第一弾は「ハイエース」用から! スマホで「足回り」を操る時代へ! カヤバが革新的な電子制御サスペンションシステム「ActRide」発表!

カヤバは2026年1月29日、スマホアプリで減衰力を自在に調整できる次世代電子制御サスペンション「ActRide(アクトライド)」を発表しました。直感操作で、乗り心地と操縦性を高次元で両立。従来の「足回りのセッティングは専門知識が必要」という常識を覆す、アフターマーケット向けの新システムです。第一弾はトヨタ「ハイエース」用を展開。仕事からレジャーまで幅広い用途に対応する本製品の魅力を解説します。

「音楽を選ぶように」走りを変えられるカヤバの新システム

 2026年1月29日、カヤバは、スマートフォン(スマホ)で減衰力を自在にコントロールできる次世代サスペンションシステム「ActRide(アクトライド)」を発表しました。

 本製品は、これまでの「足回りのセッティングは専門知識が必要」という常識を覆し、アプリひとつで走行シーンに合わせた乗り心地を瞬時に切り替えられる、カヤバ初のアフターマーケット向け電子制御サスペンションシステムです。

 今回発表されたActRideのポイントは、「直感性」にあります。オートモーティブコンポーネンツ事業本部 技術統括部 開発センター製品開発室 室長の古田雄亮氏は、次のように語りました。

「ActRideは、スマートフォンを使ってアブソーバーの減衰をコントロールする新しいシステムです。専門的な作業を一切必要とせず、直感的に、自由にお好みの乗り味に調整いただくことができます」

 これまでのサスペンションといえば、一度装着したら調整が難しかったり、手動調整式でも車を止めてボンネットを開ける手間などがありました。

 しかし、ActRideはBluetoothでスマホと連動。アプリ上のボタンをタップするだけで、好みのセッティングへ瞬時に変更することが可能です。

カヤバの電子制御サスペンションシステム「ActRide」
カヤバの電子制御サスペンションシステム「ActRide」

●高度なテクノロジーが支える「音楽を選ぶような操作感」

 この革新を支えるのは、カヤバが誇る電子制御技術です。システムは、専用アプリ(iOS、アンドロイド対応)、小型で軽量なIMU(慣性計測装置)内蔵のコントローラー、そして「ソレノイド式ショックアブソーバー」の3つの要素で構成されています。

 使用時にはまず、スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、Bluetoothで接続(初回のペアリング時のみセキュリティの観点からパスコードが必要)。続いて車種登録を行うと、車種ごとに最適に制御パラメーターを設定した数値がコントローラーに反映されます。

 3軸の加速度と3軸の角速度を計測できるIMUセンサーは、車体にかかる複雑な動きをリアルタイムで感知します。

 初期設定では、車種登録に加えてこのセンサーの補正を行い、ユーザによって異なるコントローラの取付け位置や向き、姿勢を重心位置の情報に変換。正確なセンシングを可能にします。

 従来のステッピングモーター式が段階的な調整だったのに対し、本システムが採用するソレノイド式は、物理的な駆動部を介さないため無段階でシームレスな調整が可能です。

 オートモーティブコンポーネンツ事業本部 技術統括部 開発センター製品開発室 室長の宮谷修氏は「まるでスマホで音楽を選ぶように乗り心地を選ぶことができます」と、語っています。

 調整パラメーターは、ベース減衰(フロント/リア)、Ride(乗り心地制御)、Handling(操縦性制御)、Speed Adpt.(車速に応じた制御量を調整)の5つに分かれており、これらを0から100の範囲で自在にカスタマイズできるのが魅力です。

 記憶させたセッティングは、スマホのボタンをタップすれば簡単に呼び出すことができます。デフォルトで設定されているコンフォートモード、スポーツモード、ノーマルモードに加え3つのカスタマイズ設定、合計6つのプリセットが可能。それぞれ好みの名前に変更し、保存できます。

カヤバ オートモーティブコンポーネンツ事業本部 技術統括部 開発センター製品開発室 室長の古田雄亮氏

●シーン別に最適なセッティングが可能に

 魅力はドライブシーンや用途に合わせ、モードの選択が都度可能な点です。

 例えば、家族で長距離ドライブに出かける際は、プリセットの「Normal」を選択し、さらに乗り心地を司るRideの数値を微調整することで、家族全員が快適に過ごせる乗車空間を実現。

 高速道路を走る場面ではSpeed Adpt.を上げることで、速度が上がるほどに足回りが引き締まり、ふらつきを抑えた安定感のある走りを叶えます。また、ワインディングを楽しみたい時にはHandlingを高めることで、ロールを抑えたキビキビとした旋回が可能になります。

