ホンダがAstemoを連結子会社化! 日立から株式取得で「ホンダ6割」の体制へ
ホンダは2025年12月16日、持分法適用会社であるAstemo株式会社の株式を日立製作所から追加取得し、連結子会社化すると発表しました。出資比率を61%に引き上げ、SDV開発やAI技術の導入スピードを加速させる狙いです。
巨大サプライヤーの変遷
2025年12月16日、ホンダは大手サプライヤーであるAstemo(アステモ)の株式を日立製作所から追加取得し、連結子会社にすると発表しました。
これによりホンダの出資比率は61%となり、経営の主導権を握ることになります。
ケーヒンやショーワなどの統合で生まれたメガサプライヤーは、ホンダ主導の下で新たなフェーズに入ります。
ホンダにとって極めて重要なパートナーであるAstemo(アステモ)の体制が、大きく変わろうとしています 。
ホンダは2025年12月16日、現在40%を出資している持分法適用関連会社のAstemoについて、日立製作所(以下、日立)から21%相当の株式を追加取得することを決定。これにより、Astemoはホンダの連結子会社となります。
そもそもAstemoは、2021年1月に日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業という有力サプライヤー4社の経営統合によって誕生したメガサプライヤーです。
発足当初より業界内での存在感は大きく、直近の2023年10月には、JICキャピタル(JICC)を新たなパートナーとして迎え入れました。
この時点での資本構成は、ホンダ40%、日立40%、JICC20%となっており、ホンダと日立が対等な立場で支える体制をとってきました。
しかし今回、ホンダと日立、JICCの3社は、新たな資本構成に変更することに合意。手続き完了後の出資比率は、ホンダが61%と過半数を握り、日立は19%、JICCは変わらず20%となる予定です。

■なぜ今「ホンダ主導」?
これまで対等なパートナーシップを組んでいた中で、なぜ今、ホンダが主導権を強める決断をしたのでしょうか。
その背景には、自動車業界で加速する「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」への急速なシフトがあります。
クルマの価値は従来のハードウェア主体から、ソフトウェアによって機能が進化・拡張するSDVへと移り変わっています。
Astemoは高いソフトウェア開発力を強みとしていますが、激変する環境下において、AIやソフトウェアを高効率かつ高速で開発できる体制の構築が急務となっています。
ホンダとしても、自社のSDV開発力やコスト競争力を一層のスピード感を持って向上させる必要があります。
そのためには、ハード・ソフト両面で高い技術を持つAstemoの成長が欠かせません。
そこでホンダは、親会社として自らが変革をリードすることが最善であると判断。従来の枠組みを超え、より踏み込んだ形で経営に関与することで、意思決定のスピードを上げ、競争力を高める狙いがあるといえます。
■2026年の完了目指す
今回の株式追加取得は、競争法や法令に基づく許認可の取得を経て、2027年3月期第1四半期中(2026年4月〜6月頃)の実施が見込まれています。
ホンダは、新たに親会社としてAstemoの成長を牽引していくことになりますが、将来的なAstemoのIPO(新規株式公開)を視野に入れている点に変更はありません。
グローバルメガサプライヤーとしての地位を確固たるものにするため、ホンダが手綱を握り、次世代のクルマづくりに向けたアクセルを強く踏み込んだ形です。
今後の具体的な技術開発や、新型車へのフィードバックにどのような変化が表れるのか、業界の注目が集まります。
Writer: くるまのニュース編集部
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