伝説のスズキ「“マー坊”」復活!? 斬新「自動昇降デッキ」搭載の「4人乗り軽トラ」がスゴい! 発売熱望された2015年披露のコンセプトカー「マイティデッキ」とは
スズキがかつて提案した、往年の名車を彷彿とさせるユニークなコンセプトカー「マイティデッキ」。いまだに市販化を望む声が絶えないこのクルマは、いったいどのようなモデルだったのでしょうか。
遊び心満載の「アーバンアウトドア」軽自動車
自動車メーカー各社が未来のビジョンを競い合うモーターショー。その華やかなステージにおいて、時として市販車以上に観衆の心を掴んで離さないコンセプトカーが登場することがあります。
過去を振り返ると、2015年10月に開催された「東京モーターショー2015」において、スズキブースの主役の1台として輝いていた「マイティデッキ」は、まさにそんな存在でした。
三角形をモチーフにしたヘッドライト、力強さと愛嬌を同居させたキャラクターライン、開放的なオープンデッキを備えた姿は、1980年代に若者を中心にカルト的な人気を博した軽ピックアップ「マイティボーイ」の再来を予感させるものでした。
往年のファンからは愛称である「マー坊」の名で呼ばれ、現代版マー坊として熱い視線が注がれたのです。
マイティデッキが掲げたコンセプトは「アーバンアウトドア」でした。
これは、「都会と自然」「ウチとソト」「リラックスとプレイフル」といった相反する要素を自由に行き来し、使い倒すことを目的とした新しいライフスタイルの提案です。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1540mmと、軽自動車規格の枠いっぱいに設計されています。
パワートレインには660ccの直列3気筒ターボエンジンを搭載し、S-エネチャージなどのマイルドハイブリッドシステムの搭載も示唆されていました。
エクステリアは、鮮やかなイエローのボディカラーと、木目調の素材を組み合わせた、ウッドデッキ付きのお洒落な雰囲気をまとっています。

そして、このクルマ最大の特徴といえるのが、車名の由来にもなったリアのデッキシステムです。
かつてのマイティボーイは2シーターでしたが、マイティデッキは「2+2」の4人乗りパッケージングを実現しています。
通常時は独立した荷室を持たないピックアップのようなスタイルですが、なんとこのウッドデッキ部分は電動で自動昇降するギミックを備えていました。
デッキを上昇させることで、その下には雨に濡らしたくない荷物を収納できるトランクスペースが出現します。さらに、後席とデッキの前部を倒せば、長尺物を積載できるフラットな空間も作り出せます。
これに加えて、ルーフには大きく開くキャンバストップを採用していました。オープンデッキとキャンバストップを全開にすれば、軽自動車とは思えないほどの圧倒的な開放感を味わうことができます。
インテリアもまた、このクルマの魅力を高める重要な要素です。
インパネにはエクステリア同様に明るいウッドパネルがあしらわれ、そこに硬質な金属パーツを組み合わせることで、温かみと先進性を融合させています。
フロントガラス下部には横長のディスプレイが配置され、ナビゲーションや天候情報、SNSのメッセージなどを表示するコネクティビティ機能も提案されていました。これは、現代のコネクテッド技術の先駆けといえる装備でしょう。
ただ、マイティデッキは残念ながら、その後の市販化は実現しませんでした。
その理由について公式なアナウンスはありませんが、電動昇降式のデッキや複雑なキャンバストップ機構、専用設計ボディなどを量産化するには、コスト面や重量制限、衝突安全性能面などで課題が大きかった可能性も考えられます。
マイティデッキは、あくまでショーモデルとして“遊べる軽”の新しい方向性を示したコンセプトカーにとどまってしまいましたが、そのユニークなデザインと“遊び心”満載のコンセプトは、現在の軽自動車に求められる多様化するライフスタイルへの柔軟な対応力を、スズキがいち早く示唆していた存在といえるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。
















