新車からマフラーが消えた…見えないデザイン、メーカーの狙いは? 後付け品にも変化

マフラーを見えるようにしたい! というニーズも

 このように、マフラーはそのクルマのリアデザインに重要な意味を持つものですが、これはユーザーにとっても同じこと。自動車マフラーの業界団体である日本自動車スポーツマフラー協会(静岡県富士宮市)によると、「見えないマフラーを見えるようにしたい、というニーズは一定数あります」と話します。

 特に、トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」など、下向きの純正マフラーでも割と外から見える(大きな)ものがついている車種では、車体の左右に2本ずつマフラーを出して見栄えのするようなカスタムを施す人もいるそうです。

 しかしながら、このような後付けのマフラーでも、以前より長さが若干短くなっています。それは、道路運送車両法の保安基準で、いわゆる「外部突起」に関する基準が導入されたため。リアバンパー下部、具体的には「フロア・ライン※」から10mm以上突出しないことを推奨しているといいます。

保安基準でマフラーは、その上方のフロア・ラインを含む鉛直面から10mmを超えて突出してはならないとされている(画像:日本自動車スポーツマフラー協会)

「リアバンパーを真上から見たとき、バンパーは曲線を描いているため、外側に出っ張っている部分と引っ込んでいる部分があります。以前、マフラーはその出っ張っている部分まで伸ばすことができたのですが、現在はおおむね、マフラー位置から車外への突出を10mmまでにすることが推奨されています」(日本自動車スポーツマフラー協会)

 つまり、そもそも長いマフラーは車検に通らなくなっているわけです。ひとつの表現としてマフラーを強調するにしても、メーカーもユーザーも、このような基準のなかで個性を打ち出しているのです。

※保安基準では「垂直軸と母線のなす角度が30度である円錐を、積載状態にある自動車の外部表面に、できるだけ低い位置で連続的に接触させたときの自動車の外部表面と円錐との接点の幾何学的軌跡」とされている。

【了】

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