久しぶりのマニュアル車の運転で「エンスト」怖い! 坂道・渋滞でスムーズに発進する方法とは? 最近のMTに搭載される“エンストさせない機能”がスゴい!
MT車の運転で怖いのは「エンスト(エンジンストール)」です。一体どうしたら、エンストせずに、クルマをスムーズに発進させられるのでしょうか。
最近のMTに搭載される“エンストさせない機能”がスゴい!
マニュアル車(MT車)離れと、新車で買えるMT車が減る中でも、最近の若者には、MT車に関心のある人も少なからずいるようです。
あるいは、MTで免許を取得したけれど、教習所を出てからは乗っていない、何十年もMT車を運転していないという人も多いはずですが、免許取り立てで慣れていなかったり、久しぶりに乗るMT車の運転で怖いのは、「エンスト」でしょう。
一体どうしたら、エンストせずにスムーズにMT車を発進させられるのでしょうか。

乗用車では、スポーツカーやスポーティモデルに多いMT車ですが、商用車の場合は、比較的多くのタイプに設定されています。
MT車の運転で壁になりそうなエンストとは、「エンジンストップ」ではなく「エンジンストール」の略です。
そんなエンストになりやすい状況として、坂道発進や渋滞時などのストップ&ゴーのほか、スポーツカーであればクラッチの重さなどが考えられます。
MTだけでなく、ATやCVT、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)などの2ペダル車でもエンジンやトランスミッションといったパワートレインの不調に由来するエンストもありますが、ここでは除外します。
平坦な停車状態からエンストする最大の理由は、前進(もしくは後進)するのに必要な動力(主にトルク)が不足しているためで、エンジンの回転数が足らない(回転数が低い)ことが理由です。
旧車やスポーツカーなどに乗っている人の中には、少しアクセルをあおってからクラッチをつなぐ人もいますが、最近のクルマであれば、クラッチ操作が急すぎるなど“雑”でない限り、エンストする可能性は低くなっています。
クラッチミート(エンジンからの動力と駆動がクラッチによってつながるタイミング)が極端に分かりにくいなどの車種や、踏力が必要な強化クラッチでも入れていない限り、アイドリング状態から丁寧(普通)につなげばエンストしない車種が大半。
さらには、アイドリングストップ状態からクラッチを踏み込むと、少しエンジン回転数が自動的に高まり、クラッチミートしやすくする制御を盛り込んでいる車種もあります。
筆者(塚田勝弘)がMT車の広報車(メーカーが広報用に用意する車両)に乗る際は、時間があればですが、アイドリングや低い回転数でもつながるかも確認しています。また、クラッチミートが奥側なのか、手前側なのかは車種によって異なりますので、習得することも必要です。
例えば、スズキ現行「ジムニー」のMT車に初めて乗った時は、クラッチがつながるポイントが想像以上に手前側だったのを記憶しています。軽自動車ということもあり、トルクに限りがあることも関係しているのかもしれませんが、丁寧に操作すればアイドリング発進も普通にできます。
坂道での発進もエンストしやすい状況ですが、最近は「ヒルスタートアシスト」が付いているモデルも多く、ブレーキを離して1~2秒間くらい停止状態を保持してくれるため、その間に落ち着いてクラッチミートすれば発進できます。
さらに、MT車でも電動パーキングブレーキ(EPB)を採用するモデルが出始めていて、手引き式のサイドブレーキがない車種も存在。筆者も初めてMTのEPB搭載車に乗ったときは手引きのサイドブレーキがなくて坂道発進が心配でしたが、慣れれば問題ありませんでした。
ヒルスタートアシストやEPBの登場により、サイドブレーキをゆっくり戻して解除しつつ、半クラッチからクラッチを戻して発進させるという昔ながらの坂道発進は不要になりました。
それでもエンストしてしまう状況はあります。筆者は自分のクルマで年に数回やらかすのですが、ギアがニュートラル(N)に入っていると思い込んで、クラッチを戻してしまうことで、これは単純なミス。
あるいは、半クラッチの状態が短すぎたり、クラッチを戻したりするのが急過ぎるとエンストするケースもあるでしょう。
比較的エンストしやすい車種の場合は、アクセルをゆっくりと少し踏んでエンジン回転数を少し高め、半クラッチを少し維持し、エンジン回転数が高まってからゆっくりクラッチを戻せばエンストしにくいはずです。
最近のクルマは、丁寧にクラッチミートすればエンストしにくいモデルが多く、MT車でも楽に運転できるようになりましたが、まずは半クラッチのポイントをつかみ、ゆっくり戻すことを基本とし、慌てず丁寧な操作を心掛けることが最大のコツかもしれません。
Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。



































