なぜ集中? 今年の夏に国産新型車が発売ラッシュとなった理由とは
2018年も半ばを過ぎて、怒涛の新型車ラッシュとなりました。しかも話題になったクルマが満載です。ではなぜこの時期に集中したのでしょうか。その謎に迫りたいと思います。
クラウンとカローラスポーツ同時デビューのワケ
2018年の6月から7月は、国産新型車のラッシュでした。6月は、22日にトヨタ「センチュリー」、25日にダイハツ「ミラトコット」、26日にはトヨタ「クラウン」と「カローラスポーツ」が同日に発売されています。7月に入ると、5日にスズキ「ジムニー&ジムニーシエラ」、13日にホンダ「N-VAN」、19日にはスバル「フォレスター」(発表は6月20日)、20日には追加車種ともいえますがホンダ「クラリティPHEV」という具合です。なぜこの時期に集中したのでしょうか。
日頃から新型車が活発に発売される状況であれば、複数の車種が続けてデビューすることもありますが、近年は車種数の整理やモデルチェンジのサイクルも伸び、以前に比べると新型車の発売が減る傾向にあります。にもかかわらず、発売時期が集中しました。
メーカーが互いに新型車の発売時期を調節し合うことは不可能ですが、国内市場の活性化という意味では、なるべく分散する方が好ましいでしょう。常に何らかの新型車がニュースになって、市場のクルマに対する関心を保てるからです。今回のように新型車が一時期に集中して、その後に発売されない期間が長引くと、クルマの話題性も薄れてしまいます。
この市場原理から考えると、トヨタの場合がもっとも特異でした。センチュリーは価格が1960万円に達するVIPモデルだから一般に広くアピールする車種ではありませんが、6月26日に発売されたクラウンとカローラスポーツは主力車種です。販売系列は異なりますが、両車ともユーザーの関心が高いですから、発売時期を分けた方がトヨタの話題性を長く持続できます。過去を振り返っても、ひとつのメーカーが複数の車種(姉妹車を除く)を同時に発売したケースはほとんどありません。
そこでトヨタの関係者に、クラウンとカローラスポーツを同時に発売にした理由を尋ねました。
「これからのトヨタは、コネクティッド(通信機能)に力を入れます。走る・曲がる・止まるという自動車の基本機能に匹敵するほど、コネクティッドを重視しています。そしてDCM(Data Communication Module/車載専用通信機能)を全車に標準装着した最初のクルマとして、クラウンとカローラスポーツを同時に発売したわけです。この2車種を皮切りに、今後は国内で発売されるほぼすべての乗用車に、DCMを標準装着していきます」
トヨタでは緊急通報サービスのヘルプネット、各種のオペレーターサービスなどを含めて、コネクティッドを今後のトヨタ車のセールスポイントにします。そのインパクトを強めることも視野に入れて、クラウンとカローラスポーツを同時に発売したということです。