軽バンで月販1万台! ホンダ 新型「Nバン」大ヒットの理由とは
S660のトランスミッションをベースに軽バン初の6MT採用
さて、走り出すと視界の広さと見切りのよさが好印象です。ダッシュボードやフロントウインドウのレイアウトにゆとりがあり、全高が高いこともあって実際の数値以上に室内が広く感じられて圧迫感はまったくありません。
ロングストロークエンジンならではの豊かなトルクで加速は力強く・・・・・・と言いたいところですが、これはまぁほどほどです。CVTのおかげで過渡特性はスムーズながら、車速を引き上げるには高回転をキープせざるを得ず、メーター右横に備えられた燃費計の数字が悪化していく様が気になります。
ちなみに約100kgの荷物を積載し、100km/hで高速道路を巡航した時の回転数は4000rpm強(レッドゾーンは7000rpmから)といったところ。実際には350kgの最大積載量で使われる場面も少なくないでしょうから、動力性能には限りがあります。
その一方で、加速している時も巡航している時も静粛性には優れています。「ハンズフリー通話もストレスなくできる」と謳う(うたう)だけあって、こもり音や反響音、透過音は少なく、軽バンとしては快適なレベルを達成。この手のクルマで会話しながら長距離を移動すると、いつの間にか声が枯れていた、ということは決して珍しくないものの、N-VANなら心配なさそうです。
サスペンションは荷物が軽いとしなやかで、重いとやや減衰不足を感じる場面がありますが、総じて当たりは柔らかく、ボディもしっかりしています。ステアリングのギヤ比はややスローながらもそれゆえ神経質さがなく、車体のロール量と旋回力をきれいにバランスさせながら走らせるのはちょっとしたゲーム感覚で楽しかったりします。
そういうドライビングファンに関しては、やはり6MTが秀でています。今回、ベーシックグレードの「G」(FF:126万7920円~[消費税込み])のそれに乗ることができたのですが、5段ではなく軽バン初の6段というだけで軽くテンションが上昇。しかもS660のトランスミッションがベースになっていると聞けばさらにグッとくるものがあります。
実際その操作性や節度感は期待を裏切らず、ほどよいストローク量のレバーをカチャカチャさせながら走らせるのはスポーツそのもの。CVTと異なり、望み通りのエンジン回転をいつでも引き出せる高い一体感にあふれていました。自然吸気エンジンならどのグレードでも選べるため、すべてを手の内に収めて操りたいユーザーはぜひ6MTを検討してみてはいかがでしょう。