ダイハツの「ちいさな高級車!?」がスゴい! 軽なのにめちゃ上等な「セルシオ」級シート採用! 快速ターボ&広い室内もイイ名車「ソニカ」に注目!
2006年に登場し、わずか3年でその姿を消したダイハツの軽自動車「ソニカ」。販売台数では振るわなかったものの、今なお「隠れた名車」として語り継がれています。その驚くべき実力についてあらためて紹介します。
目指したのは「軽のセルシオ」!?
ダイハツがかつて販売していた「ソニカ」は、今なお多くのクルマ好きから「隠れた名車」として語り継がれる一台です。
2006年6月に発売され、わずか3年後の2009年6月には販売を終了するという短いモデルライフでしたが、一体どのようなクルマだったのでしょうか。

ソニカは、長距離ドライブを快適に楽しめる「爽快ツアラー」をコンセプトに開発されました。
その最大の特徴は、全高を1470mmに抑えた「ロー&ロングフォルム」にあります。
この低重心スタイルは優れた走行安定性を生み出し、エクステリアデザインは、一部のユーザーから親しみを込めて「カピパラ顔」とも呼ばれました。ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1470mmです。
インテリアは、軽自動車の常識を超える質感が追求されました。
特にシートへのこだわりは強く、開発初期にはトヨタの高級セダン「セルシオ」のシートを搭載することも検討されたという逸話が残るほど、ホールド性に優れ長距離でも疲れにくい「ツアラーベンチシート」が採用されています。
パワートレインは、全グレードに新開発のインタークーラーターボエンジン「KF-DET」を搭載。最高出力64ps、最大トルク10.5kg・mを実用的な低回転域で発生させ、力強くスムーズな加速を実現しました。
これに組み合わされた新開発のCVTは、当時としてはトップクラスの低燃費23.0km/L(10・15モード燃費/2WD車)を達成しています。
装備面でも、当時の軽自動車としては画期的でした。
上級グレードには、先行車を検知して車間距離を維持する「レーダークルーズコントロール」がオプション設定されたほか、電子カードキーを携帯しているだけでドアの施錠・解錠が可能な「キーフリーシステム」が全車に標準装備されていました。
新車時の価格は、約118万円から約155万円でした。
これほどの実力を持ちながら、なぜソニカは一代で消えてしまったのでしょうか。
最大の理由は、当時の市場トレンドとのミスマッチだったと考えられます。ソニカが販売されていた2000年代中盤は、室内空間の広さを最優先するハイトワゴンが全盛の時代。
スズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーヴ」「タント」が販売ランキング上位を独占する中、走りの質を追求したソニカのコンセプトは、大多数のユーザーには響きませんでした。
事実、2008年の年間販売台数はわずか4455台にとどまっています。
しかし、生産終了から時を経て、ソニカの価値はSNSなどを中心に驚くべき形で再評価されています。
販売当時は評価されにくかった走行性能や静粛性、質感の高さに、「一代で消えたけど隠れた名車だった」「まさに軽のセルシオ」といった称賛の声が絶えません。
こうした再評価の動きもあり、ソニカは現在の中古車市場で非常に魅力的な存在となっています。
時代を先取りしすぎたコンセプトゆえに商業的には成功しませんでしたが、ソニカが持つ本質的な価値は、今なお多くの人々を惹きつけているのです。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。





















































