ずっと売れてるネクセン「N’FERA RU1」ってどんなタイヤ? モノは試しSUVに装着 → 乗ってすぐ分かるこの感覚が答えだ! 【PR】
ナチュラルな応答性や低ノイズ性にうなる! フィーリングはお値段以上?
高速道路でまず感心したのは、アクセルを踏み込んだときの直進性の良さです。惰性で走らせているときもハンドルは真っすぐ安定していますが、トラクションを掛けていくほどに、タイヤのまとまり感が増してくるのです。
つまりは縦方向の剛性が高いのでしょう。だからブレーキング時も、減速Gが素直に立ち上げられるうえ、ペダルタッチも良いのです。

レーンチェンジにおいても、ステアリングの応答性がナチュラルです。
ハンドルを切ってもグリップが急激に立ち上がらず、直進時のシッカリ感を維持したまま、スムーズに車線変更ができます。見た目こそ派手ではありませんが、アウト側グルーブ(タイヤの溝)を最適化してブロック剛性をわずかに上げているのも、そのハンドリングの良さに現れているのかもしれません。

また乗り心地も、街中同様に快適です。最初はビードの硬さを感じましたが、全ての試乗を終えてタイヤがなじんだあとは、次第にしっとり感が増してきたのです。
そしてパターンノイズも、高周波がきちんと抑えられています。総じて高速巡航でも、疲れ知らずに走れるタイヤだと感じました。
対してコースト時(アクセルをオフにして、慣性で動いているとき)の転がり抵抗は、現代的な目で見るとちょっと多いのかな?と感じました。事実、ネクセンが公開するチャートを見ると、転がり抵抗の評価は5段階評価で3.5でしたし、そこに古さは隠せないのかもしれません。
とはいえ個人的な好みで言うとN’FERA RU1は、やたらに硬くて転がり続けようとする今どきのタイヤよりも、路面を捉える感触が高くて、安心感があるからとても好みです。もちろん、こうした相反する性能を高いレベルで両立させるのは理想ですが、そうなれば当然タイヤの価格も高くなります。

また今回は試せませんでしたが、この接地感の良さを味わうことで、チャート上でウエット性能が最も優れているという評価も自然とうなずけました。
排水性に関しては言及できませんが、技術的にはタイヤのイン側3本の主溝を太くする「3+1アシンメトリックグルーブ」を搭載して、耐ハイドロプレーニング(水の膜によってブレーキやハンドルが効かなくなる現象)性能も向上させています。そんなトータルパフォーマンスを有したタイヤが、プレミアムセグメントタイヤのおよそ7割の価格で手に入るのです。
しかし今回一番驚かされたのは、N’FERA RU1のワインディングにおける実力の高さでした。
ワインディングではクルマを安定方向へ導く信頼感の高い走り!
わかりやすく言えばそれは、「アンダーステア」知らずのハンドリングです。アンダーステアとは、カーブで思い描いたラインより、クルマが曲がらず外側に膨らんでしまうことです。
N’FERA RU1は、そんな曲がりにくさを感じることなく、ワインディングをしっかり走ってくれました。
当日は、かなりツイスティな峠道を上っては下ってと入念に確かめましたが、曲げても踏んでもタイヤが腰砕けたり、コーナリングの途中で接地が途切れたりはしませんでした。

先にも述べましたが、そのキャラクターはスポーツタイヤのようにCP(コーナリングパワー)を瞬間的に立ち上げるタイプではありません。むしろグリップ特性は穏やかで、車体をしっかり支える、「気は優しくて力持ち」タイプです。

ではなぜこのN’FERA RU1がワインディングを気持ち良く走れるのかというと、それは荷重に対してタイヤのグリップを、リニアに立ち上げてくれるからです。
このタイヤはブレーキングの際、トレッドに面圧を掛ければ掛けた分だけグリップが穏やかに立ち上がります。コーナーの入り口ではそのグリップ力をもって気持ち良くターンインすることができ、ターンミドルではタイヤがしっかりSUVボディを支えてくれます。

基本通りの操作をすればきちんと応える性格は、かつてその生産を共にしたミシュランタイヤとよく似ていると感じました。
そして出口に向かってアクセルを足していっても、タイヤが負けません。むしろ横Gを素直に縦方向へと変換してくれて、きれいにカーブを立ち上がっていけるのです。
走行後にタイヤの面構えを確かめてみましたが、サイドウォールはもちろん、中央リブの角も全くささくれることなくきれいだったのには、かなり感心させられました。
地面と唯一接触するタイヤは「良いものを装着」するに尽きる!
もちろん試乗車となったマツダCX-5も、走りの良いSUVです。

コーナーのエントリーからターンアウトまでトルクを微妙に変化させるG-ベクタリングコントロールや、内輪ブレーキを制御して姿勢を整えるキネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)は、タイヤを選ばず“黒子的”にその走りを支えてくれます。
しかし、だからこそ良いタイヤを着ければその能力はさらに高まります。走りの楽しさを追い求めるマツダ車とN’FERA RU1の相性はかなり良いと筆者(山田弘樹)は感じました。

Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。


































