日産が新たな「セダン」公開! 全長4.8m級ボディに精悍顔採用! 新「ティアナ」と同時公開された「N6」、中国に投入
日産が中国市場に新型PHEVセダン「N6」を投入する。大ヒット中のBEV「N7」に似ていますが、より小型な別ボディを採用しています。今回中国政府サイトで詳細が判明し、EV航続130kmの大容量バッテリーや専用18インチホイールを備えます。N7より安価なPHEVとして、2026年初頭に発売される見込みです。
2025年10月16日、日産にとって初のPHEVセダンとなる新型「N6」を新型「ティアナ」と同時に公開しました。
日産が中国市場に投入するPHEVセダン「N6」の詳細が判明しました。いったいどのようなクルマなのでしょうか。

日産は大幅な赤字による工場閉鎖や人員削減など暗い話題が続いていますが、一方で中国事業は好調です。2025年9月の販売台数は前月比4.7%増の6.15万台を記録、特に中国専売BEV「N7」は8月には1万台以上を売り上げるといった人気ぶりを見せています。
日産 N7は2025年4月に発売されたばかりのセダンです。全長4930 mm x 全幅1895 mm x 全高1484-1487 mm、ホイールベースが2915 mmと海外市場で販売しているセダン「アルティマ」よりも少し大きいサイズで、開発は以前から合弁を組んでいた「東風汽車」と進められました。
ここ数年で一気に定着したクーペ風スタイリングを取り入れ、伸びやかで先進性を感じさせるシルエットが体現されています。
N7は2025年4月に予約開始した際、開始数時間で1万件超、2025年6月上旬には累計で2万件を突破しました。
異例の大ヒットの背景には高度な運転支援機能や先進性を感じさせるインテリアといった中国での必須要素を取り入れ、なおかつ11.99-14.99万元(約246.5-308.1万円)という非常に安価な価格設定で投入したことです。N7の販売台数は発売以来6000台前後を販売して毎月記録を更新中、2025年8月は1万148台を売り上げました。
N6のエクステリアはほぼN7に準拠していますが、一方で最大の相違点はN7が電気自動車(BEV)であるのに対し、N6では1.5リッターエンジンを搭載するプラグインハイブリッド(PHEV)であることです。
フロントマスクではヘッドライトユニットが外側に屈折した意匠のN7と異なり、N6では内側に屈折するなど細かい違いが見られます。
また、フロントバンパー下部のグリルメッシュも斜線形状から水平基調のものへと変更されています。
リアはN7同様にトランクリッドがダックテール風になっている一方、下へおろす処理はよりカムバック(コーダ・トロンカ)形状が強調されています。
二段構えのカムバックとなっており、この点に関しては2025年6月に発表された3代目リーフと似たような雰囲気を感じられます。
N6のボディサイズは全長4831 mm x 全幅1885 mm x 全高1491 mm、ホイールベースが2815 mmとなります。
この数値はN7よりも全長とホイールベースがどちらも100 mm前後、全幅が10 mm短く、N7とは別のボディを用いていることを裏付けています。
N7では以前よりPHEVモデルの投入が噂されていましたが、実際には同様のデザインを取り入れながらも、別ボディを採用するモデルとなりました。
そんな中、日産 N6のさらなる詳細が判明しました。この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)の公式サイトです。
今回新たに判明したのはN6の外装オプションです。新しい届出情報には新デザインの18インチホイールが含まれており、N7のホイールが17インチと19インチのみである点を考慮すると、この18インチホイールはN6専用のものとなります。
他にも、N7と同じくキャリパーカバーの設定も確認できます。キャリパーカバーは日本ではドレスアップ品として認識されていますが、日産ではN7で純正部品として採用しています。
中国ではキャリパーがデカい方が好まれる傾向にあり、コストを抑えつつもその需要に応える形となります。
N7ではトップグレード「510 Max」「625 Max」に赤いキャリパーカバーを標準装備として設定していますが、N6でも同様にトップグレード専用装備となる可能性が高いでしょう。
エンジンは東風汽車との合弁「東風日産(東風汽車有限公司)」が生産する出力75 kW(100 hp)のNR15型1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載します。
なお、エンジン形態は直列4気筒と推測されます。このエンジンは東風日産が主体となって開発した新たなPHEV専用エンジンです。
また、バッテリーの新たな詳細も今回判明しました。バッテリーは容量21.1 kWhのものを搭載、東風日産は同クラスのセダンで最大のバッテリーと主張しています。
工信部への届出情報では電気だけで130 km(CLTCモード)を走行可能としており、PHEVながらも日常的にはほぼBEVのような使い方ができます。駆動用モーターはN7の下位グレード(214 hp)よりも若干抑えられた出力155 kW(201 hp)となります。
日産 N6の発売時期はまだ明らかではありませんが、2026年初頭と予想されます。
N6はボディサイズや装備からして、N7よりも安いPHEVという選択肢で展開されることでしょう。
ライバルはBYDが9.98万元(約205.1万円)から販売する「秦L」あたりと見られ、それに合わせて価格設定もかなり挑戦的なものになることでしょう。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。














