スバル斬新「“2人乗り”スポーツカー」がスゴイ! 伝統の「水平対向エンジン」&悪路最強の“四輪駆動”採用! さらに「ジムニー」級の最低地上高“200mm”でオフロード走行もOK! 全てがスバルらしい「B9スクランブラー」に大注目!
スバルが「第37回 東京モーターショー」に出展して話題を呼んだ「B9スクランブラー」とは、一体どのようなクルマだったのか、その意義を振り返ります。
スバル斬新「“2人乗り”スポーツカー」がスゴイ!
2025年10月29日から11月9日にかけて開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」では、未来のモビリティが多数展示され話題となり、それと同時に、過去のモーターショーで発表された先見的なコンセプトカーの魅力も、改めて評価されています。
本記事では、スバルが2003年の「第37回 東京モーターショー」で披露し、今なお特別な存在感を放つオープンスポーツカー、「B9スクランブラー」の意義を振り返ります。

当時、スバルは「Think. Feel. Drive.」をキーワードに掲げ、ブランドの核であるシンメトリカルAWDや次世代パワーソースを軸に、人に新たな感動と歓びを提供する先進技術を提案していました。
そしてこの時期に、イタリアの高級車メーカーである「アルファロメオ」からスバルに移籍したデザイナー、アンドレアス・ザパティナス氏が率いるデザインチームが発足。
機能性とエモーショナルな美しさを極めた次世代デザインが次々と披露され、この動きの中で革新的なモデルとしてB9スクランブラーも誕生しました。
B9スクランブラーは、単なるオープンスポーツカーではなく、「オンロード・ラフロードを問わずオープンエアモータリングを楽しみたい」という、非常に挑戦的なコンセプトを具現化した2シーターハイブリッド車です。
そのスタイリングは、レトロな丸目のヘッドライトを採用しつつ、フロントマスクにはジェットエンジンの吸気口と翼の広がりを表現した「スプレッドウイングスグリル」を装着。
機能性と美しさを融合させた、独特のルックスを確立していました。
ボディサイズは全長4200mm×全幅1880mm×全高1260mmと、比較的コンパクトながら、ワイド&ローなスポーツカー然としたプロポーションです。
そんなB9スクランブラーの先進性とスバルらしさは、足回りの技術に色濃く表れています。
空気圧がゼロになっても一定の距離を走行できるランフラットタイヤを採用したほか、サスペンションには、車高に応じてヘッドライトの光軸を自動調整するオートレベライズ機能が搭載されていました。
さらに、最低地上高を150mmから200mmの間で選択可能なエアサスペンションを採用。
ちなみに最低地上高“200mm”とは、スズキ「ジムニー」の最低地上高“205mm”とほぼ同等の高さで、これこそがオンロードの快適性と悪路走破性を両立させるための、当時のスバルらしい技術的解答でした。
パワートレインには、2リッター水平対向4気筒エンジンに、スバル独自のシンメトリカルAWDとハイブリッド技術を融合させたSSHEV(シーケンシャル・シリーズ・ハイブリッド・エレクトリック・ビークル)を搭載。
このシステムは、エンジンが最高出力140馬力を、モーターが最高出力135馬力を発揮し、80km/h程度までの実用領域の大部分を高性能モーターで駆動することで、スムーズな加速と優れた燃費性能、環境性能を両立させていました。
インテリアも、下半分にグリップ箇所のない半月形状のハンドルや、シルバー加飾が施されたセンターコンソールなど、コンセプトカーならではの未来的な意匠を採用しています。
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オープンカーでありながら優秀な悪路走破性を誇るという、当時の市場には存在しなかった画期的なモデルであったB9スクランブラー。
しかし、残念ながら出展から約22年が経過した現在も市販化は果たされていません。
この挑戦的なコンセプトは、スバルが持つ技術的な幅広さと既成概念にとらわれない「愉しさ」の追求を象徴する、自動車史における重要な1ページとして、今なお多くのファンの記憶に深く刻まれています。
Writer: パワーボム
関西大学社会学部卒業後、某CS放送局運営のメディアにてライターとしてのキャリアをスタート。自動車ブログの立ち上げから携わり、主にトヨタ車やレクサス車、キャンピングカーを中心に取材記事を多数執筆する。
















