斬新「“3列6人/7人”四駆ミニバン」26年発売へ! 競合「アルファード」との差別化ポイントとは? 全長5.2mボディに“ド迫力顔”&「超豪華内装」採用のジーカー「009」の魅力とは?
中国発の高級EVミニバン、ジーカー「009」がジャパンモビリティショー2025で日本初公開されました。一体どのようなクルマなのでしょうか。また、来年日本に初上陸とのことですが、どのような戦略で挑むのでしょうか。
1300万円超えの超高級ミニバン
2025年10月31日から一般公開される「ジャパンモビリティショー2025」に先立ち、同月29日にプレスデーが開催されました。
ジーリーグループのプレミアムEV(電気自動車)ブランド「ジーカー(ZEEKR)」は、大型電動ミニバン「009」を出展し、多くのメディアから注目を集めていました。

日本市場には3列シートの6人乗りまたは7人乗り仕様(本国では4人乗り仕様も存在)が導入されます。ボディサイズは全長5209mm×全幅2024mm×全高1812mmという堂々たるものです。
高級ミニバンとしては異例のCd値0.27という、スポーツカーに匹敵する空力性能を誇り、電費効率や静粛性の向上に寄与しています。
デザインは、元アウディのステファン・シーラフ氏が率いるスウェーデンの「Zeekr Global Design Center」チームが担当。
パイプオルガンをモチーフにした縦型フィン構造のフロントグリルが強烈な存在感を放ち、全体的にはシンプルかつモダンな北欧デザインの印象を与えます。
インテリアにはナッパレザーシートをはじめ、マッサージ機能付きの2列目キャプテンシート、15.6インチの天井中央スクリーン、ヤマハ製Hi-Fiサラウンドシステムなどを装備。まさに“走るVIPルーム”といった趣です。
パワートレインは前後モーターを搭載したAWD(四輪駆動)で、システム最高出力は450kW(612PS)、最大トルクは693Nmを発生。車両重量2870kgながら、0-100km/h加速はわずか4.5秒と公表されています。
足回りには全自動デュアルチャンバーエアサスペンションとCCD電磁減衰システムを標準装備し、快適性と安定性を両立しています。
バッテリーはCATL製の140kWh「Qilin(麒麟)CTP 3.0」を搭載し、航続距離は822km(CLTC基準)を達成。日本仕様はCHAdeMO(チャデモ)規格に対応しています。
今回、この009を日本に導入するフォロフライ株式会社の代表取締役CEO・小間裕康氏、そして広報部マネージャーの荒川玲央氏にお話を伺いました。
同社は、国内向けに商用バン・トラックEVの開発・販売などを手掛けるファブレスメーカーとしても知られています。
まず小間氏に、日本市場導入への思いや戦略、ターゲット層について尋ねました。
「日本市場には、6人/7人乗りの高級EVミニバンという選択肢がまだ存在しません。一般のお客様だけでなく、タクシーやビジネスユース(法人需要)からの関心も非常に高いです」
特に法人需要については、「走行ルートが限られているためEVインフラへの不安が小さく、親和性が高い」と説明しました。
続いて、日本の高級ミニバン市場で存在感を放つトヨタ「アルファード」などと競合する戦略かと尋ねたところ、「まずは法人需要やタクシーといったニッチな分野から参入し、そこを皮切りに一般ユーザーにも徐々に広げていきたい」と、段階的な展開方針を明かしました。
さらに、009の魅力や既存国産ミニバンとの差別化ポイントについても伺いました。
「009は電子制御アクティブエアサスを標準装備しており、これは日本市場では珍しい仕様です。また、デザイン性も大きな価値であり、“人とは違う”さらに上を目指すお客様に選ばれると考えています」と、小間さんは乗り心地とデザインの優位性を強調しました。
次に荒川氏に、日本導入に至ったきっかけと狙いを尋ねました。
「フォロフライは商用EV分野でB2B(法人)顧客との関係性や営業・アフターサービス網をすでに構築しています。ハイヤーや送迎用途からの引き合いも多く寄せられていました」
ジーカーが日本拠点を持たない中で、フォロフライが日本仕様への設計変更ノウハウやアフターサポート体制を提供できる点が、導入の決め手になったといいます。
中国仕様との違いについて尋ねたところ、「基本的にグローバル仕様をローカライズします。具体的には右ハンドル化、インフォテインメントの日本語対応、急速充電(CHAdeMO)への対応などです」と説明しました。
装備面は基本的に本国仕様と同じで、日本専用の特別装備は追加されていません。これは009が開発段階からグローバル戦略を前提にしていたためで、実際にオーストラリアなど他の右ハンドル市場にも展開されています。
最後に、日本での発売時期および今後の他モデル展開について尋ねました。
荒川氏は、「導入は2026年中を予定しています。具体的な時期は現在最終調整中です。他モデルについてはまだ公表できません」と回答。
ただし、「009の反響やユーザーの声次第では、4人乗りショーファードリブン仕様や他車種展開の可能性もある」と期待をにじませました。
また荒川氏によると、すでに水面下で予約受付を開始しており、「法人ユースを中心に、すでに数十台の購入意向をいただいています」とのことです。なお、車両価格は参考価格で約1300万円からとされています。
日本の高級ミニバン市場は成熟の域に達していますが、そこにはまだEVが存在しません。
トルク特性に優れ、静粛性と快適性を兼ね備えるEVは、エンジン車を一歩先ゆく存在になり得ます。
EVと高級ミニバンの相性は抜群──果たして009は日本市場でどのようなプレゼンスを築いていくのか。今後の展開に注目です。



































