スバルの「新たな4ドアスポーツクーペ」に注目! 伝説「スバルブルー」に旧車風“ヘリテージデザイン”も採用! 高性能4WD搭載の「パフォーマンスE STI」コンセプトとは

スバルが「ジャパンモビリティショー2025」で披露したコンセプトカー「Performance-E STI concept」。このクルマにはどのような想いが込められているのでしょうか。

スバルの電動化を推し進める「4ドアスポーツクーペ」

 スバルは2025年10月30日から11月9日に開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」で「Performance-E STI concept(パフォーマンスE STIコンセプト)」を発表しました。

 パフォーマンスE STIコンセプトは近未来のバッテリーEVを示したコンセプトカーですが、どのようなものなのでしょうか。そしてどういう思いが込められているのでしょうか。

スバル「Performance-E STI concept」[ジャパンモビリティショー2025]
スバル「Performance-E STI concept」[ジャパンモビリティショー2025]

 スバルだけでなく、どの自動車メーカーも内燃機関だけでなく、クルマから排出される二酸化炭素を減らしていくためにバッテリーEV(電気自動車)の開発をしていく必要があります。

 スバルはトヨタと共同してバッテリーEVの「ソルテラ」を販売していますし、今回のJMSでは「トレイルシーカー」という新型バッテリーEVも公開しています。

 今後もバッテリーEVの開発は続いていきますし、しなくてはなりません。そんななかで将来自社開発のバッテリーEVを走らせるためのコンセプトモデルが、このパフォーマンスE STIコンセプトになります。

「パフォーマンス」という名前がついていることから分かる通り、バッテリーEVのパフォーマンスを存分に発揮するため、三元系の円筒形セルバッテリーを搭載しています。

 高出力、長寿命、軽量という3つのメリットを持ち、また独自の冷却システムによって、車両ライフ全体で安定したパフォーマンスを発揮します。現在主流となっているリン酸鉄バッテリーで同じ容量のものと比べると、車両全体で約10%の軽量化を可能にしています。

 会場に流れていたコンセプトムービーには前後にモーターを搭載し、スバルが長年培ってきたAWD(4WD)制御を用いて、ワインディングからサーキットとあらゆるシチュエーションで楽しめるクルマになっていることをアピールしました。

「エブリデイスーパーカー」という目標の通り、いつでもどこでもどんな場所でも、スーパーカーのようなダイナミクスとバッテリーEVがもつ静粛性や瞬発力などを併せ持つモデルになると思われます。

 迫力のボディはスバルのヘリテージを感じさせる部分が散りばめられています。

 フロントサイドにあるSTIのロゴは、過去の「インプレッサ WRX STI」などで見られたフォグランプ部分のSTIロゴをオマージュ。力強い走りを感じさせます。

 ホイールには金色のブレードのようなものが施されています。一見飾りのように見えますが、空力デバイスとしてホイールの中に溜まった空気を外に逃がすような効力があります。

 またブレーキキャリパーは往年のスバル車に見られた赤いブレーキキャリパーを採用しました。

 ボディは「WRブルー」とは正式に言われていませんが、WRブルーを彷彿とさせるブルーが少しマットの風合いになって全面を覆っています。

 まさに「ザ・スバル」を全身で表現したカラーになっています。

 またバッテリーEVでは床下にバッテリーを搭載するため、必然的にボディの厚みが増えてしまい、SUVなどのボディの方が優位になることがあります。しかしスバルはルーフが低い4ドアスポーツクーペスタイルで仕上げてきました。

 ルーフが低いと車内が狭くなってしまいそうですが、このモデルは室内空間を確保。スバルが長年大切にしてきた「人を中心としたパッケージ」を実現していると言います。

 リアサイドのボディを内側に絞ることでダイナミクスは向上していきますが、それでは後席乗員のスペースが削られてしまうため、後席の人もゆったりと乗れるようなスペースを確保しているそうです。

 その分リアサイドのボディを外に持ち出し、四角く出た部分を空力パーツとして使うような工夫も施されています。

 また注目なのは繋がっていないルーフスポイラーです。このボディの大きさでルーフスポイラーを繋ぐと、とても大きなダウンフォースを生むことができますが、それは逆にいえば走行の「抵抗」ということになります。

 バッテリーEVでは、走行抵抗をいかに減らすかも非常に重要な課題となります。

 このパフォーマンスE STIコンセプトは広大な床下面積を持っていることもあり、レーシングカーと同じく床下からリアディフューザー部分で必要なダウンフォースを得ることができるそうです。

 となると大きなルーフスポイラーは必要なくなりますが、ルーフ上を流れる空気の整流は必要なため、今回のような分割式のルーフスポイラーになったと言います。

 そして、今回のJMSではもう1台のコンセプトカーが発表されました。

 こちらは「Performance-E STI concept(パフォーマンスB STIコンセプト)」という純ガソリンエンジン車で、今スバルが持っている技術資本をうまく組み合わせて仕立てたハイパーマンスモデルです。

 このパフォーマンスB STI コンセプトを市販するためには、自動車メーカーが背負うCAFE規制をクリアしていかなくてはなりません。

 CAFE規制とは自動車メーカーに対し、販売する自動車の企業平均燃費(二酸化炭素排出量)が一定の基準を満たすよう義務付ける規制が行われており、基準を達成できない場合、メーカーには罰金が科されるもの。燃費向上とCO2排出量削減を目的としています。

 このCAFE規制をクリアするためには、やはりバッテリーEVやハイブリッド車などの電動車比率を上げていく必要があります。

 ソルテラやトレイルシーカーといったバッテリーEVのほかに、今後は「フォレスター」や「クロストレック」に搭載されている「e-BOXER」などの販売比率をもっと上げていく必要があるでしょう。

 バッテリーそのものの開発や、パワーやトルクの効率化、AWD制御のさらなる進化なども必要です。

 そのAWD制御に関しては、一部のエンジニアがスーパー耐久レース(S耐)にも参戦し、スバルがスーパー耐久で走らせる「ハイパフォーマンス X フューチャーコンセプト(通称ハイパフォX)」で実戦の中でAWD制御の開発を行っています。

 ここで得た知見は現在の量産車はもちろんのこと、パフォーマンスE STI コンセプトのような4輪を独自に制御することが可能なバッテリーEV車の高性能化に役立つことは間違いありません。

 内燃機関の開発と同時に、電動化技術も進化させていかなくてはならない。

 困難は多くありますが、スバルが長年掲げている「安心と愉しさ」を実現するための可能性の一つが、このパフォーマンスE STI コンセプトなのかもしれません。

【画像】超カッコいい! これがスバル新「4ドアスポーツクーペ」です! 画像で見る(30枚以上)

スバル車が高い? 500万人利用!(外部リンク)

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Writer: 雪岡直樹

1974年東京生まれ。フォトスタジオアシスタントを経てフリーランスのフォトグラファーへ。雑誌やWeb媒体の撮影を担当。自動車雑誌の撮影と並行してユーザーインタビューやイベントレポートを担当することで、ライターとしても活動。国内最高峰のレース「SUPER GT選手権」を長年取材。新車情報やレースレポート、イベントレポートなどを雑誌やWebに寄稿する。

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