EV車の意外と知らない査定基準 中古車価格は「バッテリー劣化」が重要!?
中古車の価格を決める基準は、クルマの年式や走行距離を重点に査定しています。しかし、電気自動車では搭載されている「バッテリー」の劣化具合を重要視して価格が決められています。
走行用バッテリーの劣化具合が重要項目
一般的な中古車の価格を決める基準は、クルマの古さを示す年式や、使われ頻度を示す走行距離を中心にしてきました。しかし、電気自動車ではもうひとつ別の基準があり、価格に大きな影響を与えています。それは走行用バッテリーの劣化具合です。
電気自動車にとって、走行用バッテリーは非常に重要で、走れるかどうか、そして長距離まで一気に走れるかどうかの鍵を握る重要な部品です。しかも、部品としての価格が高く、気軽に交換できるものではありません。
反対に電気自動車は、機械的な劣化部品が少なくなっています。電気モーターの構造はシンプルで、エンジンやトランスミッションのように複雑な部品が絡み合う機械がないので故障も少ないといわれています。また、モーターは回転数の範囲も広く、逆回転もできるのでエンジン車のようなトランスミッションが不要です。
ハイブリッド車でも同じことがいえますが、発電の抵抗力で速度を落とす回生ブレーキがあるため、ブレーキパッドの減りが少なくなります。結果的に、走行距離による劣化場所が少ないということになり、余計に走行用バッテリーの劣化が中古車価格に重要な影響を与えてくるというわけです。
低走行でもバッテリーが劣化した中古車がある
電気自動車の中古車市場には、旧型の日産「リーフ」が多く出回っています。リーフの中古車を見ていると、走行距離が少ないのに低価格であったり走行距離は多めなのに高価格のものが見受けられます。
その理由は、走行距離よりもバッテリーの状態を反映しているからです。実際に、販売されている走行距離1万キロ未満の中古車を確認したところバッテリーの劣化が進んでいました。
反対に、走行距離3万キロのクルマはバッテリー劣化がほとんどありません。車両本体価格には、バッテリー劣化が反映され、走行3万キロのクルマのほうが倍ほど高くなっていました。
走行距離が少ないにも関わらずバッテリーが劣化する原因としては充電方法や使い方の差もあります。クルマとしては、ほとんど動かさずV2H(ビークル・トゥ・ホーム)といった自宅の蓄電池装置として使っているクルマもあると考えられます。また、従業員のリーフを会社にある電源を使用し、退勤時までに充電して元にもどして返すといった実験をしている事業所も存在します。
バッテリーは、充電と放電を繰り返せば走行はしていなくても充電池の劣化は進んでいきます。バッテリーの使われ方は、クルマを見ただけではわかりませんので、見比べる段階でバッテリーの状態を正確に把握する必要がありそうです。