 さらに、重い荷物を積載する際には、リアの「ベース減衰」を個別に上げることで、前後のバランスを最適化し、安全性を確保できます。

「例えば、今の車の乗り心地を良くできないか、運転手ごとにセッティングを変更できないか、子供が寝ているから起こしたくないなど、こういった様々な悩みをActRideが解決します」と宮谷氏は話します。

カヤバ オートモーティブコンポーネンツ事業本部 技術統括部 開発センター製品開発室 室長の宮谷修氏

●操縦性と乗り心地を「独立」して調整できる自由度

 ActRideの特長は、そのカヤバが持つ長年の知見と技術力、そしてそれらを活かした高度な制御ロジックにあります。

 一般的なショックアブソーバー(コンベンショナルタイプ)は、ピストン速度に対して減衰特性が固定されています。乗り心地を良くしようと設定をソフトにすれば、車体の揺れの収まりが悪くなり、逆に走行安定性を求めてハードに設定すれば、路面からのショックがダイレクトに伝わってしまいます。

 エンジニアは常に、この相反する要素の「中間点」をどこにするか、苦心してチューニングを行ってきました。

 この課題を解決するのが、リアルタイムで減衰力を変化させる「セミアクティブサスペンション」です。ActRideでは、減衰調整機構に「ソレノイド式」を採用しています。

 従来のステッピングモーター式は、モーターで物理的にバルブを回転させて段階的に調整するため、応答性や微細な制御に限界があったといいます。一方、ActRideのソレノイド式は、電流の強弱でバルブの圧力を直接制御する三重管構造を採用。

 ステッピングモーター式に比べて約8倍という圧倒的な応答速度を誇り、無段階でシームレスな減衰調整を可能にしています。

 また、車体と空中の間に仮想のダンパーを想定する「スカイフック制御」の導入にも注目です。

 これにより、まるで空中から吊り下げられているようなフラットな乗り心地を実現しました。上下方向だけでなく、ピッチ(前後)やロール(左右)を含めた三次元的な動きを抑制します。オートモーティブコンポーネンツ事業本部 技術統括部 開発センター製品開発室 専任課長の稲満和隆氏は次のように説明します。

「ActRideでは、OEMでも採用されている高度な乗り心地制御を、ユーザー自身がカスタマイズできる形で提供します。従来の固定式アブソーバーでは難しかった、低周波のフワフワ感と中周波のヒョコヒョコした振動の両方を抑え込み、高い次元で両立させています」

 見逃せないのは、乗り心地と操縦性をそれぞれ独立して調整できる点です。通常、足回りを柔らかくすると操縦性は犠牲になりますが、このシステムでは路面の凹凸を瞬時に検知し、旋回中でも必要に応じて乗り心地制御を自動介入させるため、背反する性能を高い次元で両立できます。

 ハンドルを切り始めた瞬間や、アクセル・ブレーキ操作時の姿勢変化に合わせてピンポイントで減衰力を高めます。一方で、旋回中に路面の凹凸を検知した際には、自動で乗り心地重視の制御を介入させるなど、シーンに応じた「最適解」をシステムが自動で選択します。

 これにより、「乗り心地はそのままに、ハンドリングだけを軽快にする」といった、これまでは難しかったセッティングが可能になりました。

カヤバ オートモーティブコンポーネンツ事業本部 技術統括部 開発センター製品開発室 専任課長の稲満和隆氏

●OEM品質の信頼性

 後付けの電子制御パーツとなると、故障時の不安がつきまといますが、ActRideは安全面でも余念がありません。万が一、配線の断線やシステムエラーが発生した際には、瞬時に通電を遮断。

 その際、アブソーバー内部の機構によって機械的に「ミディアム(中間)」の減衰力に固定されるフェイルセーフ機能を備えています。

 ハードウェアとしての信頼性は、自動車メーカーの純正部品(OEM)相当の試験をクリアしており、待機電流を抑えることでバッテリー上がりにも配慮されています。

●車種展開はトヨタ「ハイエース」から

 注目の初回販売車種は、トヨタ「ハイエース/レジアスエース」(200系)に決定しました。なぜ、スポーツカーではなくハイエースだったのでしょうか。

 宮谷氏は、ハイエースが仕事から趣味・レジャーまで用途が幅広く、積載量によって「空荷の時は跳ねる」「荷物が多いと安定しない」といった悩みが顕著である点を理由に挙げています。

 また、複数台ハイエースを所有する事業者向け(BtoB)のアプローチも視野に入れているようです。

 なお第一弾のハイエース用の価格(消費税込)は26万9500円です。

 今後展開される車種については明らかにされませんでしたが、「市場ニーズを踏まえて、ミニバンやSUVなど幅広い車種対応していきたい」と考えているとのこと。イベントなどを通して、自動車ユーザーの意見を集めていくとしています。

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Writer: くるまのニュース編集部

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