軽油は「安い」…けど“お得”とは限らない!? ガソリン車よりも“コスト”かかるってマジ? “カチカチ”に凍ることも? ガソリン車との違いを徹底比較!
ディーゼル車の燃料は軽油のため、ガソリン車よりも燃料代が安いのが魅力。長い目で見るとディーゼル車のほうがお得になるように思えますが、実際のところどうなのでしょうか。維持費などについて、ガソリン車と比較しながら見ていきましょう。
ディーゼル車vsガソリン車! お得なのはどっち?
近年、ガソリン価格高騰の影響で、ディーゼル車を購入する人は少なくありません。ディーゼル車の燃料は軽油のため、ガソリンよりも安い傾向にあります。
しかし、燃料代が安いからという理由だけで、ディーゼル車を選択するのは少し短絡的かもしれません。
どのような点をチェックすべきなのでしょうか。

まず、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの燃焼方法や特性について理解しておきましょう。
一般的なガソリンエンジンは、吸気工程でピストンが下降。負圧状態のシリンダー内に混合気を取り入れると吸気バルブが閉じます。
密閉状態においてピストンで押し混合気を圧縮。スパークプラグから出る火花が、ガス化した混合気に引火して爆発を起こします。このとき、ピストンを押し下げることで、クランクシャフトを回して動力となる仕組みです。
一方、ディーゼルエンジンは、吸気工程で空気のみをエンジン内へ取り入れるのが特徴。空気をピストンで圧縮して高温状態になったら、軽油を噴射して自然着火で燃焼させて、ピストンを押し下げます。
ディーゼルエンジンは一気に燃焼させるため、排気量が大きくなりやすく、強いトルクを発生できます。
ディーゼル車の燃料は、ガソリンよりも価格が安い軽油です。そのため、ガソリン車よりもコスパが良いと思う人は多いでしょう。
なぜ軽油はガソリンよりも安いのか。それは、課税されている税金が異なるからです。
ガソリンの場合、揮発油税(国税)が1Lあたり24.3円、地方揮発油税(地方税)が4.4円、暫定税率が25.1円で、合計53.8円のガソリン税が課されています。さらに、ガソリン税に消費税が上乗せされているため、ガソリン価格が高くなっているのです。
対して、軽油は軽油引取税が1Lあたり32.1円かかるのみです。生産コストもガソリンより安いため、価格を抑えられています。
なお、暫定税率についてはガソリン分が令和7年(2025年)12月31日に 、軽油分が令和8年(2026年)4月1日に廃止されることが決定しています。
政府は現在実施している燃料油価格の定額引下げ措置(補助金)を、暫定税率とほぼ同水準になるまで「段階的に」拡充する方針です。
ガソリン(1Lあたり)は、現行の10円の補助から、11月13日に15円、11月27日に20円、そして12月11日には暫定税率分に相当する25.1円まで、段階的に拡充していきます。
軽油(1Lあたり)も同様に、現行の10円から11月13日に15円、11月27日には税率分に相当する17.1円へと拡充。1回あたりの変動幅を最大5円程度に抑えながら、市場が対応できるよう緩やかに移行する計画です。
マツダ「CX-5」のガソリン車とディーゼル車を例に、年間の燃料代を比較してみましょう。
・【ディーゼル】XD i Selection(2WD):17.4 km/L
・【ガソリン】20S i Selection(2WD):14.6 km/L
年間走行距離が1万kmの場合、必要な燃料はディーゼル車が約574リットル、ガソリン車が約685リットルです。
資源エネルギー庁が発表している「石油製品価格調査の結果」によると、令和7年10月20日の燃料価格は軽油が154.6円/L、レギュラーガソリンが174.5円/L。
単純に計算すると、1年間でかかる燃料代はディーゼル車が約8万5800円、ガソリン車が約11万5500円かかります。3万円近くもディーゼル車のほうが燃料代を抑えることが可能です。
しかし、クルマにかかる費用は燃料代だけではありません。自動車税、メンテナンス費用、車検費用、駐車場料金、高速道路料金、任意保険など、さまざまな維持費が発生するため、燃料代だけでディーゼル車のほうがお得だと判断するのは時期尚早でしょう。
