救急車が“盗難被害”に! 無施錠&キー挿しっぱなしの状態だった ネット上では「救急隊員にとって活動しやすい車両」の導入を求める声も!

東京都町田市で、出動中の救急車が盗まれる事件が発生しました。救急車を無人にする際は施錠が定められていましたが、当時は無施錠でエンジンキーも挿しっぱなしの状態だったといいます。この件を受け、町田消防署長が謝罪コメントを発表。一方で、ネット上では迅速に救急活動をおこなえる車両づくりを求める声も上がっています。

「窃盗じゃなくて殺人未遂とかで逮捕していい案件」「重い刑罰を科すべき」など憤りの声多数!

 2025年10月27日の夜、東京都町田市内の集合住宅において出動中の救急車が盗まれる事案が発生しました。

 これは東京消防庁の救急隊員が119番通報を受けて集合住宅の敷地内に救急車を停め、通報のあった部屋を訪ねている間に救急車が盗まれたものです。

救急車が盗難被害に!(画像はイメージ、tommy/PIXTA)
救急車が盗難被害に!(画像はイメージ、tommy/PIXTA)

 東京消防庁によると、救急車から離れる際にはエンジンキーを抜いてドアに鍵をかけることが内規で定められていますが、事件当時はエンジンキーが挿さったままで、ドアに鍵もかかっていませんでした。救急隊員らは「施錠を忘れていた」などと話しています。

 盗まれた救急車については、衛星利用測位システム(GPS)などを使って捜索したところ、約30分後に現場からおよそ6km離れた東京都八王子市内の路上で見つかりました。

 警察は、救急車に乗っていた50代の男を窃盗の疑いで逮捕し、詳しい動機を調べています。

 男は救急車を1人で運転していたとみられ、この間に事故は起きていないということです。なお、通報のあった傷病者については病院への搬送を辞退したため、救急活動に影響はありませんでした。

 東京消防庁町田消防署の黒崎清貴署長は、「都民の皆さまの信頼を損なったことを深くおわび申し上げます。事案を重く受け止め、職員の教育・指導を徹底し、再発防止に努めてまいります」とコメントしています。

 このニュースに対しては「これ窃盗じゃなくて殺人未遂とかで逮捕していい案件だろ」「本人的には軽い気持ちかもしれないが、やったことは人命に関わる大きな事だからこそ、模倣犯を防ぐためにもより重い刑罰を科すべきだと思う」など、逮捕された男に対して憤りの声や厳罰を求める声が寄せられています。

 さらに「鍵を掛けるのがルールであるならばせめて鍵は持って出て行かないとダメでしょ」との声がある一方で、「いちいち施錠していたら搬送遅れの原因になりかねないと思う」「これって盗む方が悪いのに、盗まれた側の管理が問われるって本当に理不尽」などの意見も聞かれました。

 加えて、「隊員の方が各々ワンタッチで操作できるインテリジェントキーを持ってほしい」「救急現場は一刻を争うので、隊員が救急車から一定の距離離れると自動でロック、近づけばロックが解除されるみたいなシステムをメーカーが開発してほしい」など、救急活動をスムーズにおこなえる車両づくりを求める声も上がっています。

 実は、このように救急車が盗まれる事案は過去にもたびたび発生しています。たとえば今年3月には、和歌山県岩出市において10代の女が消防署の車庫で待機中だった救急車を盗み、その後歩道に乗り上げてフェンスに衝突する事故を起こしました。

 被害に遭った消防署では、迅速に出動するため救急車の鍵を鍵穴に挿したままにしておくことが常態化しており、鍵の管理に問題があったとして消防職員5人が懲戒処分を受けました。

 また今年1月にも埼玉県久喜市で、46歳の男が自宅に呼んだ救急車を盗んだとして、窃盗の疑いで逮捕されています。

 この事案では、搬送を優先するという理由から救急車のドアに鍵をかけていなかったものの、盗難防止装置によって救急車を動かせないようにしていました。しかし、何らかの理由で男が運転できてしまったということです。

 逮捕された男は、救急車を運転したことについて「自分で病院に行こうと思った」などと供述しています。

※ ※ ※

 救急車の盗難は最悪の場合、人の命を危険にさらすおそれがあり、厳罰化を望む声が上がっています。

 また盗難防止対策については、救急隊員による鍵の管理の徹底だけでなく、現場で活動する隊員にとって使いやすい仕様の車両・装置を導入することも求められているといえるでしょう。

【画像】「えっ…」 これが本当にあった「救急車の誤った利用例」です! 画像で見る(27枚)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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