「コンビニワープ」で轢かれそうになった! 過去には痛ましい事故も 駐車場を利用して“赤信号を回避”するのは違反?

赤信号で停止するのは当たり前の交通ルールであり、クルマを運転するうえで守るのが基本です。しかし、コンビニの駐車場を利用して赤信号を回避する「コンビニワープ」という危険な行為をする人を見かけることもあります。このような危険な走行は、交通違反として取り締まることができるのでしょうか。

危険なコンビニワープ! 過去には死亡事故も

 クルマを運転するうえで、交通ルールを守るのは当然のことです。赤信号の場合は、それに従って停止します。

 しかし、時には「信号待ちの時間が惜しい」という人もいるのが現状です。

 赤信号で停止しなければならないのに、交差点の角に駐車場付きのコンビニがあると、ここぞとばかりに駐車場に進入。コンビニには寄らず、そのまま通り抜けて逆側の出入り口から車道へ出ていくこの行為は、一部で「ショートカット」や「コンビニワープ」と呼ばれています。

 コンビニワープをしたクルマは、赤信号で停止することなく、スムーズに目的地を目指すことができますが、交通違反にはならないのでしょうか。

「コンビニワープ」は過去には死亡事故も発生している非常に危険な行為(画像はイメージ、haku/PIXTA)
「コンビニワープ」は過去には死亡事故も発生している非常に危険な行為(画像はイメージ、haku/PIXTA)

 飲食店やガソリンスタンドなどでもショートカットをする人はいますが、特に多いのが郊外などにある駐車場が広いコンビニです。信号待ちが長い交差点でコンビニワープをする人は少なくありません。

 このような行為は、非常に危険です。

 2020年3月には、飲食店の駐車場を利用してショートカットしようとした軽トラックが、当時3歳の女の子をはねて死亡させてしまうという痛ましい事故が起きています。

 コンビニワープに関してはネット上でも非難する声が多く、「コンビニワープを見たけど気分がいいものではない」「交差点でコンビニワープする人嫌いです」「信号の1、2分も待てないのかな?」などと、嫌悪感を示しています。

 また、「コンビニワープする車に轢(ひ)かれそうになってなぜかニラまれた」「コンビニワープした車にまた轢かれそうになった」などの声もあり、コンビニワープをしたクルマに轢かれそうになったという人は意外と多いようです。

 このように、コンビニワープは非常に危険な行為であり、実際に事故が起きています。もう少しで轢かれそうだったという人も少なくありません。

 そもそも、コンビニの駐車場はコンビニを利用する人のために設置されているものです。徒歩や自転車でコンビニに来る人もいるため、タイミングによっては駐車場内に複数の人がいる状況になります。

 危険が伴う行為であり、このようなことは避けてほしいところですが、2025年時点でコンビニワープを取り締まる具体的な法律は定められていません。

 クルマの運転に関する法律には「道路交通法」がありますが、道路交通法はその名の通り、道路に関する法律です。そのため、コンビニなどの店舗の敷地内や駐車場では適用されません。

 コンビニワープをしたとしても、スピードを出し過ぎていたり、歩行者を無視していたりなど、相当危険な運転をしていなければ、取り締まることができないのが現状です。また、実際の現場を抑える必要もあります。

 運転者が「コンビニの駐車場を通り抜けて別の道路に出ただけ」と言ったら、注意はしてもそれ以上は追及できないのです。

 では、コンビニワープで危険な目に遭いそうになっても泣き寝入りするしかないのかと言うと、そうではありません。間接的に、コンビニワープを違反として取り締まる法律は存在しています。

 たとえば、道路交通法第70条で定められている「安全運転義務違反」に該当する可能性があります。

 道路交通法第70条で定められている「安全運転の義務」は以下の通りです。

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」

 上記の法律は、コンビニワープの際にスピードを出し過ぎていたり、実際に歩行者などに怪我を負わせるような事故を起こしたりした場合に適用される可能性があります。

 安全運転義務違反の場合、違反点数は最大2点、普通車は最大9000円の罰金が科せられます。

 また、「一時停止違反(一時不停止)」で取り締まられる可能性もあるでしょう。

 道路交通法第17条2項では、以下のように定められています。

「車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。」

 上記は、コンビニワープを行う際に、一時停止を怠ったり、歩行者を無視したりすると適用される可能性があります。一時停止違反の場合、違反点数は最大2点で、普通車で7000円の罰金です。

 そのほか、刑法130条の「建造物侵入罪」に該当する可能性もゼロではありません。

 刑法130条では、「住居侵入等」について以下のように定められています。

「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。」

 たとえば、コンビニ側が駐車場内に「通り抜け禁止」「ショートカット禁止」など、コンビニワープを禁止する看板を掲げていたとします。

 コンビニワープを禁止する看板が設置されているにもかかわらず、コンビニワープをした場合は、コンビニが禁止している行為を敷地内で行ったとみなされ、建造物侵入罪に該当する可能性があるのです。

 ここまで解説してきたように、コンビニワープは場合によっては取り締まりの対象になる可能性があります。しかし、実際に事故が起きない限り取り締まることは難しいかもしれません。

 とはいえ、取り締まりの対象にならないからといって、コンビニワープをしていいわけではありません。

 クルマ側が危険だと思っていなくても、歩行者が危険を感じていることもあります。時間短縮のためにコンビニワープをしても、事故を起こせば逆に大幅な時間ロスになるでしょう。

 また、事故を起こした場合、被害者だけではなく自分の人生も大きく変わってしまうかもしれません。

 実際に、死亡事故は起きています。自分の都合だけ考えるのではなく、歩行者など周りの安全のためにも、コンビニワープはしないようにしましょう。

【画像】これが「コンビニワープ」が危険な理由です!(7枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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