一般的に、ディーゼル車はガソリン車よりも車両本体価格が高く設定されます。
マツダ「CX-5」の場合、それぞれ以下の価格(消費税込)で販売されています。
・【ディーゼル】XD i Selection(2WD):312万9500円
・【ガソリン】20S i Selection(2WD):281万500円
上記の場合、車両本体価格の差は約31万円。購入する際は、この差も考慮したほうがいいでしょう。
また、ディーゼル車は特性上、エンジン内部に燃えかすが多くなりやすいです。エンジンが汚れやすいため、ガソリン車よりもオイル交換の頻度を多くする必要があります。
さらに、フィルターやアドブルー(マツダは必要としませんが)などは基本的に純正品を使用するため、意外と維持費が高くなりがちですです。
コスト面だけではなく、騒音や振動に関してもガソリン車とディーゼル車では異なるので注意が必要です。
最近のディーゼル車はクリーンディーゼルを採用しており、技術も進歩しているので騒音や振動は抑えられていますが、ガソリン車と比べるとディーゼル車特有の音や揺れが気になるかもしれません。
このように、ガソリン車かディーゼル車どちらがお得かは、燃費性能や維持費、車両本体価格などを含めて判断しましょう。また、静粛性や快適性も大切なポイントになります。
●ディーゼル車を購入する際の注意点! 知らないとエンジンが動かなくなるかも
検討した結果、ディーゼル車を購入した人は、燃料の入れ間違いに注意しましょう。「そんなの間違えるわけがない」と思うかもしれませんが、万が一ディーゼル車にガソリンを入れてしまった場合、エンジンが壊れる可能性があります。
ディーゼルエンジンにガソリンを入れると、噴射ポンプに大きな負担がかかるため、故障する可能性が高くなります。噴射ポンプが故障したら、噴射ノズルも故障します。結果的に、エンジンもダメになってしまうのです。
そのため、誤ってディーゼル車にガソリンを給油してしまった場合、発車前であればガソリンスタンドのスタッフに燃料の抜き取りを依頼してみましょう。
ガソリンスタンドでの対応が難しい場合や、すでに走り出してから気付いた際は、安全な場所で停車しロードサービスなどでレッカー移動を依頼してください。
燃料を入れ間違えるわけがないと思っている人も、万が一の事態に備えて覚えておくといいでしょう。
なお、寒冷地でディーゼル車に乗る人は、軽油の凍結に注意が必要です。
実は、ガソリンスタンドで販売されている軽油の種類は地域によって異なり、IS規格によって以下のように分類されているのです。
・特1号
・1号
・2号
・3号
・特3号
上記の軽油は種類によって凍結する温度が異なり、特1号は5度、1号は−2.5度、2号は−7.5度、3号は−20度、特3号は−30度まで凍らない特性があります。
時期や地域によって気温は変わるため、ガソリンスタンドでは販売する軽油の種類を変えています。
寒冷地に住んでいる人の場合、近くのガソリンスタンドで販売されている軽油は凍りにくいものなのでそれほど気にする必要はないかもしれません。しかし、旅行などで温暖な地域から寒冷地に行く際は要注意です。
真冬に都市部などから寒冷地へ行く際、長距離運転に備えて出発時に給油する人は多いでしょう。しかし、出発時に都市部などで給油した軽油は凍りやすいため、寒冷地での駐車中に凍ってしまう可能性があります。
翌日クルマに乗ろうとしたらエンジンがかからないという状況になる可能性があるため、出発時は片道分だけ給油して、寒冷地についたら再度給油するのがおすすめです。
軽油が凍結することを知らずに寒冷地へ行って、エンジンがかからない状況になると、ロードサービスを手配しなければならず、数万円の費用がかかる可能性があります。
なお、ガソリンは−100度までは凍らないと言われているため、凍結の心配をする必要はありません。
Writer: マツ
2022年からフリーのWEBライターとして活動開始。上場企業からの依頼で、SEO記事を中心にVOD・通信系(WiFi・光回線など)などのジャンルを執筆して経験を積む。現在も企業が運営する複数のメディアで記事を執筆。読者に役立つ内容を、わかりやすく執筆することを心掛けている。



































