車の「タコメーター」ってなんですか? 針は何を示していて「いつ」使うの? 近年では「本来の役割」が薄れてきた傾向も… 活用すべきタイミングはあるのか
クルマに装備される「タコメーター」は、一体何を示しており、どのように活用するのでしょうか。
エンジンの回転を耳ではなく目で追える唯一の計器。それがタコメーター
クルマ好きにとっては標準装備があたりまえともいえる「タコメーター」。
改めて、タコメーターの役割や使い方について考えてみました。

そもそも「タコメーター(Tachometer)」とは、1分あたりのエンジンの回転数(RPM:Revolutions Per Minute)を表示する計器であり、一般的には「×1000rpm」という単位で表示されます。
タコメーターといえば、針を使ったアナログタイプが主流でしたが、最近はデジタル表示やデジタルメーター内に組み込まれるものも増えており、ボタンひとつで表示が変えられるなど、凝った演出が施されたモデルも増えてきました。
ちなみに、2009年10月に発表、2010年12月に発売したレクサス「LF-A」のタコメーターは、あまりにエンジンレスポンスが良すぎるため、従来の針式のアナログタイプでは追いつかず、正確に表示できないため、デジタル式の針が採用されたと言われています。
それはさておき、まずタコメーターの主な役割としては「エンジンの状態を視認・把握できる」ことが挙げられます。
エンジンそれぞれに特性があり、効率よくパワーが引き出せる「おいしい回転域(いわゆるパワーバンド)」が存在します。
この「おいしい回転域」を効率よく使うために、MT車であれば手動で、AT車などでは自動でシフトチェンジする必要があります。
MT車であればタコメーターに表示されている回転数を見ることによって、「今、エンジンにどの程度負荷がかかっているか」が分かります。
特にサーキット走行では、シフトチェンジのタイミングが重要なことから、速度よりもエンジンの回転数を把握することの方が優先順位が高く、社外品の大型タコメーターを取り付けたり、レッドゾーン(過回転)に入る前にシフトアップを促すインジケーターを装着するオーナーもします。
旧車乗りのなかには、「タコメーターなんか見なくても音だけで回転数が分かる」達人がいますが、これは例外。しっかりとメーターを確認することで、エンジンの状況がわかります。
ただし、いずれにしてもタコメーターを積極的に活用するのは一部のユーザーに限られた話であり、さらにMT車はいまや少数派、ほとんどのクルマがAT車か2ペダルMT車、あるいはCVT車です。
つまり、自動的にシフトアップまたはシフトダウン(あるいは無段階変速)を行うため、操作は機械任せです。そうすると、「タコメーターなんか別になくても困らない」というユーザーが増えても仕方がないのです。
そのため、今ではタコメーター自体の存在意義が揺らいできてしまっていることも事実です。
また一部のハイブリッド車の場合は、エンジンを動力源ではなく「発電機」としての役割をもたせたものもあり、アクセルの踏み加減に関係なく、常に効率のいい回転域を保つように自動設定されています。
このようなハイブリッド車ではますますタコメーターの必要性が薄れているのです。
とはいえ、ハイブリッドを搭載しない純内燃機関車であれば、エンジンを必要に応じて効率よくパワーを引き出すために、タコメーターによって最適なアクセルペダルの踏み加減やシフトポジションを選択することができます。
時代の変化とともに存在意義や表示方法などが変化しつつあるタコメーター。
正確さでいえば、デジタル式にはかないませんが、アナログ式の独特の針の動きになんともいえない情緒を感じるのは古い世代の発想なのでしょうか。
タコメーターは「エンジンの回転数を見える化する計器」ではありますが、ハイブリッドカーが主流になりつつある今だからこそ、純内燃機関時代の色を残すタコメーターはそのままであり続けることを願うばかりです。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。






















































