舗装路での性能を確かめたところで、オールシーズンタイヤを選ぶからにはもちろん無視できない、雪道での印象をお伝えします。

　今回は都市部のユーザーを想定し、あえてガソリンエンジンの2WD（前輪駆動）車でスキー場へ向かいました。（ティグアンにはディーゼルのAWD車もあります）

　都内から関越道、さらに上信越道を経由し、目指す長野県北部の降雪地帯へ到着。気温は氷点下を示しており、街路はしっかりと雪が積もった状態です。そこで「ソルウス 4S HA32」を装着したティグアンを走らせてみると、驚くほど自然な操作感で運転できました。

　特別な緊張や過剰な慎重さは一切必要ありません。まるで乾燥路での走行とほぼ変わらない感覚で、アクセルに反応してスムーズに加速し、意図したラインできちんとカーブを曲がり、確実な制動を発揮したのです。

　特に、安全走行の鍵となる圧雪路面でのブレーキング性能は非常に印象的でした。

　タイヤのトレッドパターンが雪に深く食い込み、路面をしっかりと捉える確かなグリップ感が、ステアリングやブレーキペダルを通じて手に取るように伝わってきます。

　そのおかげで、車重のあるティグアンであっても、不安を感じることなく確実に減速・停止させることができました。

　市街地特有の信号での発進と停止（ストップ＆ゴー）が続く状況でも、アクセルワークをいろいろと試しながら走行しましたが、タイヤは常に期待通りのパフォーマンスを発揮し続けました。

　スキー場へ向かう道中、その高い雪上走破性に大きな安心感を抱きながら市街地を走破できました。

　市街地を抜け、いよいよ本格的な雪道を通ってスキー場へと向かいます。

　前輪駆動（FF）のクルマ、しかもオールシーズンタイヤで、雪に覆われた坂道を上り切れるのかと、不安を感じるドライバーも多いことでしょう。

　われわれも、取材スタッフが乗るもう1台のクルマと一緒に、もし走行中に少しでも異変を感じたらすぐに引き返すという体制でテストに臨みました。

　市街地での確かな感触から、緩やかな上り勾配なら問題なさそうですが、雪山での実力はいかに？

　路面の状況を見ながら慎重に上り始めましたが、それほどきつくない坂道であれば、終始問題なくスムーズに前進。意図的に停車してからの再発進でも、トラクションコントロール（TCS）を使いながら、確実なグリップで上っていきます。

　上り坂だけでなく、雪道での安全を左右する下り坂でも、フットブレーキを使う際に終始安定した減速ができました。

　コーナリングにおいては、舗装路で感じたしっかりとした操縦安定性を雪上でも高いレベルで味わえました。

　これは、5種類のサイプを最適に配置してブロック剛性を高めた独自設計が、雪のかき出しとブロックのヨレ防止の両方で効果を発揮している証拠です。

　また、V字型の主溝を外側に向けて広げ、雪を効率よく排出するトレッドパターンのおかげで、ふもとから頂上まで長時間にわたり雪道を走行しても、タイヤの溝に雪が詰まる「目詰まり」は発生しませんでした。

　これにより、タイヤは常に雪面を捉え続け、高いグリップ力を維持。こうした点も、走破性に大きく貢献しています。

　オールシーズンタイヤには、舗装路重視から雪上性能重視まで幅があると述べましたが、「ソルウス 4S HA32」は舗装路だけでなく、雪道での走りもしっかりとカバーしていることがわかりました。

　もちろん過信は禁物です。多くのオールシーズンタイヤと同様、凍結路には対応していないとクムホタイヤも公表していますが、「ソルウス 4S HA32」は一般的なオールシーズンタイヤが想定するよりも厳しい雪上条件に対応でき、前輪駆動のSUVでもこれほど走れるというのは大きな発見でした。

　これなら、普段はサマータイヤと同じように使え、突然の雪でも慌てることなく、いつも通りにクルマを利用できます。

　毎日のようにクルマを使うファミリー層や、クルマにそれほど詳しくない人、とにかく雪で行動を制限されたくない人にとって、最適なタイヤと言えるでしょう。

　黒木さんも「雪の降らない地域に住んでいる人にとっても、これなら年に一度あるかないかの雪の日も安心できそうですね！」と話していました。

「ソルウス 4S HA32」は、その高い雪上性能が欧州で公的に認められた証しである「スノーフレークマーク」を取得しています。

　この認証があることで、日本国内の「冬用タイヤ規制」が発令された道路でも問題なく走ることが可能です。この点は、急な積雪に対応するための大きな安心材料となります。

　さらに、オールシーズンタイヤの利点を最大限に引き出し、ユーザーの経済的なメリットを確保するため、耐摩耗性能にも非常に力を入れて開発されています。

　高いレベルでバランスされた走行性能が長く持続するため、タイヤ交換の頻度を減らすことができ、結果的に経済的にも非常にやさしい選択肢となります。

　また、タイヤのトレッド面には、砂時計を模した新しい「スノー摩耗インジケーター」が採用されています。

　スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤにとって重要な、冬用タイヤとしての使用限界（残り溝50%）が、従来の目印よりもはるかに確認しやすくなりました。

　これにより、ドライバーはタイヤの摩耗状態をひと目で正確に把握でき、冬場の安全走行管理をサポートする便利な機能となっています。

　このように、「ソルウス 4S HA32」は、法的な適合性、経済性、日常の快適性、そして雪上での高い走破性といった、あらゆる面で非常に万能な実力を兼ね備えたオールシーズンタイヤです。

　多くのドライバーにとって、納得できる賢明な選択肢となるでしょう。

［Text：岡本幸一郎　Model：黒木美珠　Photo：土屋勇人］