ポルシェを“時速268km”で運転、死亡事故を起こした会社役員に「危険運転致死罪」の適用判決! 「殺人罪と一緒」ネット上では厳しい意見が殺到! 一方、大分の事故では「過失運転」の判断も

2020年8月に神奈川県川崎市の首都高速道路において、ポルシェを時速200~268kmで運転中に他の乗用車に追突し夫婦2人を死亡させた事故についての裁判がおこなわれ、運転手の男に危険運転致死罪として懲役12年の実刑判決が言い渡されました。一方で、大分で起きた事故においては「過失運転」の判断がなされており、危険運転致死傷罪の適用ハードルが高い状況にあることがうかがえます。

「こんなん殺人罪と一緒」「二度と運転免許証を与えない仕組みにして」等ネット上では厳しい声相次ぐ

 2020年8月、神奈川県川崎市の首都高湾岸線において会社役員の男が高級スポーツカー・ポルシェを時速200~268kmで運転中、他の乗用車に追突して夫婦2人を死亡させる事故が発生しました。

 事故現場は首都高湾岸線の下り線で、最高速度が時速80kmに設定された片側3車線の直線道路です。

 この事故に関して2026年1月27日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死など)に問われていた運転手の男(56歳)の裁判が横浜地裁で開かれました。横浜地裁は男の運転について「常軌を逸した超高速度であり悪質極まりない」としたうえで危険運転を認め、男に懲役12年の実刑判決を言い渡しました。

 判決によると男は事故当時、助手席に長男を乗せ、事故現場の約6km手前から時速180km以上で走行し、現場から約500m手前では道路の最高速度を188kmもオーバーする時速268kmで走行していたということです。

 その後、男が真ん中の車線から右側の車線へ進路変更をしようとした際、前方を走行していた被害者のクルマに時速200kmものスピードで衝突しました。

 なお、この裁判では危険運転致死罪が成立するか否かが争点となっていました。

「危険運転致死罪」の適用はハードルが高い状況にある(画像はイメージ、mapo/PIXTA)
「危険運転致死罪」の適用はハードルが高い状況にある(画像はイメージ、mapo/PIXTA)

 そもそも危険運転については自動車運転処罰法第2条に規定があり、「アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」や「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」などによって人を死亡・負傷させた場合に適用されます。

 検察側は、時速200~268kmもの猛スピードで走行すればハンドルやブレーキ操作が困難になると指摘。男の運転が上記の「進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」に当たるとして、危険運転致死罪の適用を主張していました。

 これに対し弁護側は「事故直前までは安定して直進走行ができていた。被害者のクルマにぶつからないようブレーキを踏んだところクルマが横滑りして衝突したもので、わざと無理な運転をしたわけではない」などとして、過失運転致死罪が成立すると主張しました。

 これらの主張に関して裁判長は、「高速度であっても直進できれば良いというわけではなく、安全に車線変更ができるような速度で走行しなければならない。クルマが横滑りしている時点で、走行を制御できなくなっていた」として、危険運転致死罪の適用を認めました。

 また、被告が事故を起こす以前から時速200km超でたびたび運転していたことについて「自己の運転技術を過信し、高速度運転の危険性に対する意識が低下していた」「自己中心的な運転態度」と強く批判しました。

 その一方で被告の男が被害者や遺族に謝罪していること、二度と運転しないと約束していること、任意保険での賠償が済んでいることなどを踏まえ、懲役15年の求刑に対し懲役12年の判決に至りました。

 この結果についてインターネット上では「こんなん殺人罪と一緒でしょ」「子供が見ても危険運転なのは当然」「せめて二度と運転免許証を与えない仕組みにしてほしいですね」など、厳しい声が相次いでいます。

 さらに「大分の一般道での時速194km死亡事故では、2審は危険運転を認めず懲役4年6カ月でした。先日の判決は何だったのでしょう?どっちも危険運転だと思います」「一般道を194kmで暴走したやつもしっかり危険運転致死罪を適用すべき」という意見がみられました。

 上記の事故は2021年2月、大分県大分市の県道において当時19歳の少年が最高速度を134kmオーバーする時速194kmでクルマを運転し、交差点で対向車線を右折してきた乗用車に衝突、運転手の50歳の男性を死亡させたものです。

 同事故の裁判(2審)は2026年1月22日、福岡高裁でおこなわれ、こちらも道路を時速194kmで走行した行為が危険運転に該当するか否かが争われていました。

 しかし福岡高裁では「日常用語としての危険運転である」としつつも、「被告のクルマは進路から逸脱したり、ふらついたりしていない」と指摘しました。

 そのため危険運転の類型のひとつである「進行を制御することが困難な高速度」には当たらず、過失運転致死罪が適用されることになり、被告に懲役4年6か月の判決が言い渡されました。

 また裁判では、法定速度の3倍を超える高速度は悪質であるものの、これまでに過失運転致死傷罪で処罰した裁判例が積み重なっており、「被告に対してのみ特異な判断をすることはできない」と説明しています。

「進行を制御することが困難な高速度」に関しては、今のところ「時速◯km以上」といった明確な基準が定められているワケではなく、道路の形状や路面状況、自動車の構造などさまざまな事情を考慮して判断されるため、危険運転致死傷罪の適用ハードルが高い状況にあるといえるでしょう。

※ ※ ※

 危険運転致死傷罪の適用要件に関しては現在、有識者らで構成される法制審議会の部会で見直しが検討されており、「一般道路で時速50km、高速道路で時速60km以上」の速度超過で危険運転とみなす要綱案などが示されています。

 法務省は、今年の通常国会において自動車運転処罰法改正案の提出を目指しており、今後の動向に注目が集まっています。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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