あと1か月しか見られない!? 物凄く貴重な「クルマ達」 10台が一堂に会した理由は? 往年のラリー車を“富士”に展示、トヨタ・豊田会長とマカルーゾ財団の想いで実現【PR】
はるばる日本にやってきた! ラリーファンやクルマ好きなら1度は見ておくべきマカルーゾ財団の名車とは
●フィアット X1/9 アバルト プロトティーポ(1974)
1970年代のフィアット・グループのモータースポーツ活動は、フィアットが124アバルト、ランチアがストラトスで参戦するなど、 各社が独自に活動していました。
しかし同グループの参戦方針が大きく変わり、傘下のラリー・チームおよび参戦車両の統合を決定し、量販ミドエンジンスポーツカーのフィアットX1/9をベースに開発することに。
試作車にはアバルト製1.8リッターDOHCエンジンを搭載するなど広範囲な改造が施されました。
本プロジェクトの責任者が、フィアット・ラリーチームでコ・ドライバーだったジーノ氏です。
1974年に参戦を開始しラリーやレースでクラス優勝しましたが、フィアット経営陣は「X1/9では販促に繋がらない」と判断して本計画を断念、ベース車両を131ミラフィオーリに変更したと言います。
今回の展示車は、F1ドライバーのクレイ・レガッツォーニ氏が、コ・ドライバーのジーノ氏とともにジロ・ディ・イタリア・アウトモビリスティコに出場した実車です。
ジーノ氏がプロとして出場した最後の車両で、引退後にラリーカーコレクターとして活動を開始した彼が最初にレストアした車両でもありました。
●ミニ・クーパーS(1966)
1956年のスエズ危機によってイギリスでの石油不足が不安視されるなかで、省燃費な小型車としてミニ・シリーズが誕生しました。
車体を小型化して軽量にすることと外寸を最小限に抑えながら同時に広い車室を得ることを可能にするために、エンジンを車体の前側に横置きにして前輪を駆動するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式を採用。
これにより「ミニは小型車の革命」と評され、横置きエンジンのFF方式は、小型車の標準になりました。
そしてスポーティバージョンとして派生したクーパーSは、オリジナルの850ccエンジンを1,275ccに拡大したエンジンを搭載します。
軽量・小型からの身軽さ、優れた操縦性から、モータースポーツの世界にも革命をもたらしました。
またレースに加えラリーでも活躍し、モンテカルロ・ラリーでは3勝しています。
今回の展示車両は、1966年モンテカルロ・ラリーにBMCワークスチームから出場した車両。翌1967年にはフィンランドの1000湖ラリーでボンネットが開いてしまうトラブルに見舞われながらも優勝しており、上記の画像に残る傷はそのときのものです。
●ランチア・ストラトス(1973)
ランチア・ストラトスの誕生以前は、生産モデルをベースにモータースポーツ参加を意図した派生型の使用が一般的でした。
しかし、ランチアは「これでは制約が多い」と考えた結果、白紙から「ラリーでの勝利を第一目的」としたマシンとしてストラトスを設計。この思想は前述の「インプレッサ」や「GRヤリス」とも似ているといえます。
そんなランチア・ストラトスには、ランチアの競技責任者であるフィオリオ監督の勝利への強い想いがエンツォ・フェラーリの心を動かし、フェラーリ製のV型6気筒エンジンの獲得に成功したという逸話も。
またラリー・ドライビングに適した設計のミドシップ・シャシーに横置きに搭載し、後輪を駆動させるという工夫も行っています。
ボディはマルチェロ・ガンディーニが良好な前方視界を考慮してデザイン。
またフィアット・グループだけでなく、スポンサーやサプライヤーまで含めればイタリアの総力を挙げてストラトスでWRCに挑み、タイトルを引き寄せたというエピソードも。
今回の展示車は1976年から1979年までのヨーロッパのラリーで使用されたものです。
初戦の1976年ジロ・デ・イタリアは、Gr.5仕様で出場し、高速コースを考慮して前後に大型のエアスポイラーを備え、エンジンにはターボを装着。スポンサーカラーにはマールボロのカラーリングが施されています。
●フィアット131アバルト Gr4(1978)
石油危機のなかでラリー活動を継続するため、フィアットは販売促進の効果を考慮して、FR方式の量販乗用車「131ミラフィオーリ」をベースに参戦車両の開発を決定しました。
アバルトがDOHC16バルブ1,995ccエンジンを、ベルトーネがボディの改造を担当しています。
外観は4ドアから2ドアに変更し、前後オーバーフェンダー、ルーフスポイラーを追加。さらに軽量化のためにFRP製のボンネットとトランクを装備していました。
今回の展示車は、主にイギリスラリー選手権で活躍したもので、1978年のウェールズラリー3位やマンクスラリー5位入賞等でワークス車両の1台として入賞を重ねた実車です。
●アウディ・クワトロ(1981)
