「ピンククラウン」で話題となった14代目「クラウン」がド派手な理由とは
保守的からド派手なクラウンに生まれ変わった14代目「クラウン」。ピンククラウンも話題になった挑戦的デザインのモデルです。
変化する顧客の嗜好
14代目「クラウン」は、フロントマスクに“王冠”グリルをまとったデザインが特徴的なモデルです。2012年12月25日に発表され、会場には同年に完成した「渋谷ヒカリエ 大ホール」が使用されました。
発表会に登場した14代目「クラウン」は、見た人を驚かすほどの鮮やかなピンク色かつ「クラウン」の名の通り“王冠”を模したグリルをまとった挑戦的なデザインが目を引きました。
外見上では、あまり変化が見られなかった先代モデルに対して、14代目「クラウン」は見る人を驚かせるほどの明らかな変わりようだったのです。発表時のキャッチコピーは、『CROWN Re BORN』。まさに生まれ変わった13代目ですが、その背景には「クラウン」の置かれた環境の変化がありました。
国産高級乗用車として生まれ、時代の変化に合わせて度重なるモデルチェンジを行ってきた「クラウン」は、2010年代に入って輸入車勢の台頭という流れの中に巻き込まれることになりました。
これまでも、日本には輸入車が多くありましたが、顧客の嗜好的にも金額的にもそれほど競合することはありませんでした。しかし、2010年以降の欧米自動車メーカーは、過去のイメージにとらわれないスタイリッシュなコンパクトカーや流麗なデザインのセダンやSUVを、手の届きやすい価格で提供しはじめました。「クラウン」を手に入れる予算で選べる選択肢が増えたのです。
また、ボディスタイルに対する嗜好も時代に合わせて変化しています。これまで高級車と言えばセダンでしたが、居住性の高いミニバンやSUVスタイルが人気となり、トヨタでは大型ミニバンの「アルファード」や「ヴェルファイア」といったモデルの売れ行きが好調になりました。
消費者からすれば選択肢が増えたと言えます。しかし、「クラウン」から見ればさまざまなライバルの中から選んでもらわなければならなくなりました。そうした危機感が、“王冠”グリルをまとったピンクのクラウンを生んだのです。