡る「(ピー)ETCカードが残っています」という警告の音声。この警告案内は、なぜこんなに大きな音量になっているのでしょうか、ETCカードを抜き忘れることはそれほど大変なことなのでしょうか。

マツダ車のルーフ側に設置されたETC車載器とETCカード

 マイカーには普段からETCカードを挿入したままという人が多いかと思います。筆者(加藤久美子)もクルマを乗り換えるときくらいしか抜いていませんでした。ETCカードを抜く習慣がないと、抜いたETCカードをどこに保管したか忘れてしまうことや、ETCゲートを目前にして「カードを挿入し忘れた! カードはどこ?」と、慌てふためく姿も十分予測できます。

 今年の夏は「ETC車載器の故障だと思い、販売店に持って行ったらETCカードの劣化と言われた」とか、「ETCゲートで反応しなかった」ということで、自動車販売店やカー用品店に駆け込む人が増えているといいます。記録的な猛暑がETCカードや車載器に何らかの影響を及ぼしているのでしょうか?

実は熱にとても弱いETCカード

「ETC車載器がどこに設置されているか」でも大きく変わってくるのですが、車載器に入れっぱなしのETCカードは熱の影響を大きく受けてしまいます。もともと車載器メーカーの使用上の注意には「ETCカードは熱に弱いので高温になる場所に置かないでください」などの警告があります。

 最初からETC車載器が新車装着されているような車両であれば、自動車メーカーが設計段階から考慮しているので、熱の影響をあまり受けないような場所に設置されています。しかし後付けの場合はダッシュボード近辺に装着されるケースもあります。真夏のダッシュボード近辺では、温度が70度近くになることもあり、ETCカードはもちろん、車載器も心配になります。

 そこでETC車載器およびETCカードについて、車載電装品開発者の方にお話を伺いました。

――ETC車載器およびETCカードの耐熱性能はどれくらいですか?

 ダッシュボードのETC車載器はおそらく、85度動作保証の部品を使っていると思いますが、ETCカード本体に埋め込まれたICチップ部分は車載保証していないと思うので、たぶん45度位でしょう。

――ETC車載器は炎天下のダッシュボードでも大丈夫そうですが、カードは45度。車載器に挿入したままでは劣化しますか?

 はい。正確に言うと、劣化ではなく故障です。半導体自体は炎天下の車内に通電状態で置かない限りは壊れないのですが、高温、常温の温度サイクルに伴う熱収縮で、実装破壊します。半導体を基板にくっつけている部分にヒビが入って、通電しなくなります。

高温により熱収縮でETCカードに埋め込まれたICチップと電極の接合部が壊れてしまうこともある

――半導体は大丈夫なのでしょうか?

 半導体自体はなかなか壊れません。通電状態でサウナでも入らなければ大丈夫です(笑)。ちなみにETCではないですが、液晶モニターも天井につける場合は105度品を使うメーカーが多いと思います。車内につけるタイプより動作温度が高いものです。車の天井部分は非常に熱くなるということですね。

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