「アンダー300万円」「メーターがない!?」で衝撃的!? 新鮮設計で戸惑いも… マツダ新型SUV「EZ-60」“走り”最高!? 中国専売の実力とは【試乗記】
2025年9月、マツダが中国で発売した新型BEV「EZ-60」に試乗した。長安汽車との共同開発によるSUVで、全長4850mmの堂々たるボディを持つ。26インチ超の巨大画面や斬新な空力設計など見所満載だが、マツダファンが気になる「走り」や「内装」の仕上がりはどうなのか。その実力を現地の公道で確かめた。
「メーターがない!?」 26インチ画面&デジタルミラーの衝撃
マツダが2025年9月に中国で発売した新型「EZ-60」に試乗しました。
いったいどのようなクルマなのでしょうか。
現地で試乗した印象を解説していきます。
EZ-60は2025年9月に発売された中国専売EVで、開発は合弁相手である「長安汽車」、そしてその合弁会社「長安マツダ」と共同で行われました。
同社と共同開発した新規設計EVとしては、2024年発売の「EZ-6」に次ぐモデルとなります。
EZ-6が長安汽車の「ディーパル」ブランドの「L07」をベースとしているように、EZ-60では同じディーパルのSUV「S07」がベースと言われています。
その一方で、どちらもマツダの理念に沿って独自の内外装デザインが与えられており、走りもマツダ車らしい仕上がりです。
ボディサイズは全長4850mm×全幅1935mm×全高1620mm、ホイールベース2902mmと、日本で販売されているCX-60よりも少し大きいです。
ただ、全高は比較的抑えられているので、SUVながらスポーティな印象も感じさせます。
空力性能を意識した設計がユニークで、フロント上部やDピラーを空洞にして空気を逃がすことで、航続距離や電費を向上させています。
パワートレインは、1.5リッター直列4気筒エンジンを発電用に搭載するレンジエクステンダー付きEV(EREV)と、純電動の電気自動車(BEV)の2種類で展開しています。
EREVとBEV問わず駆動方式は最高出力254hpの後輪駆動のみで、バッテリー容量はEREVモデルが31.73kWh(CLTC航続距離160km)、BEVでは77.94kWh(同600km)となります。
インテリアはEZ-6よりもアップデートされており、質感と機能の両方において進化が感じられます。
中央には26.45インチのディスプレイを配置。従来のセンターディスプレイだけでなく、助手席用ディスプレイやインストルメントパネルの役割も担います。
インストルメントパネルが存在しないため、車速や航続距離、シフトレンジといった情報はHUD、もしくはこのディスプレイの左上部分で確認する形です。
かなり新鮮な設計で最初のうちは戸惑いますが、運転していると意外に慣れるものです。
EZ-6では各ディスプレイのUIやグラフィック、フォント使いが安っぽい印象でしたが、EZ-60ではマツダのブランドイメージに沿った設計へと刷新されており、こういった細かい部分でも上質な雰囲気が感じ取れます。
また、中国でも採用車種が少ないデジタルアウターミラーも採用しています。
左右後方確認用のディスプレイはドアパネルの内側に設置されており、時間帯や天候に関わらずクリアな映像を表示。
一方で従来のミラーよりも遠近感は掴みづらく、この点は慣れるまで時間が必要かもしれません。
内装は中国のトレンドを取り入れている一方、光沢仕上げのボタンを採用したり、ほとんどの部分で素材が合皮だったりと、従来のマツダ車らしさは薄いかもしれません。
通常の現行マツダ車で筆者が好きな点はウインカーレバーを倒したら固定されるところですが、EZ-60は固定式ではなく、運転中の操作においてもかなり異なった印象を感じさせます。
悪い設計ではないのですが、確固たるアイデンティティを形成しているマツダが製造コストを抑えてまでトレンドを反映した設計を実現するとは、少々考えさせられました。

昨今の新興メーカーが作るEVはどれもアクセルのチューニングが中途半端で、運転手以外の乗員からは「酔いやすい」としばしば評されます。
一方で日本メーカーのEVは加速の出だしをマイルドに調整しつつ、なおかつ最高出力も二輪駆動モデルで250hp前後に抑えているので、乗り味はとても優しく感じます。
EZ-60もその例外ではなく、アクセルとブレーキともに踏んだ分だけ効いてくれる、理想的な仕上がりとなっています。
サスペンションは一般的なSUVと比べてかなり硬めですが、スポーティな味付けなのでそこまで酔うような雰囲気ではありません。
サスペンション形式はフロント・マクファーソンストラット/リア・マルチリンクとなります。
ハンドリングも良く、ちょっとしたコーナーでSUVながらも機敏な乗り味を体験できるのは意外でした。
EZ-60の価格は、EREVが11.99~15.49万元(約268.2~346.5万円)、BEVが15.09~16.09万元(約337.5~359.9万円)に設定されており、BEVがわずかに高い形です。
今でこそEZ-6はEZ-60と同等の価格帯で販売されていますが、発売当時はEZ-60よりも少し高い価格でした。
こういった事情からも、EZ-6よりも上質なEZ-60をこの価格で発売したのには驚かされました。
販売台数は発売初月の2025年9月に3317 台、10月には4565台を記録。もちろんセダンとSUVの違いもありますが、EZ-6よりも全体的に質感を向上させたのが功を奏しているのか、販売状況は比較的好調な印象です。
長安マツダは2026年以降も共同開発のEVを投入すると予告しています。
また、輸出も積極的に進めており、すでにEZ-6は「マツダ6e」として欧州やオセアニア、東南アジアの各国で販売されています。
EZ-60も同様に中国国外での販売を予定しており、遅れ気味だったマツダの電動化を一気に進める重要な存在になることでしょう。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。































