モータースポーツの歴史では、革新的な技術の採用によって大きな成功を収め、その後に生産車に影響を与えた例は少なくないです。
アウディのフェルディナント・ピエヒ指揮のもとで、オンロード・スポーツモデルの“クワトロ”に採用したフルタイム4輪駆動方式(4WD)もそのひとつでした。
この4WD最大のメリットは、濡れた舗装路面、雪道、氷、未舗装路など、あらゆる種類の路面で高い駆動力を発揮し、優れたパフォーマンスと安定性が得られることにあると言います。
そんなクワトロは1981年のWRC初戦から投入され、2戦目のスウェーデンで初優勝。
今回の展示車は、1982年WRCでアウディ・ワークスチームが使用した実車です。
●ルノー・サンク ターボ(1981)
ルノーは、F1レースで率先してターボ付きエンジンを装着して参戦していましたが、培った知見をWRCに拡大させていきます。
ルノー・サンクをベースにしたボディには、太いタイヤを収容するために前後に巨大なオーバーフェンダーを、ルーフ後端には大型のスポイラーを備えます。
ボディにはアルミやプラスチック素材を広範囲に使用して軽量化を図りました。
ルノーの量販乗用車由来の1.4リッターエンジンにターボを装着してミドシップ化して2シーター化しました。
その後、Gr.Bの公認取得に必要な台数を生産した以降も、ルノーのホットモデルとして継続生産され、モータースポーツが市販車の性能向上に寄与した好例と言えます。
今回の展示車は、1981年モンテカルロ・ラリーで優勝した実車です。

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1960年代から1990年代にかけて、世界のラリーで大活躍した名車が一堂に展示されたTHE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN。2024年11月から開催されていますが、これまでどのような反響があったのでしょうか。前出の布垣直昭氏は次のように語ります。
「今回の企画展は来場者の数に如実に現れています。
これは富士モータースポーツミュージアムに限らず、世界中あるいは日本のミュージアムに共通しているんですけれども、冬は閑散期なんです。
今回の企画展は、まさにその時期の開催ですが、前年と比べて多い月で180%と、2倍近いお客様が来場いただいています。
またメーカーや年代の垣根を超えた展示でもあるので、日本全国から幅広い世代のお客様が来ていただいている他、海外からのお客様も多くいらっしゃいます」
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あと1か月の開催となったTHE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPANについて、最後に布垣直昭氏は次のように話してくれました。
「今回の企画展におけるラリー車の組み合わせはイタリアでも、日本でももう多分2度と見ることはないかもしれません。
また現在の富士モータースポーツミュージアムには、マカルーゾ財団のコレクションに加えて、幻のクルマとも言われるミッドシップ・4WDの『TOYOTA MR2 222D』の二次試作車も展示されており、この個体は以前にトヨタ博物館でラリー展をやった際に『222Dを見るために来ました』というお客様がいるほど人気です。

そうした意味でも、滅多に見られないマカルーゾ財団のコレクションと、トヨタ秘蔵のクルマを一緒に見られる貴重なタイミングですので、ラリーのことを知ってる人は楽しめること間違いないと思います。
また知らない人でも自分の普段乗っておられるクルマに影響を与えた歴代の名車を見られたら、何か感じるものがあるのではないでしょうか。
それをきっかけにクルマやラリーに興味をもってもらえることがあるんじゃないのかなと思います。なので『モータースポーツ博物館』の企画展と身構えずに、騙されたと思って見に来てください」
####【THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN 概要】####
●展示場所
富士モータースポーツミュージアム内 2F展示エリア
●展示期間
2024年11月27日(水)~ 2025年4月8日(火)
●入館料金
平日:大人(18歳以上)1800円、 中高生900円、小学生700円
土日祝:大人(18歳以上)2000円、中高生1000円、小学生800円
※インターネット事前予約割引 (大人-200円)、各種カード割引(大人-200円)、団体割引あり
●開館時間
月曜日~木曜日:10時-17時
金曜日:10時-19時
土曜日・祝前日:9時-19時
日曜日・祝日:9時-17時
####【THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN 概要】####
Writer: くるまのニュース編集部
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