9年ぶりのフルモデルチェンジで何が変わった!? 新生アウトランダーPHEVを雪上・一般道・高速道で徹底検証【PR】
9年ぶりにフルモデルチェンジされた三菱「アウトランダーPHEV」を雪道など様々なロケージョンで試乗しました。その乗り味をモータージャーナリストの九島辰也氏が徹底レビュー、売り上げ絶好調の理由を徹底解明していきます。
9年ぶりにフルモデルチェンジ!売り上げ絶好調の三菱「アウトランダー」
9年ぶりにフルモデルチェンジした三菱「アウトランダーPHEV」が売れています。発売は2021年12月16日ですが、2021年10月28日の先行受注開始から2022年2月5日までの3ヶ月ちょっとで1万台を超えたそうです。
月販販売計画は1000台なので、かなり好調といえます。あるいは、先代モデルの年間販売台数が1万1000台だったことを鑑みると、大成功といえます。きっと開発責任者は鼻高々でしょう。
それだけでなく、受注全体の約8割が最上級グレードのPというのも、プレミアム度が高いとともに利益率も高くなるため、三菱にとっては喜ばしいことでしょう。
新型の人気の理由はいくつか想像できます。デザイン、価格、装備のお得感、信頼性、それと走りの気持ちよさなどなど。個人的に思うのは、パワーソースをPHEV(プラグインハイブリッド)に絞った点も大いに影響している気がします。早くからPHEVを手がけたメーカーとしての集大成といったニュアンスを感じます。
デザインコンセプトはBOLD STRIDE(ボールドストライド)
ではその個性的なデザインはどこから生まれたのでしょう。デザインのコンセプトは「BOLD STRIDE(ボールド・ストライド)」となります。これは“堂々とした元気のある姿”といったところですが、そもそもそれはクルマ全体のコンセプト「威風堂堂」に直結しています。ボディ全体はボリューム感があって、フロントマスクもかなり押し出しの強い装いとなりました。
思うにそれは北米マーケットを強く意識している気がします。シボレーやフォード、ダッジのピックアップトラックやSUVを思い浮かべてもらうとわかりますが、そのマッチョな顔はインパクト大でマーケットもそれを望んでいます。つまり、この手のクルマには力強さが求められているのでしょう。
ただそうは言っても、細部は精緻に作り込まれているのが日本ブランドの特徴。大胆なだけでなく緻密さも感じられるのはさすがです。そんな手法が功を奏したのか、昨年度のグッドデザイン賞を受賞しています。
ディメンションは全長4710mm、全幅1860mm、全高1745mm。ホイールベースを含め従来型よりサイズアップしました。しかし、見た目ほどではなく国内での使い勝手もしっかり吟味されているので、なかなか絶妙な寸法に留まっていると言えます。
サイズアップされた新型アウトランダーPHEVのキャビンには2列5名乗車と3列7名乗車のシートレイアウトが用意されています。もっとも売れている最上級グレードが7名乗車であることから、3列シートが人気のようです。
また、従来型ではそれを選ぶとガソリンエンジン車しか選べませんでしたが、新型では「PHEV+3列シート」が選択可能になりました。冒頭に記したように、受注台数が右肩上がりなのは、それがマーケットに浸透してきたからではないでしょうか。技術の進歩がここで大いに役立っています。
それではデザイン的にどう進化したかというと、インテリアは全体的に高級感が増しました。特にダッシュボード周りは顕著で、ドアトリムやセンターコンソールに使うレザーをダッシュボードにも用いています。2クラス上と感じるほどのアクセントです。
またスイッチ類も洗練されました。特に、センターコンソールのシフトレバーやダイヤル式の4WDセレクトスイッチは派手さが無いところにセンスの良さが光ります。
また同時に、4WDセレクトスイッチのみならず、エアコンやオーディオのダイヤルも感触がよく、目線をずらさずに確実な操作ができる工夫がなされています。こうした気遣いもまた進化の結果といえるでしょう。
モーターとバッテリーは新世代へ、刷新されたパワートレイン
デザインとパッケージングの進化を先に述べましたが、新型アウトランダーPHEVはその基本となるプラットフォームも新しくなりました。日産、ルノーとも共有するそれは新世代のグローバルプラットフォームです。
ポイントは軽量化と高い剛性はもちろんですが、レイアウトにもこだわっています。また、前後駆動用モーターの配置や、リチウムイオンバッテリーを低く積むという点も大きなこだわりです。それらがバランスよく配置されて、はじめて高い運動性能と気持ちのいい走りができます。
今回はバッテリーセルを増やしたり、モーターの効率化を進めたのも大きな変化といえます。結果、EV航続距離はWLTCモードで最大87キロへ延ばしました。これは従来型のおよそ1.5倍で、大きな飛躍といえます。
これで、街中ではEV、長距離ではエンジン+モーターというPHEVの特性が大いに活かされるでしょう。およそ発電機として使われるガソリンエンジンは、2.4リッター直4DOHC。最高出力は98kW、最大トルクは195Nmを発揮します。