パワフルで燃費も良い「ディーゼル車」はなくなってしまうのか? 人気だったディーゼルエンジンのラインナップが少しずつ減っている!? その理由は

ディーゼルエンジンは燃料代が安く、燃費も良いことから、様々なメーカーのクルマにラインナップされてきました。一方で、マツダなど一部モデルで設定を辞めるメーカーも出てきています。その理由はどこにあるのでしょうか。

メリットもデメリットも分かりやすいディーゼルエンジン車

 近年の乗用車向けのディーゼルエンジンは、2009年10月に導入された排出ガス規制「平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)」に対応するクリーンディーゼルから徐々に普及しています。

 2代目の日産「エクストレイル」を皮切りに、メルセデス・ベンツ、BMW、三菱、マツダ、トヨタ、フォルクスワーゲンなど、多くのメーカーがクリーンディーゼル搭載車を投入しています。

「ディーゼル車」はなくなってしまうのか?(画像はイメージ/photoAC)
「ディーゼル車」はなくなってしまうのか?(画像はイメージ/photoAC)

 ディーゼルエンジン最大のメリットは、レギュラーやプレミアムガソリンよりも安い軽油ですみ、かつ燃費もいいこと。

 中低速域を中心とした分厚いトルクや幅広いトルクバンドにより、街中や山岳路、高めの高速域をのぞいた高速道路などでも力強い走りが得られるのが一般的です。そのため、重量が嵩む傾向にあるSUVでもトルクフルな走りが可能で、相性が良いといえます。

 一方、音や振動はガソリン車よりも大きく、エンジンの重量も重くなるため、ハンドリングなどの軽快感などではガソリン車に傾向にあります。音や振動に対しては、エンジン自体の音・振動を減らすとともに、遮音材や吸音材を多く使うことでかなり抑制できます。

 ランドローバー「レンジローバー」などの超高級車の中には、車内にいる限り、ディーゼルエンジンとは分からないほど高い静粛性を実現しているモデルもあります。そうなると、重量もコストも嵩み、超高級SUVなどでしか達成できていません。

 メリットもデメリットも分かりやすいディーゼルエンジン車ですが、年々厳しくなる環境規制に対応する必要があります。フォルクスワーゲンのディーゼル不正(いわゆるディーゼルゲート)をきっかけに、フォルクスワーゲンは集団訴訟や米国当局への補償金などのほか、新たなディーゼルエンジン車向けの開発コストも膨大な額になったはずです。

 国産勢では、とくにマツダがディーゼルエンジン車に注力してきましたが、「MAZDA2」などの小型車向けの設定をやめています。

 ディーゼルエンジン車は、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの有害物質を多く排出するため、後処理装置が必要。欧州などの多くのメーカーが採用する「尿素SCR」などをはじめとした排気ガスの後処理装置がそれです。

 マツダは、尿素SCRを使わず、圧縮比を限界まで下げることで燃焼効率を高めることでNOxの発生を抑制し、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を搭載してPMを捕集してクリアしてきました。

 しかし、欧州を中心に、世界各地で排出ガス規制が年々厳しくなり、さらなる開発コストの増大が予想されます。加えて、48Vを含めたマイルドハイブリッドやフルハイブリッド、プラグインハイブリッド、EVなどの電動化の推進も不可欠で、ディーゼルエンジン車への開発コストをさらに振り分けるのが難しい事情もあります。

 電動化を進めつつ、内燃機関を残していくという現状では、よりシェアの大きいガソリン車が優先される傾向にあり、ディーゼルエンジン車が徐々に減っている理由といえるでしょう。

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Writer: 塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。

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