マツダの「コンパクトミニバン」がスゴイ! 全長4.4m級の「ちょうど良いサイズ」&2.3リッター「直4」採用! 上質デザインの「MX-フレクサ」スイスモデルとは
市販モデルが発売される前に、モーターショーでコンセプトカーとしてお披露目されることがあります。マツダの2代目「プレマシー」も、「MX-フレクサ」として事前に発表されました。その意図を探ります。
マツダのスライドドアミニバン!
市販が決定しているモデルを発売する前に、ショーモデル的な装飾を施し、コンセプトカーとしてモーターショーに展示されることがあります。
そのジャンルは華やかなスポーツカーのみならず、コンパクトカーからミニバンまでさまざま。2004年のジュネーブショーにマツダが持ち込んだ「MX-FLEXA(フレクサ)」も、その一台です。

MX-フレクサは、ズバリ翌年に発売された2代目「プレマシー」の “事前公開版” でした。
そのため車体サイズは全長4470mm×全幅1745mm×全高1650mm、ホイールベース2750mで、これはほぼ市販版を同じ。
最高出力126kW(6500rpm)を発生する2.3リッター直4の「MZR型」エンジンを搭載し、トランスミッションは4速AT、という具体的なスペックも示されていました。
ちなみに初代プレマシーは、1999年に誕生した小型ミニバン。全長約4300mm、全幅約1700mmのコンパクトな5ナンバーボディながらも、3列シート・7人乗りを実現していました。リアドアはスライド式ではなく通常のヒンジ式で、ミニバンというよりは背が高いハッチバック、という趣でした。
当時欧州では、このサイズの小型ミニバンは「モノスペースカー」「MPV(マルチパーパスビークル)」「スペースワゴン」などと呼ばれる一大ジャンルを築いていました。
MX-フレクサ発表時に出されたマツダのコメントには、「小型ミニバン市場は世界中で成長を続ける重要なセグメント。欧州でも過去5年間で爆発的な成長を見せており、主要の5市場で200%以上の拡大が推測される」と残されているほどです。
この市場を開拓したのは、1996年にデビューしたルノー「メガーヌ・セニック(のちにセニックに改称)」です。Cセグメントハッチバック「メガーヌ」の全高をアップしたモデルで、2列シートの5人乗りながらも、優れた居住性・積載性により人気を博しました。2003年には3列シートを備えた2代目に発展しています。
セニックの影響力はとても大きく、シトロエン「クサラ・ピカソ」、フォルクスワーゲン「トゥーラン」、オペル「ザフィーラ」、フォード「フォーカス C-MAX」、メルセデス・ベンツ「B クラス」、トヨタ「カローラスパシオ(海外名:カローラヴァーソ)」などのフォロワーを続々と生み出しました。
そこでマツダは、激戦区と言える欧州小型ミニバン市場で強いプレゼンスを築くべく、欧州では「マツダ5」と呼ばれることとなった2代目プレマシーを開発。スタイリッシュなフォルム・優雅で均整が取れた感情に訴えるデザイン・「ZOOM-ZOOM」という当時のマツダが掲げていたコンセプトを体現する、快活でスポーティな走り・高い実用性などを備え、強力なライバルたちに立ち向かいました。
2代目プレマシーは「アクセラ(海外名:マツダ3)」のプラットフォームを採用して全幅が1700mmを超えたため、日本では3ナンバー登録に。搭載エンジンも初代の1.8/2リッターから、2/2.3リッターに拡大されたほか、リアドアがスライドドア式となったのも大きな変化でした。
このように、2代目プレマシーが事前にMX-フレクサとして欧州のモーターショーで発表されたということは、このモデルがマツダの欧州戦略にとっていかに重要なモデルだったのかがわかります。
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欧州の小型ミニバン市場は今なお人気が高く、日本にも数車種が正規で輸入されていまが、2025年現在、残念ながらマツダではミニバン市場から撤退。2010年にフルモデルチェンジして3代目を迎えたプレマシーも、2018年には販売を終えています。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。



































































