高速道路の「◯km渋滞しています」一体誰が測ってる? もしかして「渋滞を測定する係」があるの? 意外と知らない「渋滞長」の計測方法と「渋滞の定義」とは?
高速道路に“渋滞”はつきものです。年末年始などの大型連休になると、その距離は非常に長くなります。高速道路に設置された電光掲示板には「ここから渋滞◯◯km」などと掲示されていますが、渋滞の距離は誰が何を基準に、どのように計っているのでしょうか。そもそも、渋滞の定義は何なのかについても解説していきます。
最新技術で渋滞情報を高精度化!
高速道路には電光掲示板が設置されており、「○○IC付近渋滞○km」といったように渋滞の距離をリアルタイムで知らせてくれます。
辺りを見渡しても、渋滞を見張っている人や計測しているような機械は見あたりませんが、どのように渋滞距離を計っているのでしょうか。

実は、渋滞の距離は高速道路に埋め込まれている「トラフィックカウンター」という計測器で計っています。
首都圏近郊では約2km間隔で埋め込まれており、高速道路を走行するクルマの台数や小型車・大型車の判別のほか、速度などを計測することで、渋滞距離を調べているのです。
しかし、すべての高速道路に約2km間隔でトラフィックカウンターが埋め込まれているわけではありません。
そこで活躍するのが、24時間365日巡回を行っている交通管理隊や料金所の係員です。
巡回中に渋滞を確認したり、料金所付近が混雑していたりする場合、交通管制センターに連絡をして、その情報をもとに電光掲示板などに渋滞情報を掲示します。
また、渋滞情報の高精度化を目指し、近年では「ETC2.0プローブデータ」を活用して渋滞の発生場所などの情報を収集しています。
ETC2.0対応の車載器を搭載しているクルマの走行履歴や挙動データを収集・分析しており、走行履歴には200mごとのクルマの緯度・経度・速度情報などを記録することが可能です。
2022年3月からは、NECが開発した「光ファイバセンシング装置」というものを、NEXCO中日本で導入しています。
光ファイバセンシング装置は、走行車両に起因する振動情報からデータを生成でき、データを分析AIエンジンによって、時間方向・距離方向に連続的な走行の軌跡に変換することが可能。
1km毎、1分毎の平均速度と所要時間を推定し、監視漏れがない連続的監視や事故・渋滞の早期検知などに役立てられています。
なお、ナビアプリとしてよく利用されるGoogleマップは、渋滞状況の精度が高く、渋滞距離を加味した到着予想時刻を表示してくれます。
Googleマップではユーザーのデータを収集しており、その情報をもとに渋滞状況をリアルタイムで表示しています。
「渋滞」の定義って何?
そもそも「渋滞」の定義は何かご存知でしょうか。クルマがスムーズに進まず、車列が長い状態を渋滞と呼ぶことが多いでしょう。
NEXCO東日本では、「走行する車が時速40km以下で低速走行、あるいは停止発進を繰り返している状態」を渋滞と呼んでいます。つまり、トラフィックカウンターが時速40km以下で走行しているクルマを連続で測定した場合、渋滞が発生しているということです。
ただし、例外もあり、外環道や京葉道路、アクアラインなど都市部の高速道路では、時速25km以下や時速20km以下など、路線毎に異なる基準が定められています。
阪神高速では、車両検知器の設置地点で5分間に車両が存在した時間の比率を表した時間オキュバンシー(占有率)と交通量の組み合わせを採用。
NEXCO東日本とは渋滞の定義が異なり、時間オキュバンシーによって渋滞しているかどうかを判断しています。
・0~20%「自由(走行)流」
・20~25%「安定(走行)流」
・25%「臨界(走行)流」
・25~30%「不安定(走行)流」
・30%以上「Stop – and – Go渋滞」
上記を基準に、時間オキュバンシーが30%以上になった場合は「Stop – and – Go渋滞」として設定しています。
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渋滞距離の測定方法や定義は理解できたと思いますが、信号がない高速道路でなぜ渋滞が発生するのか疑問に感じている人もいるかもしれません。
渋滞の原因は事故や工事などさまざまです。しかし、事故や工事がないのに渋滞しているケースも多く見受けられます。
このような場合、ドライバーが坂道やトンネルなどで無意識に減速していることが渋滞の原因だと考えられます。
前方のクルマが減速。それを見た後ろに続くクルマがブレーキを踏んで減速。さらに続くクルマも減速せざるを得ないため、連続的な減速によって結果的に渋滞が発生するのです。
大型連休などは、どうしても高速道路での渋滞が発生してしまうため、事前にNEXCOのホームページなどで渋滞情報を確認しておきましょう。
また、走行中もハイウェイラジオや電光掲示板などでリアルタイムの情報を把握しておくと、状況に応じてルート変更などの対応ができるのでおすすめです。
Writer: マツ
2022年からフリーのWEBライターとして活動開始。上場企業からの依頼で、SEO記事を中心にVOD・通信系(WiFi・光回線など)などのジャンルを執筆して経験を積む。現在も企業が運営する複数のメディアで記事を執筆。読者に役立つ内容を、わかりやすく執筆することを心掛けている。
































