なぜ集中? 今年の夏に国産新型車が発売ラッシュとなった理由とは
新型車発売時期の裏事情
スズキの場合はまた別の理由です。2018年2月以降は、継続生産車も含めて、すべての軽乗用車に横滑り防止装置の装着が義務化されました。この影響でジムニーは、2018年初頭に生産を終えました。この後、2018年7月に、安全装備を充実させた新型にフルモデルチェンジされた経緯があります。ジムニーでは、横滑り防止装置の義務化もあって新型の発売時期が決まりました。
フォレスターについてはスバルの販売店から、発売時期に関する意見を聞くことができました。
「最近はSUVが人気を高めています。スバルでは新しいプラットフォームを採用したインプレッサが2016年10月に発売されたので、SUVのフォレスターも、2017年には発売されて売れ行きを伸ばすと期待していました。しかし発売は2018年7月になりました。もう少し早く発売して欲しかったです」
販売店としては旬な時期に他社よりも早く発売してもらって、売上につなげたいという願いがあって当然ですが、グローバルに売ることが求められるメーカーの目論見が、国内販売店のニーズと必ずしも一致しないという例でしょう。
2018年6月から7月の新型車ラッシュは、クラウンとカローラスポーツを除くと偶然の一致と考えて良いですが、発売時期はユーザーの動向、販売店の事情を汲み取った上で決めているわけではないということです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。