”国産最安”な”軽”「ミライース」より安い! トヨタ“最上級セダン”「セルシオ」どんなクルマ? 実際どうなのか「買って」試してみた“末路”とは
常識的なモデルで最も安く買える国産車であるダイハツ「ミライース」でも99万2200円。一方、トヨタの最上級セダン「3代目セルシオ(30系後期)」はこの金額以下で買うことができます。実際どうなのか、購入して試してみました。
格安最上級セダンを買ってみた
様々なものの値段が上がる中、軽自動車の価格も年々上昇しています。4年連続(2022年から2025年の暦年)で登録車を含む国内販売台数No.1となったホンダ「N-BOX」の現在の新車車両価格は、約174万〜248万円、常識的なモデルで最も安く買える国産車であるダイハツ「ミライース」でも99万2200円となっています。
いっぽう、中古車市場に目を向けると、新車の軽自動車より安い100万円以下のモデルでは、トヨタの最上級セダン「3代目セルシオ(30系後期)」が射程圏内に入ります。かつての最上級セダンが軽自動車よりも安い…ということで実際に”買ってみた”のでレポートします。
セルシオは、1989年に誕生した最上級セダン。米国では当時新たに立ち上がったレクサスの「LS」としてデビューしました。
名称の由来は、ラテン語で「至上、最高」の意味。エンジン、足まわりなどに最新技術が数多く投じられ、まさに「頂点」を目指したクルマでした。

以後2000年登場の3代目(通称30系)が、2006年まで販売されると、続く4代目は、米国と同じレクサスのLSに統合され、消失していまいます。
そんな最終型のセルシオは、常に最高を追求するセルシオの思想にのっとり、すべてにおいて頂点を極めることを念頭にプラットフォームから一新し、卓越した安心感を基調に操り走る魅力を追求するとともに、さらに快適で質の高い室内空間を実現することで、21世紀を走る最高級車の頂点のあり方を提案したモデルです。
当時新開発だった4.3リットルV型8気筒エンジン、ヨー慣性モーメントを低減させた新パッケージ、新設計サスペンションなどを採用し、安心感を究めつつ操り走る魅力を追求していました。
2003年にはマイナーチェンジが行われ、スタイル、基本性能、安全装備を重点に、さらなる進化を遂げています。
このいわゆる“サンマル後期”…頂点を目指したクルマの最終モデルが現在では、前述のミライースよりも安い価格で購入することができます。
中古車サイトを見てみると、10万キロを超える車体であれば99万円以下のプライスが付けられています。
今回は、2005年式のeR仕様…安心・安定のバネサスモデルを選びました。新車価格は、651万円ですが、この個体の価格はなんとミライースよりも30万円以上安い60万円です。走行距離は13万キロを超え、ボディーカラーはホワイト、内装色はブラックのレザーです。
実際にセルシオと対面すると、写真で見るよりも大きいサイズ感に驚きます。それもそのはず、ボディサイズは全長5015mm×全幅1830mm×全高1490mmと、現行LS(全長5235mm×全幅1900mm×全高1450mm)よりは小さいですが、しっかり全長5mを超える“フルサイズセダン”です。
エクステリアは、現行のクルマからするとだいぶ大人しい印象ですが、シンプルながら厳かな迫力を感じます。長らく“ヤンキー”と呼ばれる顧客層に愛されてきたのもよくわかります。
今回の個体は、完全なフルノーマル。ホイールも車高も純正、エアロも巻かれていません。
ガレージ保管だったのか、塗装もかなり綺麗で、グリルのメッキ部分や、ヘッドライトが少々劣化している以外は、新車同様の状態。多少古くなってきたデザインではありますが、流石にミライースよりも圧倒的な高級感を感じます。
インテリアは、木目パネルとレザーの質感がハイクラスを演出する上品な仕上がりですが、流石に現行車と比べると古臭く、“おじいちゃん家の応接室”と言った印象。オシャレ…とは言いにくいですが、なんだか落ち着きます。
