人助けでマイカーが「ミシッ」… 「けん引」はリスク大? 専用ヒッチ設定車も少ないワケ

キャンピングトレーラーなどをけん引するオプションが設定されている乗用車は、国産車ではほんのひと握り。一方で、故障したクルマをけん引することもあるかもしれませんが、けん引はクルマにどのような影響を与えるのでしょうか。

事故車もけん引できる?

 一方で、たとえば緊急時に動けなくなったクルマを自車で牽引しなければならない、という状況もあるかもしれません。トレーラーヒッチなどが設定されていない車種でも、リアバンパーなどにそのためのフックがありますが(必要なときにフックを車体へねじ込んで設置するタイプもある)、クルマへの影響はあるのでしょうか。

「たとえば『CX-8』であっても、趣味のけん引ではなく、事故など緊急時の対応として自車で事故車を引っ張るようなことは推奨していません。極端な例ですが、事故車を助けようとした自分のクルマまで事故を起こしたり、大きな損傷を受けて走れなくなったりする恐れがあります。仕方なく牽引する/される場合でも、極力その速度や距離を最低限にとどめていただき、何よりもまず、当社ディーラーやJAFさんなどにご連絡いただき、安全な場所で救援を待ってください」(マツダ)

 前出のとおり、普通免許でけん引できるのは車両総重量が750kg以下のクルマとされていますが、故障車をロープやクレーンなどでけん引する場合は、その限りではないとされています。しかしながら、750kgというのは一般的な軽自動車およそ1台分の重量です。つまり多くのクルマはそれ以上の重量ということ。

「CX-8」のオーナーズマニュアルにも、「(故障車をけん引するときは)車体や駆動系に損傷する恐れがあります」「自車の重量より重い車両は牽引しないでください」「(自車をけん引してもらうときは)できるだけマツダ販売店またはJAFなどに依頼して下さい」などと注意が書かれています。マツダは、「ウインチやロープ1本で引っ張るのは思った以上に負荷が大きいです」と話します。

車体後部に設置されたけん引用のフックのイメージ。日本ではロープでけん引する際、30cm四方の白布をロープに取り付けることが道交法で定められている

 ちなみに、JAFによると、一般車をロープなどでつないでけん引すると、けん引されるクルマの車体がゆがんだり、角度をつけて引っ張った際にけん引フックが壊れたりする可能性があるといいます。けん引されるクルマのエンジンがかかっていない場合は、ブレーキが通常よりかからず、けん引車に衝突する危険もあるとのこと。

 けん引に際して、JAFならではの特別な器具などはないものの、特に4駆車をけん引する際は駆動系への影響が大きいこともあり、前後輪とも持ち上げるための装置を使用しているそうです。

【了】

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Writer: くるまのニュース編集部

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