オーナーになると見る機会の多いメーターのデザインは、ちょっと前のタクシー御用達「クラウンコンフォート」と変わらないんじゃないかと思うほどシンプルなデザインで、所有欲を高める…という感じはしません。当時のトヨタ車という感じがして、好きな人は好きなデザインかもしれません。
今回の個体は、外装同様、内装も基本的にはかなり綺麗なのですが、ハンドルのウッドが紫外線の影響で色落ち&“バキバキ”に割れてしまっていてかなり劣化してしまっています。
また、セルシオの持病とも言えるテレスコの故障が発生していて、前後には動くのに、上下に動かなくなってしまっています。ですが、シートがしっかり上下するので、実際の使用ではあまり困りませんでした。
エンジンを掛けると、4.3リッターのV8エンジンが静かに回ります。変な異音もせず、“超快調”。さすが天下のトヨタ車…13万キロ走っていても全く問題ありません。静粛性も見事なもので、たまにエンジンを切り忘れてしまうほどでした。
走り出すと、V8の強烈なトルクとNVH性能に驚きます。ブリヂストンの「レグノ」を履いているおかげもあってか、現行の欧州最上級セダンにも負けない乗り心地に舌を巻きます。
最新のセダンは、最上級モデルでもスタイリッシュなデザインに合わせるためインチの大きいホイールを装備し、組み合わされるタイヤはピレリ「P ZERO」やミシュラン「パイロットスポーツ」のような薄い扁平タイヤを履いていることが多くあります。
一方、旧いセルシオは比較的肉厚なタイヤを履いているため、最新のテクノロジーを採用した現代の最上級モデルにも負けず劣らずな乗り心地が実現できている…のかもしれません。
最新の軽自動車をもってしても至れない圧倒的な乗り心地の良さに「もう一生このクルマでイイのでは」とさえ思ってしまいます。
肝心の維持費ですが、これは圧倒的にミライースのほうに軍配が上がるでしょう。全長5mを超える“大きめなボディ”は月極め駐車場の選択肢を限定しますし、2トン未満の18年以上落ち車の重量税は5万400円、4001cc~4500ccの13年以上落ち車の自動車税は8万7900円です。1年間乗っているだけで、涙が出るほど“渋沢さん”がいなくなります。
気になる燃費は、下道7km/L、高速11km/Lで、“そこまで悪くない”と言ったレベルですが、ハイオク仕様ですし燃料代はチクチクとお財布を刺激します。年式と大排気量V8であることを考えればかなりマシな方…と無理やり納得できなくはないというレベルです。
もっと気になるのがメンテナンスですが、この過走行とも言える13万キロのセルシオを半年で2万kmほど乗っても特に何も発生しません。これまで丁寧に整備されてきたのか、それともトヨタの信頼性がスゴイのかわかりませんが、ひとまずこの個体には「整備記録簿などの書類」はついていませんでした。
※ ※ ※
ミライースより圧倒的に安い中古セルシオ。流石に当時の最上級セダンということもあり、快適性や迫力は圧倒的に優れていると言ってもいいでしょう。
また、メンテナンスも日本車ということもあるのか、過走行車でも現状大きなトラブルはありません。さらに大きな普通車ならではの“安心感”も大きなメリットの一つです。
ですが、継続的な税金や、燃料代は、絶対的な金額がそもそもお互い”比較的安い”こともあって、その差額をすぐに埋めてしまうほどです。
どちらが”良い”かは人によって判断の分かれるところでしょう。個人的には、旧いセルシオも選択肢としては“大いにあり”でした。もう“新車”という選択肢に戻れなくなってしまいそうです。
Writer: くるまのニュース編集部
【クルマをもっと身近にするWEB情報メディア】
知的好奇心を満たすクルマの気になる様々な情報を紹介。新車情報・試乗記・交通マナーやトラブル・道路事情まで魅力的なカーライフを発信していきます。クルマについて「知らなかったことを知る喜び」をくるまのニュースを通じて体験してください。



















